なんとなくクラシテル

獣医という仕事をしている人間の生活の例の一。
ほとんどが(多分)しょーもない話。

社台カンファレンス

2021年09月30日 | 仕事

に参加。いつもは北海道で開催されるので、全くアクセスできないのだが、今回はオンライン、それなら症例報告できそうだと思って。オンラインの良さ・悪さ、両方を感じた会になりました。基本的には参加できてまあよかったなあ、と。

 ただまあ、小動物臨床医が大動物に一種「道場破り」風なことをする、と取られているようで。別にそんな気はないのだが。というか、とにかく現在の日本の獣医師法上は、獣医ならヒト以外なに診たっていいのだ。だから、こちらの常識に基づいて問題を捉えてみてるだけなので。変な「ムラ」的というかオジサン的な排除はおかしいですよね。

 オンラインのいい点は、要は日本中というか、世界中から軽く参加できて聴講できる点。悪い点は、質問を受けて、答えて、うーん、それが文書になってしまうので情報量が少ないというか、話が広がらないところ。

 蹄病なんですが、要するに「爪水虫」だろうと。でね、そもそも優秀な抗真菌剤が出てきたのは、ここ5・6年の話。それ以前は、実は真菌症に対する安全で効果的な経口投与薬が一時期日本では0になっちゃって(グリセオフルビンが製造中止になったのが大きかった)、空白の時期があった。今、人間では介護施設で爪水虫が大爆発しているらしい(介護施設で仕事している方が教えてくれるのだ)のだけど、結局その時期に水虫治療を受けられず、ずるずる来ちゃって、&施設でマットだの爪切りだのを消毒もせず共有しちゃうもんで広がってしまっているのだ。同じ事象が、今、乗馬クラブで、というより、世界中の馬牛に起きている。基礎的な消毒知識が獣医にも装蹄師にもオーナーにも乗馬クラブにもないんだもの、どーしよーもない。

 抗真菌薬の歴史としては、長らく白癬症にはグリセオフルビン・他はアムホテリシンB、このアムホテリシンBというのはもう、ほぼ毒薬と言っていい代物で、今もまあありますけど、とてもじゃないが動物にはおっかなくて使えない。グリセオフルビンはそれよりは全然マシ&角質にほとんどが移行するという、白癬症について極めて有利な性状があって、まあまあ使えたんです。ところが、これが製造中止に。

 あー困った~~、となってたのが10年くらい前か、そしたら海外で「ケトコナゾール」というのが出てきた。海外では経口投与薬として認可されてたんだけど、日本では外用薬としてしか認可が下りず。数年後、同じイミダゾール系抗真菌薬として「イトラコナゾール」や「フルコナゾール」が出てきた。経口投与・静注薬と、しかし、白癬症にはイマイチ、そしたら全然違う系統の「テルビナフィン」が出てきた。で、この薬の薬価がそこそこお安い(安くはないが)。安全性も高い。やっとやっと使える薬が出てきた、ってわけ。

 従って、今は水虫はちゃんと治る。というか、治さないと、あちこちに広げちゃってご迷惑様になる病気。思うに、白癬菌&虫歯菌って人間&家畜周りにしか存在しないんですよ。こいつらも「家畜化」されてるんじゃないの?という疑問。とにかくカビは怖い。ちゃんと治すべきなんですわ。なんとかしないと。


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