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徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

「われわれは自分たちだけのためにワクチンを接種しているわけではない」

2015年03月21日 06時35分31秒 | 小児科診療
 という意識を持ってワクチン接種を希望される方は、どれだけいるでしょうか?
 ワクチンのことを調べていると、何回も「集団免疫」という単語に出会います。
 「みんなでワクチンを打てってこと?」という単純なものではありません。
 「みんなでワクチンを打って、事情で打てない人達も守るという思想」なのです。

 でも、ピンときませんよね。なかなか説明するのが難しい・・・と、こんなわかりやすい記事を見つけました(一部抜粋);

■ 知ってますか?ワクチンの持つ“もう一つ”の意味
 忽那賢志先生(国立国際医療研究センター国際感染症センター)
(日経メディカル:2015/3/20)

one for all,all for one
 集団免疫という言葉をご存知でしょうか。図をご覧ください。
(上段)集団の中で免疫を持っている人がいない状態です。その中に感染者が出ると、周りにどんどん広がって集団のほとんどが感染してしまいます。
(中段)集団の中に何人か免疫を持つ人がいる状態です。その中に感染者が出ると、免疫を持っている人は感染しませんが、免疫を持っていない人はやはりほとんどが感染してしまっています。
(下段)は集団のほとんどが免疫を持っていて、数人が免疫を持っていない状態です。その中に感染者が出ても、周囲は免疫を持っている人ばかりなので周りに感染は広がらず、結果的に免疫を持っていない人にまで感染が及んでいません。
 これが集団免疫です!(バーン)



 麻疹ワクチンや風疹ワクチンは生ワクチンです。生きたウイルスを弱毒化させて接種するわけですが、例えばステロイドを内服しているような免疫不全患者さんは接種することができません。しかし、同時に、免疫不全患者さんは麻疹や風疹に罹患すると重症化してしまいます。
 ワクチンが抱えるこの悩ましい問題、一つの解決策は集団免疫です。われわれが麻疹ワクチンや風疹ワクチンの接種率を高めることで、間接的に生ワクチンを接種できない免疫不全者を麻疹や風疹から守ることになるのです。インフルエンザワクチンも同様です。インフルエンザに罹患して重症化するリスクが高いのは高齢者ですが、成人と比較して高齢者ではインフルエンザワクチンの効果が低いことが知られています。しかし、われわれがインフルエンザワクチンの接種率を高めれば、集団免疫によって高齢者の感染を防ぐことができるのです。
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