BOXING観戦日記

WOWOWエキサイトマッチなどの観戦記

WBA世界Sライト級暫定王座決定戦

2011-06-13 22:08:01 | Boxing
マルコス・マイダナ VS エリック・モラレス

マイダナ 判定勝ち

考察 ~マイダナ~

一撃に特化したスタイルで、たとえば日本の指導者なら
ガードの位置、足の運び、パンチングフォームなどを
これでもかというぐらいに修正されそうだが、
いつ、どこで、誰と戦っても安定している(=乱れない、の意)
そのファイトスタイルは常に観る者に激闘を約束する。
ただし、A・カーンのようにとことんスピードとフットワークを使うような相手は苦手で、
一人相撲に陥ってしまうことも証明している。
もちろん一人相撲でもスリルと期待を維持させるから厳密には一人相撲ではないのかもしれない。

当てるための布石としてのリードや追い回しは使っていたが、
相手の経験とスキルが明らかに自身のpressureを上回る場面もあり、
苦闘になることもあったが、それがまた自身のペースにもなった。
WOWOWで見る限りでは快勝という試合はなく、
冒頭に言ったとおり、激闘の連続だ。

それにしても指導者との出会いはあらゆる分野で重要だとつくづく思う。
イチロー、野茂は仰木監督でなければフォーム修正を施されたのは間違いないし、
そうなっていれば大成しなかったのも間違いない。
マイダナにしてもいい出会いがあったに違いない。
それともアルゼンチンはどこかの島国とは違って、
個性を尊重する土壌、伝統が豊かなのだろうか。
いや、よくよく考えるとS・マルチネス以外のボクサーを見るに
パンチャー偏重の国のようにも思えるが、さて。


考察 ~モラレス~

試合が決まった時点からメディアにKO負け、病院送りを危惧する記事が多かったし、
復帰後の試合内容から同様の危惧を抱いていたファンは多いはず。
自分もその一人だった。
ボクサーは敗戦を重ねるごとに通常は弱体化し、
引退から復帰しても往年の輝きは戻らないことが遥かに多い。
(メイウェザーの場合は引退しているといえるのだろうか?)
V・クリチコは数少ない例外だろう。

復帰後の試合はどれも輝いたと言えるものではなかったが、
ring rustを削ぎ落とす過程だったのか。
打ちつ打たれつの中で見せるカウンターと防御勘は見事だった。
また片目がほぼふさがった状態で敢えてボクシングせず、
打ち合いの中に活路を見出したことで、
自らの経験が最大に生きる展開に持ち込めたのは僥倖だったようだ。

これはマルケス、バレラについても当てはまることだと思うが、
モラレスは元々の骨格が標準よりも細いのかな。
ウェートを上げるほどに胴回りが太くなるのを見て、ふとそう思った。
メキシカンに長らく四階級制覇が出てこなかったのは
民族的な身体特性があるからなのかもしれない。
日本人はもっと細いように思えるのだが、どうだろか。
ファイティング原田は太く頑丈な骨格を持っていると考えられるが、
彼以外に階級をどんどん上げた例が少なく、判断は難しい。
亀田興毅?
どう考えても芯は細いでしょ。

WBA世界フライ級タイトルマッチ

2011-06-13 19:45:19 | Boxing
王者 ルイス・コンセプション VS 挑戦者 エルナン・マルケス

マルケス 11ラウンドTKO勝利 

考察 ~コンセプション~

ゴルフの世界では「ドライバーはショー、パットはマネー」という格言があるが、
ボクシングに置き換えると「パンチはショー、ディフェンスはマネー」となるか。
往々にしてボクシング界ではこれがvice versa(逆もまた真)となるのだが。
この選手は(求められるべき)ボクサーのエッセンスよりも、
ショーマン、エンターテイナーとしての要素が強すぎる。
5ラウンドの右の超速アッパーは外れはしたが、当たれば10カウント確実もの。
しかし、それを打つまえのガードがガラ空きでは……
とにかく右の一発のリスクが自分にとっても相手にとっても高すぎる、いわば諸刃の剣だ。
当然相手にダメージを与えもしたが、その後はカウンターで応酬された。
通常、肉体的なダメージを被れば、本能的にそれを避けようとするものだが、
この選手は観ていた限り、そうした行動に出ようとしない。
アドレナリンやセロトニン分泌が通常人よりはるかに多いだけでなく、
攻撃的な性格が本能をも抑え込んでいるようだ。
いや、むしろ最も原始的な本能丸出しで戦うからこうなるのだろうか。


考察 ~マルケス~

展開としてはまったく異なるが、随所にカサマヨルvsカチディスを彷彿させる
カウンターが入った。
視野が狭いファイターには側面からのカウンターが有効であることを
証明するかのような試合だった。
カウンターの右フックが面白いようにヒットし、実際にダメージも与え、
顔面も変形させたが、相手のタフネスがこちらの攻撃を上回っていた。
ここで精神的に辟易することなく、状況に応じた守備と攻撃に徹したのは
相手とは対照的に理性的な判断だった。
下馬評は不利で、管理人も実際にunderdogだと思っていたが、
どうしてなかなか予想を裏切ってくれる。
ドネアとの対戦経験とその後のドネアの圧倒的なパフォーマンスが
自身の源になっているのだろうと推測する。
清水がコンセプションと内定してたという噂もあったが、
一撃に特化した前王者よりも総合力で勝負できそうなこちらの方が、
選択肢としては悪くない。