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思索 電子回路 論評等 byホロン commux@mail.goo.ne.jp

熱回路への誘い①

2009-09-08 17:07:50 | 電子回路
熱伝導と熱抵抗

ある直方体(立方体含む)の物体があるとします(図1参照)。この直方体の正方形で対面する2つの面に「温度差」がある場合、温度の高い方から低い方へ「熱」が伝導します。この物体の熱伝導についての考え方は、少し電気を知っている人には容易に理解できます。何故なら、電気回路におけるオームの法則と合致するからです。

まったく同じ寸法の直方体でも、物性が異なれば伝導する「熱」の大きさが変わります。この物性の違いによる、熱の伝えにくさ(伝えやすさ)を「熱抵抗」Rとし、「温度差」ΔT、「熱」Wとすれば、それぞれの関係は次式で表すことができます。

ΔT=WR
W=ΔT/R
R=ΔT/W

熱回路
これを電気回路に当てはめると、温度差ΔT:電位差ΔV、熱W:電流I、電気抵抗R:熱抵抗Rに対応します。(熱Wは、量の概念としては、「熱流」です。)よって図1は、下図のような回路図に表すことができます。

熱容量
熱回路におけるもう1つ重要なパラメータが「熱容量」Cです。これも電気回路におけるコンデンサCに相当します。熱容量Cは「C=物質の比熱×物質の質量」で求められます。

熱容量Cの大小により、いったい何が変わるのでしょう。「C=比熱×質量」の式からも分かるように、熱容量が大きいほど「熱しにくく冷めにくい」ということです。例えば空気の比熱=1(J/gK)、水の比熱=4.18(J/gK)ですから、両者の質量が同じとすると、水の熱容量は空気の4.18倍ということです。言い換えると、温度を1℃上げるためには、水の場合は空気の4.18倍の「熱量(J)」が必要になります。


「対流」と「放射」
話が前後しますが、熱の移動は、「伝導」、「対流」、「放射」の3つの形態があります。これまでの記述は、実は「伝導」による熱移動についての話しでした。

「伝導」は物質中を熱エネルギーが分子の振動として伝播していくことです。
「対流」は物質の表面から周辺空間物質への熱の拡散です。エンジンの空冷や水冷などがこれに当たります。また石油ストーブなども「対流」を利用したものです。
「放射」は物質の熱エネルギーが直接外部の空間へ赤外線などの電磁波として放出され拡散することです。オーブントースターや電気ストーブなどがこれに当たります。

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抵抗の温度 2009-08-24

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