脱ケミカルデイズ

身の周りの化学物質を減らそうというブログです。 

手を洗いすぎると病気になる

2014年02月07日 | その他

日刊ゲンダイ2014年2月6日
インフルエンザノロウイルスの季節だが…
手を洗いすぎると病気になるぞ

手をしっかり洗いましよう――。インフルエンザやノロウイルスが流行していることで、普段以上に除菌や殺菌効果をうたった石鹸やハンドソープでゴシゴシと手を洗っている人も多いだろう。だが、ほどほどにしておいた方がいい。熱心に手を洗いすきると、肌が荒れるだけでなく、逆に病気にかかりやすくなってしまうからだ。

 東京医科歯科大名誉教授で、人間総合科学大教授の藤田紘一郎氏は言う。「我々の皮膚には〈常在菌〉と呼ばれる菌がたくさんいます.この常在菌は大切な役割を果たしていて、病原菌の侵入を防いだり、免疫バランスや水分を保つ働きをしています。殺菌効果がある石鹸やハンドソープを使って手を洗いすきると、そうした必要な菌まで殺してしまうのです」人間の皮膚に存在する表皮ブドウ球菌やアクネ菌といった常在菌は、皮膚の表面にある脂肪を食べて分解し、皮膚に弱酸性の膜を作っている.この膜が肌の水分を保ったり、アレルギーの原因となるアレルゲンや病原菌の侵入を阻止している。

「この常在菌を殺したり洗い流してしまうと、皮膚には弱酸性の膜がなくなり、さまざまな病原菌が入り込みやすくなります。皮膚の角質が剥がれてもろくなり、アレルギー物質が侵入してアトピー性皮膚炎も起こしやすくなる。また、水分が抜けてドライスキンになり、皮膚の表面がザうザラになります.そうなるとさらに病原菌がつきやすくなり、感染症の原因になる黄色プドウ球菌だらけになってしまうケースもある。カビなどの真菌も付着しやすくなります。常在菌が作り出す酸が肌をしっとりさせたり、病原菌から守ってくれているのです」(藤田氏)

風呂に入って石鹸やボディーソープを使うと、1回で90%の皮膚の常在菌が洗い流されてしまう。若者は12時間で常在菌の数が元に戻るが、中高年は20時間かかるという。一日に何度もゴシゴシ手を洗っている人は、常在菌をどんどん減らしているのだ.

 

石鹸やハンドソープは必要ない

「手の常在菌は抵抗力が強いので、元に戻るまでの時問は短くなります。それでも、石鹸やハンドソープを使って頻繁に手を洗っていると、常在菌はいなくなってしまう。病原菌を洗い流すために手洗いは有効ですが、水で洗い流すだけで十分です」(藤田氏)

殺菌効果がある石鹸やハンドソープは、一部の病原菌や真菌にしか効果がない。ノロなどのウイルスのほとんどは殺せないが、必要な常在菌は殺してしまう。通常の石鹸やハンドソープは、それ自体に殺菌効果はないが、主成分である界面活性剤が常在菌を洗い流してしまう。

なんとなく、病原菌や汚れをしっかり落とせそうな気がして使っている人がほとんどだろうが、逆効果といってもいい。

「手を洗う場合は、流水か40度程度のぬるめのお湯で洗い流すのがいいでしょう。ゴシゴシと手をこする必要はありません。ぬるめのお湯は皮膚に付着している病原菌の表面を膨張させ、流れやすくする効果があります。常在菌には影響しないので、おすすめです」

 常在菌がしつかりと存在していれば、皮膚は弱酸性の膜に守られてスベスベな状態が保たれる。こうした皮膚なら病原菌は付着しにくいし、付着しても水で洗うだけで流れてしまうという。そもそも、石鹸やハンドソープはいらないのだ。