徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

アメリカとスペインのエボラ出血熱、その後

2014年11月12日 07時26分13秒 | 小児科診療
 10月はアメリカとスペインでエボラ出血熱の二次感染者(アフリカから帰国した発症者の医療担当者が発症)が話題になりました。
 その後メディアの報道は減りましたが、現時点でどうなっているのでしょう?
 医師向けの「KANSEN JOURNAL」にわかりやすい記事が掲載されていたので、一部抜粋します;

エボラウイルス感染症の現状と対策(奈良県立医科大学感染症センター:笠原 敬)
 KANSEN Journal No.52(2014.11.8)
 アメリカ、スペインでは国内での2次感染例などに関して10月上旬から中旬にかけて報道が相次いだがその後の状況はどうなっているのだろうか。
アメリカ
 アメリカで治療されたエボラウイルス感染症患者は2014年11月5日現在で9名である。特にリベリアで感染し10月8日に死亡した患者とそのケアにあたった2名の看護師の2次感染は非常に大きなニュースになった。テレビニュースでは路上の患者の吐物を無防備な姿で放水して洗浄する清掃員の姿が映され、さらなる2次感染、3次感染は必発とも思われるような報道がなされたのは記憶に新しい。本件については177名の接触者が21日間の健康監視下に置かれていたが、11月7日には全員が発症することなく健康監視期間が終了した。
 また10月23日にはギニアでエボラ患者の治療にあたった医師がニューヨークのベルビュー病院でエボラウイルス感染症と診断された。発症前に地下鉄に乗っていた、ボーリングに行ったなどとの過剰ともいえる患者の行動に関する報道がなされ、現在も接触者の健康監視が継続中であるが、11月8日時点で2次感染は報告されていない。またこの医師は一時重篤な状態にあることが報告されたが、エボラウイルス病に感染して治癒したアメリカ人患者からの輸血などの治療を受け、現在は軽い運動をしたり趣味のバンジョーを演奏するなど改善傾向にあるという。
スペイン
 スペインでは西アフリカで感染した神父2人がマドリードで治療を受けたが死亡し、この看護に関わった女性の2次感染が10月6日に報告された。一部ニュースではこの女性の搬送に関与した者が3次感染したのではないかなどのニュースが流れた。実際には3次感染は起こっておらず、それどころかこの女性は11月5日に軽快退院し、さらに83名の接触者においてもすでに21日間の健康監視期間が終了している。
 11月8日時点での状況としては、アメリカで診断されたエボラウイルス感染症患者の最終発生日は10月23日、スペインでは10月6日である。


 というわけで、両国における感染拡大は止まっているようですね。
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