暦の上ではもうすぐ秋なのに、まだまだ真夏の暑さは続いている。
でも暑さに負けず、今日も中山道を走ろう!と思い、家を出る。
この夏の走り込みこそ、冬のマラソンに活きるのだ!
なーんていいつつ、今日も予定では「走り込み」というほどの距離じゃないんだけど。
中津川を越え、すでに木曽路に入った。
ここまで来ると、運賃もそれなりに高くなり、再び「青空フリー切符」の出番となった。
でもさ、青空フリー使うなら、わざわざ勝川駅まで車で行く理由ないよね?
ってことで、またまた拠点を「大高駅」に戻すことになった。
「金山」で中央本線に乗換、中津川駅に再び降り立つ。
ここからは、ローカル線状態で、まるで別の路線のようになる中央本線なんだけど、乗継時間が約20分あり、ちょっと早い昼食(立ち食いそば)を食するには絶妙の待ち時間だ。
南木曽駅に降り立ったのは、すでに12時半近く。
相変わらず撮影などしながら、周囲をウロウロしてから、いざ駅前をスタート!
まずは直接中山道には関係ないんだけど、すぐ近くにある重要文化財の吊り橋、「桃介橋」に寄ってみよう。
そもそも桃介って誰?って話だけど。
福沢桃介のことやね。
かの福沢諭吉の婿養子ということでも有名だけど、「日本の電力王」と呼ばれている人物だ。
早くからこの豊富な木曽川水系に目を付け、いくつもの水力発電所を建設。
のちの関西電力や中部電力の礎を作ったとされている。
その他、東邦ガスや名古屋鉄道・大同特殊鋼などの発展にも深くかかわったらしく、名古屋の発展に大きく寄与した人物とされている。
ちなみに晩年は、ときのトップ女優「川上貞奴」さんと同棲(今で云う内縁関係ってやつね)。
その2人の邸宅が、名古屋市東区で「文化のみち二葉館」として、一般開放されている。
良く考えたら、超有名人、諭吉さんの娘と結婚してたのに、別の女性と…。
肝っ玉の太い人だったらしい。
で、桃介さんが、この対岸に読書発電所(現在の関西電力読書発電所)を建設の際、工事用に架けたのが、この桃介橋らしい。
橋の向こう側も気になるけれど、そろそろ中山道を先に行かなきゃね。
駅にいったん戻り、標識を頼りに、線路を渡って中山道に出る。
何やらこの道、駅裏の単なる農道のような雰囲気で、案内板がないと中山道であるとは思えない雰囲気だ。
いきなり「園原先生碑」なる大きな碑に出会う。
園原先生が何者なのかはさて置いて(ごめん、あんまり興味ない)、中山道を走る(歩く)上で、1つの目印になることは間違いない。
リサーチによれば、今日のコースは、やや見どころに乏しいらしい。
この先、国19を走る部分が多いんだよね。
木曽川の渓谷と山々に囲まれ、ただでさえ狭い谷間に、国19と中央本線がひしめき合っている木曽路。
わずかなスペースを縫うように、良く言えば中山道をそのまま転用、悪く言えば破壊しながら敷設されたのが、国19なのだ。
ただ案内表示は比較的親切で、ポイントとなる地点には概ね設置してある。
しばらくは道なりに進む。
左から長野県道264号が寄り添ってきて、合流。
50mほど先で、案内表示に従い、右の小道へ。
すぐに右側に「読書小学校」が現れた。(現在は南木曽小学校)
そのやや奥まったところには、「等覚寺」という立派な山寺があり、中山道を静かに見守っている。
中山道に戻り、その先でまた県道264に合流。
ちょっと走れば、いつの間にか「三留野(みどの)宿」に入ったらしく、森林組合の事務所に出くわす。
ここが三留野宿本陣跡ということらしい。
脇本陣跡もすぐに現れた。
残念ながら、本陣・脇本陣とも、明治に入ってからの大火事で焼失したらしく、原形はまったく残っていない。
そもそも「南木曽」なんてのは、現代になってから勝手に?付けられた地名で、本来はこの辺り、「三留野」だったらしい。
当然ながら、中山道の宿場としては、「三留野宿」なのだ。
その三留野宿、これまたいつの間にやら脱出したらしい。
道は左にカーブしたところで、南木曽町設置の案内標識が右の登る道を指している。
ここは間違えやすいところ!
案内標識は、中山道のバイパスとして敷設された、「与川道」を案内しているのさ。
行先は同じ「野尻宿」らしいけれど、ここはとんでもない山道を迂回?することになるらしい。
この与川道にも、大いに興味あるけれど、またの機会として、今日はこのまま道なりに直進し、下り坂を降りて行く。
中央本線の下をくぐり、1kmほど先で国道19号に合流。
歩道は反対側(つまり左側)にしか付いてないからさ、横断歩道もないから、ここは気を付けて渡りましょ♪
歩道をそのまま走る。
ここまで来ると19号も、木曽川沿いのドライブコース状態で、信号もないからね。
車はかなり飛ばしている。
別名を木曽高速、なんて呼んだりするらしい。
でも景色は素晴らしい!
両側に木曽の山々の豊かな緑、そして左側すぐ横には、木曽川の流れを従えて走る。
中央本線も右手に並走している。
若かりし頃、スキーに行く際に、何度か通ってるはずの道だけど、まさか走ることになるとは思わなかったなぁ!
ただ残念ながら、「中山道」的にはこれといった見所もなく、ひたすら国道runやね。
まぁここもリサーチ段階でわかってたことだけどね。
2km以上、同じような景色が続く。
きっと昔の街道は、もっと狭く、当然ガードレールもなく、木曽川の崖を縫うような感じだったのかな?
でも現代では、「木曽高速」を突っ走る大型車両の方に恐怖を感じたりする。
久しぶりに信号があった。
頭上には「←1km十二兼駅」のドライバーさん用の標識があるのが目印やね。
ちょうどここで歩道が道路左側から右側に代わるようになってるけれど。
ありがたいことに、中山道は左折する脇道に入って復活する。
急に静かになった。
人家もまれな、田舎道の風情だ。
すぐに「明治天皇御小休所跡」。
ちょっとした小公園になっている。
左に橋があり、対岸に渡って奥へ入っていくと、木曽川の作った景勝地「柿其渓谷」が近いらしい。
中山道は橋を渡らずに直進!
道はますます狭くなり、車も人もまったくすれ違うこともなく、順調に足を進める。
…と言いたいところなんだけど、のど乾いた!
今日はいつも以上に暑くてさ、実は用意してきた給水、もう飲みつくしちゃったのさ!
自販機ねぇかな~。
十二兼駅の前(裏?)に出た。
国19と中山道に挟まれた小さな無人駅だ。
当然ながら普通しか止まらないし、電車の時刻でもない今、周囲は人気すらなく、自販機も見当たらない。
しゃ~ね~な、もう少し頑張るか。
走ってると見落として直進してしまいそうだけど、200mほど先で、中央本線を簡易トンネル?でくぐるのが正解。
正面に熊野神社ね。
リサーチ通りに神社の前を左折し、民家の庭?のようなところを通って、これまた田舎のアスファルト道に出る。
今度は国19を左に見る形になる。
道なりに走って、ヘアピンカーブを終えると、国19にまたまた合流。
このヘアピンはちょっと不自然だから、かつてはもっと自然なカーブで、この合流地点に辿り着いたのかな?
すぐに左に分岐。
中央本線と国19の間の静かな1本道だ。
行政区域は、南木曽町から大桑村に入ったらしい。
踏切を渡る。
良く見ると「第14仲仙道踏切」とある。
これから線路を渡るたび、徐々に数字が減っていくらしい。
そして、この踏切名が、走っている道が確かに中山道であることを確認できる、貴重な情報源になるよね。
約600mで、今度は「第13仲仙道踏切」。
再び線路は左側。
渡り終わってすぐ、左にカーブ。
背後には、草茫々の獣道らしき跡が…。
実はこれがホントの中山道だったらしい。
今は通行不能のため、線路の反対側に回って走ってきたことになるんだね。
国19に再び合流、じゃなく、ここはランデブー。
右手の信号は「阿寺渓谷入口」。
そのまま細い脇道(県道261)を直進する。
ようやく人家がチラホラと…。
野尻の集落だ。
人家があれば、1台ぐらい、自販機もあるよね、きっと。
小さな川を渡ってすぐ、いかにも歴史ありげな古民家が。
ここ「はずれ」という屋号だったらしい。
つまり野尻宿の「はずれ」。
そのまんまやね。
徐々に街道らしい雰囲気になってきた。
両側には、懐かしさを感じる古民家が増えてきた。
自販機も無事発見!
野尻宿は、外敵を守るため、意図的にくねくねした道にしたらしい。
それが余計に雰囲気を引き立たせている。
左手や奥に入ると、JR野尻駅。
ここも普通のみ停車の小駅だ。
まだゴールするには早すぎるから、もう少し頑張るよ。
それに、ここでゴールするには勿体ないぐらい、野尻宿はそこかしこに面影を残し、静かに横たわっており、走ってて楽しい。
今日ここまで、あまり街道っぽいところ無かったから、ようやくテンション上がってきたよ~。
100mほどで、「明治天皇御休所跡」の大きな石碑を発見!
さっきも似たような名前の史跡があったけど…。
どうやらこれが本陣跡らしい。
300mぐらいかな?
道なりに走り、やや左にカーブした地点に「高札場跡」もあった。
突き当たって右折。
そのまま中央本線に沿って走る。
再び踏切。
はい、「十二」ね。
再び人家のない田舎道。
くねくねとうねりながらの1本道。
前方には中央アルプスの山々を眺められ、のどかな気分に浸りながら走る。
またまた中央本線を渡り(十一ね)、その先で国19に合流。
すぐに国道の反対側に、大きな建物と、広い駐車場があり、多くの車が駐車している。
「道の駅大桑」。
車利用で中山道を走る(歩く)としたら、ここは拠点として結構使えるかもね。
一応、ここでも給水しておこう。
ゴール予定地点まで、あと少し。
国道の左側に再び渡り、そのまま走る。
500mぐらいで左手に「関山関所跡」の石碑を発見!
残念ながら、ただそう書いてあるだけで説明書きがない。
コスモタイガーも初めて知る名前で、これ、何だろう?
中山道でそんな関所、あったっけ?
東山道もここは通ってないしね~(中山道編14参照)。
疑問に思いつつ、足を進める。
ちょうどこの辺りで、中央本線はトンネルに入り、しばらく先で今度は右側に出てくる。
反対の左側を見下ろすと、静かな農村風景を見下ろす形になり、、思わず足を止めてしまう。(冒頭写真)
300mぐらいで、踏切がある。
第十ね!
今日は国19と、ここでお別れね。
右折してこの踏切を渡り、大桑集落へと入っていく。
ちなみにこの道、県道265号になるらしい。
この大桑は、中山道の合の宿だったらしく、年代を感じさせる民家が並んでいる。
目印代わりの大桑郵便局が現れ、ホッとする。
すぐ先の十字路があり、中山道はこのまま直進だけど、予定通り、ここを左へ。
50mほどで、大桑駅前に出て、ここを本日のゴールとする。
中山道だけで、約15km、実走17~18kmといったところかな?
すでに手元の時計は16時を指している。
「駅前」といってもさ、普通しか止まらない小駅だし、車が2~3台止められるスペースがある程度で、商店とかレストランの類はなーんにもないけど。
乗客も、自分以外、誰もいないようだ。
あと10分ほどで電車が来るはずなので、急いで着替える。
中央本線、といいつつ、普通列車は1~2時間に1本程度。
乗り遅れると、かなりのロスだ。
さぁ、予定通りの電車に乗れたし、乗り継いでまっすぐ家路につこう!
中津川、金山で乗継、大高駅に到着したのは18時半過ぎ。
随分日が短くなってきたね~。
すでに辺りは暗くなりつつある。
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