BOXING観戦日記

WOWOWエキサイトマッチなどの観戦記

WBC世界Lヘビー級タイトルマッチ

2010-02-19 19:01:05 | Boxing
王者 ジャン・パスカル VS 挑戦者 アドリアン・ディアコヌ

パスカル 判定勝利

考察 ~パスカル~

アクシデントは脱臼ではなく亜脱臼ではないか。
これは三角筋や僧帽筋を鍛えることである程度予防はできる。
野球のピッチャーや力士、レスラーの職業病とも言える。
2年前に岡山県の某療養所で千代の富士の講演を聞く機会に恵まれたが、
かの大横綱は一日数百回の腕立て伏せを数年間継続することで
脱臼癖を克服したという。
日本語ではパンチを打つというが、英語ではこれをthrowと表現する。
他にもshoot、fire、popなども用いられるが、
基本はパンチは「投げる」ものという認識だ。

怪我によって好戦的な側面を出すようになったのか、
それともスタイルチェンジに伴う負傷なのか。
そこは分からないが、おそらく左一本でも戦えるテクはあるだろう。
(相手のレベルにもよるが)
倒すことよりも強く打つことを意識したスタイルは
前戦のKOの自信の為せる業か。
ただし、この試合はリマッチ。
本当の評価はさらに先になる。

考察 ~ディアコヌ~

ガードを高く掲げて上体の振りを最小限に抑えようとするムーブは
地味なポイントゲームには資するが、
スピードとリーチには絶望的に恵まれておらず、
またそのファイトマインドはコンビネーションに頼らず、
意識的に一発ずつを強く打つ(≠当てる)ことにあり、
良い意味でも悪い意味でもアマチュアらしさがあふれる。
あらゆるスタイルに最小公倍数的に対応できるがゆえに、
特定スタイルの持つ因数(factor)にあっさり分解されてしまう。
イチローは野球の最も厳しい要素にキャッチボールを挙げ、
また城島も捕手の送球は技術であり愛情であると喝破した。
スタイルに意志が現れるのは当然だが、パンチにも意志が欲しい。
ディアコヌは自身のジャブにこれほどの哲学を込めることができるだろうか。