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豪州のたばこ規制がWTOに提訴される

2012年10月27日 | タバコ

日刊ゲンダイ2012年10月25日 豪州の「たばこ規制」が深刻な国際通紛争に 知的財産権を侵害」と3か国がWTOに提訴

ブランドのロゴ表示を禁じたオーストラリアのたばこパッケージ規制が、新たな課題を国際社会に突きつけている。商標権の侵害だとして国際通商問題に発展しているのだ。今年3月にウクライナが、今回の規制は貿易関連の知的財産権に関する国際ルール「TRIPS協定」、貿易の技術的障害に関する「TBT協定」に違反するとして、豪州を世界貿易機関(WTO)に提訴。その後、ホンジュラス、ドミニカも続いた。ウクライナの提訴については既にパネル設置が決定、この場で審議が行われ、裁定が下されることになる。

「ウクライナは、豪州の規制内容は知的財産権を侵害し、正当に登録された商標の使用を不当に制限するもの、と主張。また、(豪州の措置は)国民の健康目標を達成する上で、必要以上に制限的であることは明らかで、国際貿易に対する不必要な障害に当たるとも指摘しています」(経済ジャーナリスト)

たばこ大手も動いた。フィリップ・モリス(PM)の香港法人が豪州と香港の投資協定に基づいて、豪政府に補償の支払いを求める国際調停手続きを起こしているのだ。「PMの主張は、①豪州の規制はPMから他のブランドと差異化する能力を奪い、その結果として豪州における投資価値を下げる②補償なしでPMの投資及び貴重な知的財産を不法に没収するなどというものです」(前出のジャーナリスト)

豪州の過剰な規制は知的財産権、商標権を侵害し、投資価値を奪い、なおかつ自由貿易を阻害しているというのである。一国のたばこ規制が世界的な通商紛争に発展しているのだが、解決(裁定)までの道のりは容易ではない。国際通商問題の専門家で上智大法学部教授の川瀬剛志氏(顔写真)がこう指摘する。

「国民の健康を守るという豪州の公衆衛生政策(規制主権)と、貿易自由化(経済グローバル化)のバランス判断が非常に難しい。ポイントになるのは、TBT協定に照らしてみて、豪州の法律が公衆衛生目的に必要以上に貿易制限的か、(今回の規制以外の)代替政策を豪州政府が認識しているかどうか、TRIPS協定にいう識別能力を損なう商標の不当な使用制限といった点でしょう」

豪州のたばこ規制は、国家の主権とグローバル化・貿易自由化が正面から激突する深刻な通商紛争をもたらしたのである。


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