「熱回路への誘い④」の続きです。
ラプラス変換式を解いていきましょう。
ΔT=(W/s)(Ra/sCS)/ (1/sCS+Ra) ----- ③
式を変形します。
ΔT=(W/s)(Ra)/(1+sCSRa)
ΔT=(W/s)(1/CS)/(1/CSRa+s)
ΔT=(W/CS) /s(1/CSRa+s)
ΔT=(W/CS)(CSRa){1/s-1/(1/CSRa+s)}
ΔT=(WRA){1/s-1/(1/CSRa+s)}
逆ラプラス変換します。
ΔT(t)=WRa{1-e^-(1/CSRa)t } ----- 解
結果的にこれも1次遅れ特性になりました。
各パラメータに数値を入れます。
空気の熱抵抗:Ra=103.2(K/W)
ですが、「放射」による熱の拡散を考慮して2/3を乗じた値とします。
空気の熱抵抗:Ra=68.8(K/W)
セラミックの熱容量:Cs=3.17(J/K)
熱(I2R):W=3 とします。
もとめる式は 1/ CsRa=1/218.1 =0.00459 だから
ΔT(t)=206.4 (1-e^-0.00459t ) となります。
上図に、求めたΔTの応答波形を示します。
理論値による数値計算のみで求めたわりには、けっこういい線いっているようです。しかしながら、やはり実際との誤差はかなり大きく表れています。これを整合させるためには、恐らく、もっと多くの複雑なパラメータを考慮する必要があるのでしょう。抵抗メーカーや、ハンダコテメーカーが「温度上昇」に関しては、すべて測定値を仕様書に記載している理由がわかる気がします。複雑な計算のわりには実入りが少ない。
というわけで、今回計算で求めた値も、経験的値に基づいて強引に数値補正をします。
空気の熱抵抗:Ra=68.8(K/W) ですが
抵抗の実測温度 / 計算温度:206/344=0.6 を補正係数としてかけます。
空気の熱抵抗:Ra=68.8×0.6 =41.3(K/W) となります。
セラミックの熱容量:Cs=3.17(J/K)
熱(I^2R):W=5 とします。
1/ CsRA=1/131 =0.007638 となって
ΔT(t)=206.5 (1-e^-0.007638t ) となります。
下図に、得られたΔTの応答を示します。
これなら、まあ使えないこともないでしょう。しかし、「抵抗の上昇温度の算出」というテーマは、試みとしてはおもしろいけど、実利が薄いというのが結論ですね。完
関連記事:
熱回路への誘い④ 2009-09-14
熱回路への誘い① 2009-09-08
抵抗の温度 2009-08-24
ラプラス変換式を解いていきましょう。
ΔT=(W/s)(Ra/sCS)/ (1/sCS+Ra) ----- ③
式を変形します。
ΔT=(W/s)(Ra)/(1+sCSRa)
ΔT=(W/s)(1/CS)/(1/CSRa+s)
ΔT=(W/CS) /s(1/CSRa+s)
ΔT=(W/CS)(CSRa){1/s-1/(1/CSRa+s)}
ΔT=(WRA){1/s-1/(1/CSRa+s)}
逆ラプラス変換します。
ΔT(t)=WRa{1-e^-(1/CSRa)t } ----- 解
結果的にこれも1次遅れ特性になりました。
各パラメータに数値を入れます。
空気の熱抵抗:Ra=103.2(K/W)
ですが、「放射」による熱の拡散を考慮して2/3を乗じた値とします。
空気の熱抵抗:Ra=68.8(K/W)
セラミックの熱容量:Cs=3.17(J/K)
熱(I2R):W=3 とします。
もとめる式は 1/ CsRa=1/218.1 =0.00459 だから
ΔT(t)=206.4 (1-e^-0.00459t ) となります。
上図に、求めたΔTの応答波形を示します。
理論値による数値計算のみで求めたわりには、けっこういい線いっているようです。しかしながら、やはり実際との誤差はかなり大きく表れています。これを整合させるためには、恐らく、もっと多くの複雑なパラメータを考慮する必要があるのでしょう。抵抗メーカーや、ハンダコテメーカーが「温度上昇」に関しては、すべて測定値を仕様書に記載している理由がわかる気がします。複雑な計算のわりには実入りが少ない。
というわけで、今回計算で求めた値も、経験的値に基づいて強引に数値補正をします。
空気の熱抵抗:Ra=68.8(K/W) ですが
抵抗の実測温度 / 計算温度:206/344=0.6 を補正係数としてかけます。
空気の熱抵抗:Ra=68.8×0.6 =41.3(K/W) となります。
セラミックの熱容量:Cs=3.17(J/K)
熱(I^2R):W=5 とします。
1/ CsRA=1/131 =0.007638 となって
ΔT(t)=206.5 (1-e^-0.007638t ) となります。
下図に、得られたΔTの応答を示します。
これなら、まあ使えないこともないでしょう。しかし、「抵抗の上昇温度の算出」というテーマは、試みとしてはおもしろいけど、実利が薄いというのが結論ですね。完
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さて、ご依頼賜りましたが、恥ずかしながら私も当時、勉強をしながらまとめていった記事ですので、細部はかなり忘れてしまっていますね。おっしゃられていることの意味はとてもよく分かります。少しお時間いただけますでしょうか。私もこの記事を再度読み返して、思い出しつつ検討してみたいと思います。