徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

「H7N9」は怖い?怖くない?

2013年05月17日 05時48分32秒 | 小児科診療
数ヶ月前から話題になっている中国でのトリインフルエンザ「H7N9」。
感染者と死亡者が徐々に増えてきましたが、現在までの報道では2009年の新型インフルエンザ(H1N1)の時より差し迫る危機感を感じません。
また、WHOもパンデミック認定をせず、今のところ静観している状況です。

では、何が違うのか?
もっと危機感をもって対応すべきなのか?

という視点で書かれた記事が少なく、判断に迷います。
というところに、わかりやすい記事を見つけました。

鳥インフルエンザA(H7N9)を正しく怖れる
(2013.5.1:アピタル・・・朝日新聞の医療サイト)
 高山義浩 (たかやま・よしひろ)

この中では問題点を3つに整理しています;

① 病原性が高いのではないか? 重症者や死亡者が多発するのではないか?
→ 中国が発表する数字には正確な感染者の数がなく氷山の一角と思われ、重症化率を計算する時の母数が不明確、つまり重症化率はより低いと考えられる。

② 治療法がないのではないか? 既存の抗ウイルス薬が効かないのではないか?
→ タミフルが効くらしい、との情報もありWHOも「通常の治療でOK」との声明を出している。

③ 感染力が強いのではないか? 大流行により医療機関がパンクするのではないか?
→ まだ「ヒト→ ヒト感染力」を獲得していない段階であり心配ない。将来新型化(つまり「ヒト→ ヒト感染力」獲得)した場合は、未知数であり要注意。

 最後に、今までのインフルエンザとSARSをわかりやすい表にまとめています:


 これをみると、今回のインフルエンザよりも特効薬がなく死亡率が高いSARSがいかに怖い感染症であるかがわかりますね。
 SARSの原因はコロナウイルスというありふれた鼻風邪ウイルスが強毒性に変異したものです。
 類似のコロナウイルスが「新型コロナウイルス」として現在また報告されており、こちらも注視する必要があります:

新型コロナウイルス、サウジで医療従事者が感染
(2013年5月16日 読売新聞)
 【ジュネーブ=石黒穣】世界保健機関(WHO)は15日、新型コロナウイルスに関して、サウジアラビアで医療従事者2人の感染が新たに確認されたと発表した。
 共に40歳代の男女で、患者と接触した後に発症した。医療従事者が感染者からウイルスをうつされた初の事例という。
 感染者が確認された国はサウジ、ヨルダン、カタール、英国、フランス、ドイツの計6か国。同日までに感染者は、サウジを中心に40人に達し、このうち死者は20人になった。
 これまでにサウジに渡航歴のある患者とその家族内や、感染者と同じ病室内にいた患者での感染例が確認されている。


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