BOXING観戦日記

WOWOWエキサイトマッチなどの観戦記

WBA世界ミドル級タイトルマッチ フェリックス・シュトルムVSジェイミー・ピットマン

2008-06-16 22:28:46 | Boxing
シュトルム 7ラウンドTKO勝利

リング中央のガチャガチャの打ち合いにではなく、
すれ違いざまの一撃に対して歓声が沸くところなどさすがにドイツだ。
それにしても今日のシュトルムはやけに塩分が薄かった。
鉄壁のブロックはいつも通りだが、これはA・アブラハムとは一味違うブロック。
アブラハムの腕力と体幹の力をベースに置いた脇をしぼるブロックに対し、
シュトルムは相手のパンチの間合いとタイミングを見切って瞬間的に受け止める、
またはそこからボディワークに移行するタイプ。
ピットマンの速いワン・ツーに苦もなく対応したが、これは豊富な練習量と
積み上げてきたキャリアの証明だ。
これは攻撃においても当てはまる。
瞬時にパンチの当たるポイント、角度を見切り、インパクトの瞬間に拳を握り込んでいる。
一発の力においてはアブラハム、パブリックに劣るが、
インテリジェンスの面では3人の中では一番上と見る。

ピットマンはオリンピアンなだけあって高速のワン・ツーを基調にした良いボクサー。
だが、相手との相性が悪すぎた。
これまでは中間距離でビシビシ気持ちよく打ち込んで勝ってきたのだろうが、
それが通用しないと分かった途端に軽いパニックに陥った感がある。
3ラウンドのクリンチの際の右足の引っかけがそれ。
こういうメンタリティーでは世界タイトルは奪い取れない。
獲ったとしても防衛はできない。
使える武器を増やす必要がある。
右リードをダブル・トリプルで繰り出すとか、なにか工夫が欲しい。
中に潜り込まれた途端にナックルの返らない猫パンチを無闇に振り回すなど、
完全に若さを露呈してしまった。
一皮向ければすぐにタイトルマッチ戦線に戻ってこられるだろう。

WBC世界S・フライ級挑戦者決定戦 ホルヘ・アルセVSデビッド・ナコンルアンプロモーション

2008-06-16 22:11:27 | Boxing
アルセ マジョリティーディシジョンで勝利

聞き間違いか、レノンJrがsuperplumaの挑戦者決定戦だと紹介してた?
スーパーフライはsupermoscaだが、まあ、管理人のスペイン語もまだまだなので
管理人が間違っている可能性もあります。

8ラウンドの公開採点に従えばスプリットドローだろう。
管理人採点では114-113でデビッド。
地元判定と言ってしまえばそれまでだが、これでミハレスに再挑戦?
またタコ殴りのうえ血ダルマにされるだけだと思うが・・・

それにしてもトラビエソは終わってしまったのか。
サウスポーが苦手どうこうではなく完全にパワー不足。
Sフライで世界王座を奪取するにはよっぽどの幸運が必要だ。
自身の左の強さに自信があるのだろうが、バリエーションには乏しい。
ロングの左アッパーに光明を見出せそうな場面はあったが、
もともとスピードやタイミングで勝負するタイプではない。
ならば馬力で捻じ伏せるしかないが、ナチュラルなSフライウェイト相手には通用しない。
ボディもデビッドのブロックに阻まれ思うようにはヒットしなかった。
パンチを打ちやすい体勢を作りたい意識が強すぎるせいか、
カウンターを一発もらうたびにガードをアゴに置くが、またすぐに下がる。
で、カウンターもらう、の繰り返し。
辛うじて挑戦権は獲得したものの前途多難としか言いようがない。

デビッドはウィラポンの弟弟子だけあって終始ポーカーフェイス。
相手が効いても自分が効いてもプランに乗っ取って戦う=命懸けで勝負した。
アルセのアウトサイドから振り回してくるパンチに対して
インサイドから真っ直ぐに伸びるカウンターは実に効果的だった。
8ラウンド終了後の公開採点を受けて、一挙に攻勢に出たが地元判定に敗れてしまった。
クロスレンジでは小さく振るう左右のショートアッパーが印象的。
ミドルレンジでは、フェイントを多用するわけではないが、
相手の脳裏にカウンターの残像を刻みつけ、小まめなヘッドスリップで主導権を握った。
その左カウンターは2種類。
タイミングを重視した真っ直ぐと、左肩ごと相手にぶつけていく威力重視の真っ直ぐ。
特にヘッドスリップで相手のパンチを肩の上にかすらせながら
カウンターを放つ様は教科書に載せたいほど。
単なる出会い頭ですらカウンターと称される現代ボクシングにおいて
これほど純なカウンターパンチャーは貴重ですらある。
ドイツのリングでキリロフと戦ってみると面白いかもしれない。