徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

40例目の先天性風疹症候群が発生

2014年01月23日 13時02分19秒 | 小児科診療
 予想通り、CRS(先天性風疹症候群)の赤ちゃんが増えています;

風疹で障害の赤ちゃん40人に
(2014年1月22日:NHK)
 風疹の流行の影響で赤ちゃんに障害が出る症例が全国で相次ぐなか、新たに2人の赤ちゃんが「先天性風疹症候群」と診断され、おととしからの流行で障害が出た赤ちゃんは全国で40人となりました。
 風疹は、妊娠中の母親が感染すると、赤ちゃんの心臓や目、耳などに障害が出る「先天性風疹症候群」になるおそれがあり、去年の春から夏にかけて風疹の流行がピークとなったことから、この冬にかけて生まれる赤ちゃんへの影響が心配されています。
こうしたなか、埼玉と東京の医療機関からそれぞれ1人ずつ、合わせて2人の赤ちゃんが「先天性風疹症候群」と診断されたと自治体に報告があったということです。この結果、おととしから続いた流行で「先天性風疹症候群」と診断された赤ちゃんは全国で40人となりました。
日本周産期・新生児医学会では、風疹で障害の出る赤ちゃんは今後も増えるおそれがあるとして、医療機関での対応の方法をまとめた産科や小児科の医師向けのマニュアルを作り、赤ちゃんを早期に診断して治療や支援につなげるよう呼びかけています。


 一方、来たる東京オリンピックまでに、世界から非難されることを予想して対策を掲げてはいます;

風疹 6年以内に流行根絶目指す
(2014年1月22日:NHK)
 風疹の流行で、妊娠中の母親が感染して赤ちゃんに障害が出るケースが相次いだことを受けて、厚生労働省は、6年後までに風疹の流行を無くすことを目標に、予防接種などの対策を進めることになりました。
 風疹は、おととしから去年夏にかけて職場を中心に感染が広がり、去年1年間に全国で1万4000人余りが感染し、母親が妊娠中に感染して目や耳などに障害が出る「先天性風疹症候群」と診断された赤ちゃんは、31人に上りました。
 厚生労働省の専門家会議は22日、会合を開き、中長期的な対策を盛り込んだ初めての指針をまとめました。
 それによりますと、風疹の流行を6年後の平成32年までに無くし、先天性風疹症候群もできるだけ早く無くすとしています。
 そのための対策として、予防接種を受けていない人の割合が多い昭和37年度から平成元年度に生まれた男性と、昭和54年度から平成元年度に生まれた女性が、予防接種や免疫の有無を調べる検査を受けやすい環境を整えるよう、企業に依頼するとしています。
 また、妊婦が訪れる機会の多い学校や医療機関などでも予防接種や免疫検査を呼びかけ、免疫がある人の割合を増やすなどとしています。
 厚生労働省は、今後、この指針を基に、企業や都道府県向けの具体的な対策を盛り込んだ手引書を作り、配布することにしています。


 読む限りでは、「呼びかけ」が主で「予算を組む」予定はなさそうですね。
 絵に描いた餅にならないことを祈りましょう。
 ただ、今までの経緯から考えるとあまり期待できません・・・。

★ CRS関連の過去ログ
(2013年12月31日)34例目の先天性風疹症候群が発生
(2013年12月20日)33例目の先天性風疹症候群が発生
(2013年12月07日)30例目の先天性風疹症候群が発生
(2013年11月08日)26例目の先天性風疹症候群が発生
(2013年10月31日)22例目の先天性風疹症候群が発生
(2013年10月11日)20例目(19+2-1)の先天性風疹症候群が発生
(2013年09月21日)19人目の先天性風疹症候群
(2013年09月05日)18人目の先天性風疹症候群
(2013年08月29日)17人目の先天性風疹症候群
(2013年08月01日)14人目の先天性風疹症候群
(2013年04月26日)風疹流行止まらず・・・10人目の犠牲者(先天性風疹症候群)

<追加>
 医療者の意見を載せておきます;

国の風疹対策に懸念「抜本的な予防接種策」求める要望書 日本小児科学会,日本産科婦人科学会
(2014.1.23:MTPro)
 昨日(1月22日)の「第5回風しんに関する小委員会」(委員長:五十嵐隆氏,国立成育医療研究センター総長)で,風疹の特定感染症予防指針に関する最終的な取りまとめが行われた(関連記事)でゼロとする」目標を入れるよう提言。しかし,指針には「定期接種対象年齢を外れた成人感受性者への予防接種」については該当者に対し踏み込んだ記載は行われていない。これに対し,日本小児科学会,日本産科婦人科学会は厚生労働省に予防接種に関する抜本的な対策を盛り込むことを求める要望書を提出した。

◇ 小委員会でも指摘多数「推奨,情報提供だけで対策進むのか」
 指針では「今回の風疹流行が過去の定期接種の接種率が低かった成人男女に起きていたこと,職域での感染が相次いで先天性風疹症候群(CRS)が増加し社会的影響が大きかった」と策定の主旨を説明。
 また,2007年に策定された麻疹に関する特定感染症予防指針に連動し,定期接種の対象である小児への積極的な勧奨など,今後の風疹対策を行っていくことが盛り込まれた。
 一方,成人感受性者への予防接種策については「予防接種法に基づかない予防接種の推奨」の項目を設定。「罹患歴や予防接種歴が明らかでない者への風疹抗体検査や予防接種の推奨を行う必要がある」との記載が中心で,臨時の定期接種化などの措置には言及されていない
 この点に関しては今回の小委員会の議論においても,複数の委員から「感受性者への予防接種なしには風疹・CRSは排除できない」「排除の目標をまず設定した上で行程について議論すべき」「“推奨”“情報提供”の表現が多いが,これでどれだけ対策が進むのか」「麻疹では定期接種漏れ者への5年の経過措置という予防接種対策が取られ,排除目標を達成しつつある。予算の兼ね合いがあるのだろうが,最小の労力で最大の効果を発揮できる施策が必要」などとの指摘が行われていた。
 昨日,最終となった同小委員会では,指針の最初の項目である「目標」に関する議論が最後に実施。また,感受性者対策やCRS児の療育に関しては学会,研究機関,事業者などと連携して,ガイドラインづくりや啓発を進めていくこととされた。

◇ 日本小児科学会は厚生科学審議会での再検討求める
 こうした議論の推移を受けて,日本小児科学会(会長:五十嵐氏)は1月14日,厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会(部会長:岡部信彦氏,川崎市健康安全研究所長)に,1月14日付で要望書を提出。小委員会でとりまとめた指針案を今後,同部会で審議する際に12の項目を指針に盛り込むことを要望した。
 12項目は「東南アジアや他の発展途上国の模範になる指針策定を」「対策の骨子は麻疹風疹混合ワクチン(MR,MMRワクチン)の接種による感受性者ゼロ作戦」「妊娠年齢女性やその関係者への緊急対策と公費補助」などが含まれている。同学会の要望書は昨日の小委員会で参考資料として配付された。

◇ 日本産科婦人科学会は厚労大臣に「成人男性への対策を」
 日本産科婦人科学会(理事長:小西郁生氏,京都大学産科婦人科教授)は1月21日,厚労省の田村憲久大臣宛てに要望書を提出(関連記事)。同学会は2012~13年の全国的な風疹流行でCRS児が40例近くに上っていると指摘。「今回の風疹流行は従来のワクチン政策で接種機会に恵まれなかった成人男性が中心。男性から妊婦への風疹感染でCRSが起きており,厚労省がこれまで同様に成人男性への実効性ある対策を取らなければ,今後10年以内に起こると予測される風疹再流行を防止できないことは明らか」とした上で,感受性者の成人男性へのワクチン接種の徹底と財政支援などを強く要望すると述べている。


 このままでは2004年の二の舞です・・・。
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