徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

日本アレルギー学会に参加してきました

2008年12月03日 07時20分25秒 | 小児科診療
先週末、東京で行われた日本アレルギー学会に参加してきました.
開催期間中診療を休むわけにも行かず、今回も日程の半分程度の参加です.

印象に残ったニュース.

・喘息に対する吸入ステロイドは根本治療にはなり得ない.
というデータが続々報告されてきています.
乳幼児喘息に吸入ステロイドによる早期治療開始により喘息の進行が止まるのではないか、と以前からの議論への一応の結論が出た感じです.つまり「ダメ」ということです.
「アレルギー性炎症」を抑える治療法ではなく、基本に返って原因アレルゲンへ目を向けようという雰囲気を感じました.

・アレルギー疾患に対する根本治療は目下、免疫療法しかない.
免疫療法(別名「減感作療法」)は古くから行われ、ここ10年以上は治療法ランキングでは下位に甘んじていましたが、ステロイドの効果の検証が一段落しその限界が明らかになった現在、再度注目を浴びるようになってきました.
ただし、これからは注射によるものではなく「舌下免疫療法」といって舌の下にアレルゲンエキスをしみ込ませた綿球を数分間置いてその後吐き出すという方法です.
これでアレルギーが改善するなら簡単でいいですね.今後広まりそうです.

・アトピー性皮膚炎治療を巡る混乱
以前程ではありませんが、小児科医は乳幼児期の食物アレルギーの関与を重視し、皮膚科医は皮膚疾患としての軟膏治療を重視するという視点の違いを今回も感じました.
現場の私からすると、両方大切だと思います.でも、それでもなかなか上手くいかないんだよなあ.

短時間の参加ですが、十分な刺激を受けてきました.
やはり知識のアップデートは必要ですね.
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「平和」を感じるとき | トップ | 小児アレルギー学会に参加し... »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

小児科診療」カテゴリの最新記事