BOXING観戦日記

WOWOWエキサイトマッチなどの観戦記

WBC世界Sフライ級タイトルマッチ

2011-08-29 19:23:05 | Boxing
王者 トマス・ロハス VS 挑戦者 名城信男

ロハス 判定勝利

考察 ~ロハス~

序盤、中盤、終盤と山場がなく、いや、あったかもしれないが、
自分には見えなかった。
終盤に近づくにつれて手数が少なくなったのは、スタミナの消費もさることながら、
常に相手よりも手数を多く出すことを意識していたからだ。
相手の手数が減れば、自分の手数も当然減る。
本人のイメージとしては河野戦が近かったのではなかろうか。
河野は打たせて、かつ、当てさせてくれたが、
名城は打たせるほどには当てさせなかった。
ただし、両者とも王者に決定的なパンチは当てていない。
(河野の12ラウンドをどう評価するか…… 仕留められなかったからなあ)
中間距離でのフックもアッパーもジャブも切れる王者なので、
日本の伝統的なファイターでは苦労するのが目に見える。
ただ本当に警戒すべきはアッパーのみ。
河野がしこたま喰らい、名城が無意識の内に怖がったのはこれだけ。
1ラウンド目で腰が引けてしまえば、それだけでアッパーを半分封じたことになる、
と思っていたら、スリヤンが来た見た勝った!!!
日本人選手トホホ。
だが、扉はむしろ近くなったかもしれない。
開きやすくなったかどうかまでは分からないけれど。


考察 ~名城~

今更詳細にレポートするのもアレなので簡単に所感のみ。

「自分のボクシングが世界の採点基準に合わないのか」という疑問(正確には不満)を
今頃になって表明するのははっきり言ってどうかと思う。

徳山の言をいかに聞くか。
リードを磨かなければならない。
そしてリードはジャブだけではない。
リードがあればボクシングが無限に拡がる。
途中で「もっと我武者羅に」という言葉があったが、
これについては最近面白い本を読んだ。
野球の野村克也と将棋の米長邦雄の著作。
単なるがむしゃら、やけくそ、開き直りには理がない、
そこに理外の理を求めなくてはならない、と。

それにしても格段にムニョス戦から比べて格段に打たれ弱くなったようだ。
アゴが脆くなったというよりも、被弾に対する心理的・精神的な予備力に
余裕がなくなってきたという方が正しいか。
濃すぎるマッチメークのツケが現れてきたのかもしれない。

それにしても真田幸村はイカンだろ。
確かにここ関西のみならず日本中で古くから愛されてきた武将ではあるが、
大坂夏の陣は壮絶な負け戦だったのに。

IBF世界Sミドル級タイトルマッチ

2011-08-29 18:45:28 | Boxing
王者 ルシアン・ビュテ VS 挑戦者 ブライアン・マギー

ビュテ 10ラウンドTKO勝ち

考察 ~ビュテ~

サウスポーのテクニシャンで、タイミング抜群の倒し屋という浜田評で
すべて説明がついてしまいそうなボクサーになったなあ。
この前後の試合まで考えるに左アッパーを顔面とボディに入れるタイミングについては
完全に自信がり、その技術もあり、練習でイメージでき、試合中に微調整できるのか。
最適なカウンターを取るための位置取りがそのままディフェンス意識の向上に
直結しているので、不用意にパンチをもらうことがない。
テクニシャンは概して距離を置いて、パンチを打たせないが、
この王者は距離が遠すぎず、パンチを打たせるが、当てさせない。
サンデーパンチの左アッパーはそのモーションからインパクト~フォロースルーで
右ガードを下げざるを得ないが、この「当てさせない」哲学が危険性を減じている。

スーパー6が激戦と凡戦の繰り返しになっているのを横目に淡々粛々と
防衛を重ねていく姿には批判と称賛の両方があるが、私的にはビュテを評価したくなってきた。
なぜなら見れば見るほど、底が見えないから。
ほんの数年前に階級最強・最高か?と思われたミハレスのような怒涛の勢いと一掬の不安が
同居している。


考察 ~マギー~

王者がすでに自らのスタイル、パターンを確立していることは分かっている。
ならば対策は立っていたはずだが、ある意味魅入られるように上へのアタックに
固執したのは斜に構える王者の懐の深さのためというよりも、
王者の巧まざるフェイントによるものと考えられる。
高度なフェイントというのはやっかいなもので、たとえばJ・テイラーや徳山のボクシングを
思い起こしても分かるように、自分が動いても動かなかくても主導権を握られてしまう。
もらった瞬間にゲロ吐きそうなパンチを幾度となく喰っていたが、アレは後に引きそうだ。
ボクサーというのは勝っても負けても、まずは寝て起きて食うのが三手ひと組みの営為になるが、
消化器へのダメージで、三日間はストレス発散できるほどには食えなかったのではなかろうか。