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なんとなくクラシテル

獣医という仕事をしている人間の生活の例の一。
ほとんどが(多分)しょーもない話。

飼い主

2018年03月18日 | 仕事
の大部分が「日本人」ってことで、日本人について。 

 なにしろ千年以上も昔から「和を以て貴しとなす」が国策みたいになっていた国の民族だもの、国内で内戦状態に陥っていたのは戦国時代と江戸~明治の変換期程度だし。大河ドラマではやたら戦国時代を舞台にしたがるが、要するに「ケンカしてどうこう」系の盛り上がりを作れる時代がそのくらいしかない、という事でしょう。
 戦国時代の大名は、かなり無理していたんじゃないかと思う。上杉謙信公は、間違いなくアルコール依存症だったでしょう。で早死にと。そんなのを散々見ていたから、徳川家康公は養生に励んだんでしょうね。いつ死ぬかわからん、誰かと常に角突き合わせて、というのは、日本人の気質にどうしても合わない点があるようだ。

 もう一つ、日本人はどうでもいいことについてまで生真面目である。ちゃんとしなくちゃ病って感じで、しかも、ちゃんとする「理由」は世間様だったり他人様だったりする。自分で決める、事が不得手。もっと言えば、責任が取れない。だから、リーダーに不向きなんですね。商工会に出入りしていると、シャチョーさんの大半がダメ社長っぽく見えるんだけど、不向きな人物がシャチョーやってるからじゃないかな、と思っちゃうのだ。自分で適切な判断が全くできないから人のせいにしちゃう、というような。

 そんな日本人が犬や子供を「しつけ」る、となると、その目的は結局「よそ様」になっちゃう。よそ様に迷惑にならないように、よそ様に後ろ指さされないように、という躾は、基準がないので、明快さに欠ける。そうでなければ、その時々の「気分」で「しつけ」てしまう。「しつけ」というのはれっきとした教育なんだけども、そういう認識に欠けた人間が気分でしつけると、簡単に虐待行為に落ちてしまうわけだ。この場合は、しつける側の「気分」が気圧みたいにしょっちゅう変動するので、しつけられてる側は全く気が休まらない。いつも顔色をうかがって行動する癖が付いてしまう。そういう人が誰かをしつけようとすると、まーた基準がなくなってしまう。この関係は簡単に支配被支配関係に陥りやすい。で、密室内の虐待だの監禁殺人だの、という事件につながるのだ。犬のしつけといえどもその辺の問題が噴出してくるときがあるから、油断ならない。

 さて、飼い主側の問題に「飼った経緯」を挙げたのは。猫の飼い主が猫について特段問題点を感じない理由の一つに、今はそうでもなくなっているが昔は「拾った」が、飼うきっかけになっているケースが大半だったことがあるのではないかと思っている。この場合、飼い主は「拾った」段階で、すでに腹をくくっている。このチビは病気もあるかもしれないしノミがたかっているかもしれない、金もかかるだろう、この辺を飲み込んで「拾って」くるわけだ。従って、猫に何一つ期待していない。

 犬はそうじゃない。拾い犬もいないわけではないが、特に今は圧倒的多数がペットショップやブリーダーからそこそこの大金を払って「買って」きている。「運命の出会い」とか何とかいうが、別にそんなことはなくて、その人が買わなけりゃほかのだれかが買うだけなんですけどね。しかし、金を払ったそれなりの見返りはあるよね、という期待は誰もが持つのではないかしら。子犬はそんな期待を意味なくかけられている。わざわざ厄介ごとを大金払ってしょい込んでしまった、とは考えたくないのが人間です。なかなか「買い主」「飼い主」に変身できないんですよ。

 もう一つ、困ったなと思っていること。家族からの「プレゼント」やら、子供世代からの「押しつけ」で犬を引き取らされる人が増えているのだ。最近目立つのは、子供世代(もちろん社会人・家庭持ちの人も多い)が犬や猫を飼った、のが、飼いきれなくなって実家に押し付けて逃げちゃうパターン。「飼う」現実を全く何も考えないで、オモチャ感覚で動物を買ってきちゃう、のがいい年した大人である、というのがね・・・・・。どうなってるんだろう?と不思議なのだが、これもその家庭の本来の親子関係が影響していることは間違いない。いい年した大人をその上の世代が未だ甘やかしている、という事か。

柴犬

2018年03月17日 | 仕事
や、その系列の雑種犬がしかし、一番トラブルを起こしやすい、のには、これはもっと根深い理由があるので、じっくり説明しようと思います。

 そもそも、昭和という時代に犬を飼う目的は、多分基本的には「番犬」だった。庭を走り回って、道行く人にギャンギャン吠えていた犬は、その職務をきっちり履行していた、ともいえる。犬を「室内飼い」するなんて、考えもしない、のが普通だったんじゃないかと思う。

 ところが、平成になるあたりから、だんだんいわゆる「お座敷犬」が増えてきた。トイプードルとかあたりからかな。「トリミング」という職業が出てきたものその頃で、それ以前は仕事にならなかったと思うのだ。「犬種図鑑」みたいな本も出てきて、ブリーダーと呼ばれる繁殖業者が出てきて、あっという間に「室内飼い」が主流になってしまった。それにつれて、躾がやかましく言われるようになり始めた。要するに、犬を飼うのに向いていない日本家屋に犬をいきなり入れちゃって、うわートラブルだらけ、それをどうにかしなくちゃってんで「しつけ」でなんとかならんか、という事を、日本人は期待したんでしょう。

 それに伴って、あれこれ海外から「しつけ法」なるものが輸入されてきた。一番最初に入ってきたのが「人がリーダーになりましょう」という「α」がどうのこうの、という方法で、これが未だに幽霊みたく「犬のしつけ」というと出しゃばってくる。当時の日本人は、とにかく欧米に対しての劣等意識が酷くて、なんでもかんでも無批判に導入してしまう悪い癖があって、犬のしつけ法なんかはその最たるものだった。躾の根拠がよく分からないまま、一生懸命それを実行しちゃったのだ。

 ところで、西洋の犬と日本犬とは、品種としての成り立ちが全然違う。西洋犬は、原則すべて、なにがしかの「使役」目的があって、それに対応する形で変化したのが品種として固定される、を繰り返している。つまり、どの犬種も「人に対して」こういうお役目という上下関係が前提。キリスト教というバックボーンもある。キリスト教は、基本動物は全く考慮外の宗教で「動物福祉」というのも、原則的には「お気の毒だからどうにかしよう」的上から目線によるもの。だから、家畜が人に反抗なんてもっての外、と思っているフシがあるんです。西洋人は、老衰の犬を介護なんかまずしない。かーんたんに安楽死させちゃう人達なんですよね。で、それについて別段なんとも思っていないらしい。

 日本犬はどうかというと、「使役」目的で品種固定がなされたのは、狆(大奥のお座敷犬、というのは立派な使役です)と土佐犬・秋田犬(これらは『闘犬』として品種固定されている点に注意しなければならない)程度。あとはなんとなく人の周りをふらふらしていて、特に何かしている、という事もなかった犬どもを、それなりに同じような体型や毛色に整理して「犬種」として成り立たせた経緯がある。「外見」のみが犬種の固定に関わった。一応猟犬として使われていた犬もいたようだが、西洋の猟犬のようなシステマティックな訓練を受けて、というものではない。この辺りは、まず仏教という宗教上のバックボーンもあるし、江戸時代の「生類憐みの令」も影響しているんじゃないかと思う。江戸時代には、ウソみたいだが、犬や牛が人の代わりに伊勢参りとか善光寺参りとかを実行していた、らしい。この場合は、その辺の旅行者に順番に連れられて、見事往復を成し遂げる、ということができていた。ガブガブむやみに食いつくような犬はいなかった、けど、人との関りもそれほど強いものではなかった、はずなのだ。だから、誰に連れられてもホイホイついていったんでしょう。何となく適当に共存、という感じだろうと思われる。上下関係もくそもない、というわけですね。

 ところが、昭和あたりからちょっと事情が変わってきた。適当にはまずい、ちゃんと飼いましょう、ってまずなって、犬は外で飼うなら鎖でつないどけ、狂犬病の注射をしろ、というお上からのお達しがきつくなってきた。で、鎖でつないで飼うなんてかわいそうだなあという事で、室内飼い、なら躾しなくちゃ、というところに西洋式のしつけが入ってきた。リーダーにならなくちゃいけない、で、言うことをきかせないと、というのは、完全に「使役」目的の訓練法です。

 この西洋人が西洋の犬にずうっとやってきたしつけ法というのが、日本の犬には全く合わなかったのだ。今までマイペースで適当に人間と共存してきたのに、いきなり「座れ」とか言われて、ポカンとしていると「こいつは分かってない」とやられて、「しつけなきゃ」とポカポカ叩かれたりする。今まではうんちもシッコもその辺に適当に済ませてOKだったのに、なぜか、「ウンコするな、シッコするな」(トイレをしつけようとしてダメ出しすると、犬はその「場所」が抜け落ちた理解をします)と言われて、我慢できずにその辺にすると、頭をその場に擦り付けられて怒鳴られる、ってなことを繰り返されたら、誰だって「理不尽だ」となりますわね。で、ちょっとしたことでも身構えて人に咬みつく犬が出来上がり、となってしまったのだ。

 一方、このしつけ法は、他ならぬ「日本人」にも全く向いていなかった。なぜか?日本人は「リーダー」なんぞになれるタマじゃない、人が大多数だから。これがさらにトラブルと混乱を生むようになった。やりつけない事を無理してやると、ろくなことにならない。

問題行動

2018年03月17日 | 仕事
といわれているものについて、じゃあそれがどのような要因で「つくられるのか?」を考えてみると、こんな感じになりそう。



くくりは3つ。「犬」「飼い主」「環境」ですね。1つづつ検証してみましょう。

1)「犬」

 もうシンプル。何しろ動物です。単純なのだ。品種・ガタイ・本来の性格ーこれはかなり、そもそもの品種に依存しています・それに「今までされてきた事」が加わる。今までされてきた事に対して、前3つに基づいて行動しているわけ。

 例の「訓練所」にいた犬に、ある「品種」的な特徴がありそうなんだけど、お気づきでしょうか?原則「柴犬」あるいは「柴犬の雑種」というのが一番多い。若干ポメラニアンとかシェパードとかもいたけど、ほとんどが「雑種」というか、日本犬チックな外見の犬で、サイズ的には10㎏越えというところか。

 今までの自分の経験上も、トラブルになるのは、圧倒的に柴犬・または柴系の雑種が多い。次がゴールデンレトリバーの雄。追加してフレンチブルドッグやブルテリアのような犬。これには、明確な理由があるのだ。

 柴犬や日本犬の雑種については、他の犬種とはバックグラウンドの事情がだいぶ違うので、後で述べるとして。

 ゴールデンレトリバーなる品種は、シベリアンハスキーが大流行(これは、「動物のお医者さん」という罪作りな漫画の影響ですけど)から廃れてきて、保健所がハスキーだらけになった頃、でも、大型犬を飼いたい人たちが飛びついた犬だ。これの親戚のラブラドルレトリバーが盲導犬やら介助犬やらできびきび働いているのを見て、もうちょっと見てくれのいい犬、という事でゴールデンがはやったんじゃないかと思う。「おとなしくて躾がしやすくて」という見込みもあったでしょう。
 しかーし、それが大外れ、で困り果てるというケースが相次いだ。日本の一般家庭に大型犬は、基本的に「無理筋」なのだ。

 どういう事か?ここで「ガタイ」の問題が出てくる。ゴールデンやラブラドルという犬は欧米では、まだ「中型犬」扱いされちゃうんだけど、その理由は欧米人がグローブみたいな馬鹿でかい手を持ってて、そもそも欧米人のガタイが全然我々アジア人と違う、から。彼らは従って、犬に力負けしない。それから、背も高いから、犬に飛びつかれる程度でひっくり返るなんてことはないのだ。それに、土足で家を出入りして一日中靴を履いている彼らは、犬の「土足」にたいしても極めて鷹揚である。同じ理由で、彼らは床に物を置いたり、床にじかに座ったり、という事はしない。背が高いから、テーブルや椅子も背が高い。犬の顔も届きにくい。うまい具合に生活圏を分けることができる。

 ところが、日本人は違う。いいとこ170㎝位しかない我々にゴールデンの雄(30㎏以上ある)がワ~~イと飛びつくとどうなるかというと、後ろにひっくり返って頭を打つ。3㎏位の犬なら飛びついたって「まあ可愛い」で済むのに、30㎏の犬が同じことをすると「悪行」になってしまうのだ。
 ゴールデンには立派な尻尾がある。それを嬉しくて振り回すとどうなるかというと、コタツの上の物がすーべーてーなぎ倒される。コタツの上に食べ物を置くと、犬の真ん前に旨そうな食べ物が陳列されることになってしまう。誘惑が山ほど、やってはいけないことが小型犬の数十倍になるわけ。

 まあ、なんという理不尽

 それから、これは「品種」としての特徴になるが。「レトリーバー」という言葉の意味だが「retrieve:レトリーブ:回収する」からきている。狩りの獲物を回収するのが本来の仕事で、そのためなのか、とにかく何でもくわえてしまう。それだけならいいが、必ず齧る・壊す・家中をかじり倒してメッチャクチャにしてしまうのだ。子犬は基本的になんでも齧りたがるが、レトリーバー系の犬はそのレベルが最大級。大型犬だけに、やる事が凄まじい、と判断される。
 そのために犬に家をぶっ壊されて怒り心頭、という人が多く出た。元々そういう犬なんだからしょうがないでしょう、と言うのだが、そんなこと知らなかった、おとなしいと思ってたのに、と言い募った人たちが犬とケンカして、険悪になった挙句、犬を庭に追い出すそしたら今度は庭の土を掘り返しまくって南半球まで掘り進もうかって勢いになる。立派な芝生をめちゃくちゃにされて、さらに怒りが爆発、というパターンでしょうか。庭にも彼の安住の地はなくなって、で、最後は飼い主に咬みつくことになる。

 フレンチブルドッグやブルテリアの場合はどうだろうか。サイズ的には、日本人の手にぎりぎり負えそうなのだが、そうはいかない点がある。元々「闘犬」だったということ。闘犬上がりの犬だから、カッとなると手に負えなくなる。ブルテリアは、困ったことにその「カッとなる」のが表情から把握しづらい。熊もそうなのだが、無表情で怒る。ので、飼い主側からすると「いきなり本気で咬んできた」ということになるのだ。ピットブルテリアはその最終型。根っからの闘犬でケンカ慣れしてしているところへもってきて、テリア系の犬に特有の敏捷さがあるので(テリアからすれば、我々人間はスローモーションで動いているように見えるでしょうなあ)出し抜くのも上手い。これもね、そもそもそういう犬なんだから、しょうがないでしょ、となっちゃうんだけども。フレンチブルドッグの厄介な点は体形にある。ずんぐりむっくり、というガタイは可愛らしいのだが、取り押さえようとすると、あれほど難しい犬はない。なにしろエリザベスカラーを付けられないのだから。で、口がやたら大きいので、いざ攻撃モードに入られると、飼い主がどうにかするのは至難の業なのだ。

2018年03月14日 | 仕事
の問題行動、と呼ばれているものって、しかし、いったい何なんだろうか?実は、これも色々と揺れ動いているのだ。

 訓練所に持ち込まれてた、ギャンギャン吠えまくって飛び掛かりかねないような暴れ犬、昭和の家の庭先ではかなり普通だった。実家の近く(一応首都圏のベッドタウンだったが)の家で、庭で離されている犬なんか、自分とこの通りを人が通るたびにキチガイみたいに吠えまくる、というのがごく普通で、当時はおっかねえと思ってはいたが、それを「悪犬だ、ダメ犬だ、しつけがなってない」とはそうそう言われてなかったんじゃないかな。まあ、近所では内心うるさいなあと思う人はそこそこいた可能性が高いが。
 そういう犬が、平成ではダメ犬として、訓練所に放り込まれちゃう。

 つまり、「問題行動」なるものは、その時々の人の判断基準のみで作られているわけだ。これは、かなり不公平です。

 動物病院を始めて、いわゆる「問題行動」なるものの相談を受けるようになってきたのはいつ頃だろうか?どうしよう、と言われることも増えてきて、本も読んだし、しつけ講習を受けてみたし、まあ色々やりましたね。本当に考えた。で、気が付いたことがある。

 しつけで困った、と言ってくるのは、ほぼ全員「犬の飼い主」なのだ。「猫の飼い主」は皆無、といっていい。どうなってるんだろうか?猫だって、野良猫みたく懐かない、あちこちで爪を研ぎまくる、おしっこを家中にかけまくる奴、噛みつく奴も、いやもっと獰猛な猫もいる。けど、飼い主はへらへらしている人が多い。「うちの子はこんなだから」で済んじゃう。のに、犬の飼い主は深刻顔になって、下手をするとノイローゼみたいになってしまう。なぜだ

 おそらくは、犬は「しつけしてヨイコにして飼わなくちゃならない」という変な掟が社会に出てきたからじゃないでしょうかね。犬なんて、可愛けりゃいいじゃないかと思うんだが。

 で、さらに分かってきた事。犬の「しつけ」というけれど、飼い主の「困った」ってすごくシンプルなんですよ。結局この4つに集約されるとみていい。



 なあんだ、でしょ。しかも、これって本来、犬ならどんな犬でもやること。これを全面的にやめろというのは「犬やめてください」というのと同じことなのだ。しつけの目的がそれなら、もう、犬を飼わなけりゃいいじゃない、となります。

 最近、犬の飼育頭数が減ってきているのは、この辺をみんなが理解しつつある、という事かも知れない。
 

「プロフェッショナル 仕事の流儀 ワンちゃんスペシャル」

2018年03月13日 | 仕事
の、訓練士に対する意見、その2。対抗意見を述べます。

 「犬を更生させる」というナレーションで笑っちゃったんだ。アホくさ。犬に善悪の感情なんぞあるはずないっしょ。更生ってどういう意味じゃ
つまり、この番組を作っている側が勉強不足なんですよ。刑務所かっつの。犬はただ、状況に対応しているだけなんですね。まあ、犬にとっては「刑務所」かもしらんなあ、この訓練所。環境は劣悪っぽいし、いつおっさんに怒鳴られるか、殴られるかわからんし。どうしたって、おっさんの一挙一動に注目せざるを得ない。で、びくびくしつつ、とにかく言う事を聞いてりゃいいらしい、という事をそれなりに覚えた犬が「更生」した、とみなされる。わけね。で、「更生」できなかった犬は、この場所で終身刑ってことかあ。

 この訓練所らしき場所の問題点を挙げると。
1)環境が劣悪:別に成田空港の犬ホテル並みにしろ、というわけじゃない。しかし、一応預かりものをよくまああんなきったない場所に置いとけるなあ、と感心。ワクチンは打ってるようだが、寄生虫はそれでは防げない。TVには映らないから分からないが、おそらく相当臭いはず。匂いに敏感な犬だと、それだけでノイローゼになりかねない。
2)記録を取っている節がない:犬のいわゆる「問題行動」は犬側からするとちっとも「問題行動」じゃない。悪意でもって何かすることがないのが動物で、犬側からすると、どの行動にも、ちゃんとした「理由」がある。しかも、その理由は結構単純なことが多い。それは、飼い主から詳細な問診を取って、さらに、犬の状況をきっちり記録しているうちに見えてくるもの。「更生」が目的だと、その辺の対応が雑になる。記録してないから、時間がかかるわけ。状況分析ができてないんだもの。
3)扱っている犬の数が多すぎ:人ひとりで扱える動物の数は、自分のようなプロでもいいとこ5匹。きちんと状況を把握して記録を取って、となると、その辺が当然限界になってくる。完全にオーバーフローです。多頭飼育崩壊寸前にも見える。1匹に関わる時間はかなり少ない筈だから、当然成果が上がりにくくなるよね。

 さて、当院ではどうでしょうか?
 爪切りするのに大苦労する犬なんか、ゴマンといますよ。普通です、こんなの。しかも、うちには助手なんかいません。自分と飼い主のみ。で、爪切りは、できますんですよ~~。飼い主に捕まえてもらって爪切りしまーす。飼い主の方に捕まえてもらうというのがポイント。飼い主の皆様には、自分とこの犬を扱う自信を持ってほしい。これは、飼い主が自分で見出さなくちゃならないし、その方がやりがいもあるってもんです。犬には、ちっと大人になっていただきます。大丈夫、うちでは、あんたが予想するほどひどい目には逢わないから。それを理解すると、落ち着いてくれる犬多し。

 で、あの訓練士のおじさんは、猫を扱うことはできないと思うんだ。猫、あの方法でやったら、殺しちゃうと思うよ。猫の爪切りのほうが断然大変なんだけど、うちではやってます、普通に。どの飼い主さんも頑張って協力してくれますし、できるようになるのだ。悪いけど、訓練所なんぞにお願いする必要なんかないよ。 

 

 

「プロフェッショナル 仕事の流儀」

2018年03月13日 | 仕事
という番組がある。NHKが各仕事で当代一流とされる人達に取材して、その仕事ぶりを紹介するもの。今年1月29日には「ワンちゃんスペシャル」と称して、トリマー・獣医・訓練士の3人を取り上げていた。
 確か、この番組が取り上げようとした矢先に逮捕されちゃったコンピューター関連の人物がいましたよね。予告編までやってて、本編放映直前に逮捕、ちょっと危なかった~~、とNHKは思ってるかもねえ。

 大体、自分の仕事がらみの「スペシャリスト」なる人をテーマにした番組は見ない。あまり勉強になることもなくて、困ったなあと思う事が多いのだ。動物園なんかは面白いんですけど。ので、詳細はよくわからないのだが、この放映回に出た訓練士の訓練手法について、どうやらかなり議論が起きたようで、自分の大学の獣医科同窓会でも「あれどう思う?」という話が出たし、日本獣医動物行動研究会が体罰に対する声明を発表する、という事態になっている。無視できそうにないな、と思って、とりあえず、動画を探して見てみた。



 あーなるほどね。

 さて、この訓練士さんと同じようなセリフをどこかで聞きましたねえ。「戸塚ヨットスクール」ですよ。「自分は悪者になっても」かあ~~。うわ―自己満!!

 戸塚さんは日本全国から困り果てている親が送り込んできた「問題児」とされている子供を預かってビシバシスパルタ指導をやって、その体罰が高じて死者まで出して逮捕されて、でも、結局考えは変えてないし、信奉者も相変わらずいて、いまだ存続してる。体罰でもってしつけ、というのは、ものすごーく「魅力的」らしいっすね、一部では

 こういう訓練所なる場所の問題点多々あるんだけど。動物に対する体罰を伴う「躾」と称するものと、児童虐待・DV・パワハラ・セクハラ等々、根本は同じと見ていいんじゃないかと思う。一番深刻に捉えらているはずの児童虐待だって「こうやらなくちゃしつけにならない」と考えている人間は相変わらず多い。これはね、戦争が悪いと思ってるんだ。戦争で兵士間の変なきまりをいろんなところから来た色んな社会的立場の男どもに分からせ、守らせるには、暴力を使った方法が最も浸透させやすいから。戦争の悪行というか、悪影響ってとんでもない場所にまで及んでいるんですよ。腹立つよなあ。もっと腹立つのは、そういうのをどうしても礼賛する方向にもっていきがちなメディア。同じ舌で「虐待やめましょう」なんて言うなっての。

 この件については、ちょっとガンガン言いたいので、しばらく連載します。

獣医

2018年03月01日 | 仕事
になんでなったんですか?という質問。はて、どのように答えたものか?困ってたんですが。基本は主に金のためですけど。仕事ですから。ご高尚な理由なんかない、んですが。

 最近、あーそういえば、と思い出した事。

 あれだ、子供の頃、例えばガッコの飼育委員会。例えば、家で飼ってた猫とか鳥とか。子供心に、「大人ってのはロクデナシだ」というのを動物をきっかけに刷り込まれましたねえ。
 というのも、死んじまったり病気になったりしたときに、全くもって、「納得のいく対応」をしてくれなかったから。

 それは、当時の獣医も同罪ではある。なにしろ、昭和の獣医療って、フィラリアの予防一つ満足にできない、血液検査なんぞ無理、なーんて状況だったから、当然、病気の診断もできない、従って、きちんとした治療なんかできるわけもない。

 で、当時の大人ってのは、結局そういう獣医に連れてくのもめんどくさかったんでしょうかね?救急箱のテキトーな薬をテキトーに飲ませたりして、ほーれ治ったじゃないか、とかやってましたっけ。しまいに治らなくなると「猫は死ぬときは姿を消すもんだ」とかいい加減なことを言って誤魔化すし。大人が飼うのを面倒になると、金魚ですらそこらの池とかにぶん投げてましたっけ。動物を「捨てる」のはしょっちゅうでねえ。しかも、子供に「捨ててこい」って言うからなあ。自分で問題解決するのを放棄するわけよ、大人の分際で。

 だもんで、ずうっと なーにが「命を大切にしましょう」だよ!と思ってた。

 ので、納得がいくようにしよう、ってことで、獣医になったんだな。大人がぜーんぜん当てにならんから。

 おかげさまで、うちの場合、患者さんの病気は、ほぼ全てきちんとした診断名がつく、ほぼ外れなし。従って、治療も外さない、から、長生きするんでしょうね。

 で、今でも、大人世代(つまり、自分より上の世代)は大嫌いですわね。勝手なことばかり言いやがって、ふざけんな、というね。この世代は、結局自分しか大切じゃないんですよ、きっと。他は子供でも動物でも、どうでもいいんでしょ。

 ただ、そうじゃない人も少数いるわけで、そういう人のために細々と仕事してますがね。

 

レーザー

2018年02月23日 | 仕事
を新しくした。またビンボーになってしまう~~。
 なぜ新しくしたかというと、古いのが壊れたからです。。。。。トホホ・・・・・。まだローンが終わってないのに~~。

 まあしょうがない、古いレーザーは展示してた中古品だったから。耐用年数にハンディがありますわね。にしても、ぶっ壊れてしまうと、いかにこの機械に頼っていたかが分かる。手術、できまへんです~~

 とにかく重宝な道具、手術の安全度がガンと上がるし、術後の経過もいい。とにかく出血しないから。他にも使える用途多々、フル稼働してたわけね、壊れるのも当然か・・・・・。

 最初はなんとか修理できないか、メーカーに泣きついたんだけども、「ダメです~~無理でしたあ~~」という悲しい返事が2週間後位に来た。ええ~~!!じゃもう、カネないからジェネリックのレーザーを買うよお、と。そういう時に限って、ジェネリック製品の情報がハガキだのFAXだので届く。安い。ジェネリック家電が有名ですけど、こういう機械にもジェネリックというものがあるのだ。

 そしたら、メーカーさんが「そんなこと言わないでくださいよ~。値引きしますから~~」ということで、最新型の新品を、一括即払いで買うことに。ローンも検討したのだけど、やめた理由は、借りるって結局借金本体だけじゃなくて、付帯する手数料等々がバカにならないから。

 例えば、入間市の商工課に融資制度がある。古いレーザーははこれを利用して購入した。この時は一番条件のいい特別小口無担保で借りられたのだけど、それがまだ終わってない以上、普通の小口無担保を利用せざるを得ない。そうすると、保障会社の金が高い・・・・・。古い方を繰り上げ返済すればいいじゃないか、というのも分かるんだけど・・・・。どっちにしても、保障会社の保証金が余分にかかる。あれこれ書類もめんどくさいし。色々考えて、現金を減らす即払いにするのが一番いいか、という結論に。

 この手の医療機器、リースすればいじゃないか、という話が必ず出るんだけど。リース契約って怖いんですよ。とめどなくリース会社に金を巻き上げられる仕組み、と考えた方がいい。身動きが取れなくなるのだ。財産にならないし。いざとなったら売る、という選択もできないし。リース契約とレンタル契約は全く別のもの。

 今回購入するにいたったのはもう一つ理由がある。商工会様に例によって相談したら、「買わなくちゃしょうがないでしょ」と言われて、その代わり税額控除できるようにするから、というありがたいお言葉をいただけたもんで。リースじゃ、こういうナイスな仕組みが全く利用できない。

 しかーし、今後が怖い・・・・・。病院で使っている医療機器が順番にぶっ壊れる可能性が・・・・。

 しかしまあ、今はとにかく喜んでおります。新しい機械はやっぱり使いやすくて、いい感じなんですよね~~。

申告

2018年02月14日 | 仕事
終了です。はあ~~。

 今年から国税庁の「作成コーナー」を使って青色申告書をつくってみた。で、申告書を印刷までして。あとは確定申告&消費税申告。これを商工会でやってもらおうと思ったんだけど、とにかく入力に時間がかかるもんで、もうメンドクサイ、消費税については途中まで作成コーナーでまとめちゃって、そのデータをUSBに詰め込んで、向こうのPCで呼び出してもらって、送ってもらおうという作戦。他人のPCにUSBを読ませるのは、ウイルスの危険もあるから、何度もウイルスチェックをした上で持ち込みました。

 うまくいきました。けど、消費税申告、危うく間違えるところだった。やっぱり、税理士さんに見てもらうのは重要だと再認識。

 作成コーナーは、確かに年々使いやすくなっている。と、思う。いったん打ち込んだデータって消えないんですよ。だから、「戻る」ボタンが怖くないわけ。

 あー今年も消費税がコワイ・・・・・・。どどっと引き落とされるからびっくりするんですよ。

ホースメッセ

2018年01月24日 | 仕事
という馬関係の展示販売会がある。主催はエクイマーケットさんという、一馬具販売店で、今回で2回目。去年1回目だったのだが、行けず。今回は、出店検討という事もあって、偵察がてらちょこっと出かけてみた。

 会場は赤レンガ倉庫。ここには去年ライヴに行っているのだが、西武池袋線沿線の人間だからありがたい、のは、Fライナー等々、ビュワ~~ン!と一本で到着しちゃう電車がある点。赤レンガ倉庫近辺の駅は通過しちゃうので乗り継ぎが必要ではあるが、乗り換えがぐんと少ないのは助かります。近くなったなあ~~と感慨。

 さて、会場の赤レンガ倉庫って、イベントが多いんですわね。今の時期はスケートリンクまであって、人だらけなのである。その中で会場が分かるか心配だったんだけど、でっかい案内図のおかげで割と簡単に会場に到着。

 感想。困ったな。

 これは、昨今の獣医療でもよく感じていることだ。販売展示会にくっついているセミナーは、原則販促と考えてよい。従っていい事しか言わない。で、「こうしなさい」「こうすべきだ」のオンパレード。足し算管理を勧めてくるのだよね。獣医療だと、やれCTだのMRIだの、検査機器をやたら勧めてきて、これがないと診断できませんよ、とか言って脅してくる。別にそんなことはないよ、と言い返しているが、若い世代の方は自信もないから、機械屋に付け込まれちゃうんだな。それと同じようなことが馬業界で起きているわけで。乗るならこうやって乗れ、その為にこんな訓練をしろ、馬の躾をしましょう、こうやって対応しなくちゃ、こういうサプリをあげないと蹄がダメになっちゃう、とかなんとか。。。。。きりがないんだよね。なぜに、きりがなくなるのか?金ばっかりかかるじゃん、という疑問が。

 小動物業界でもサプリって山ほど出てる。飲ませろ、そうでないとビョーキになるぞ、不健康になっちゃうぞ、躾をちゃんとしろ、ストレスを軽減してあげないとイケマセン、まーウルサイわ~!!動物からすれば、サプリなんざただの得体のしれないもの、そんなのを毎度飲まされる方が、よほどストレスだと思うんだがな。ストレスを軽減したけりゃ、家族仲良くしててくださいよ、これで十分。健康診断、まあやってくれと言うならやるけどさ、それ以前に飼い主が健康診断をしてくださいよ、飼主が病気で入院ってのが一番まずい、ましてや死んじまったら動物も共倒れですよ、という話を飼い主さんにはよくしている。
 小動物業界では、とかく情報過多(しかも情報の内容が原則暗い)ので、飼主がうろたえちゃうケースが多いんだけど。

 馬業界については、情報が少ない上に、どの情報もなんかパッとしない、のが問題だ。これはねえ、獣医に問題があると思っているんだけどね。獣医がきちんと馬の管理の仕方、病気にさせない法等々のアドバイスができてないから。従って、なんの資格もない連中があっちこっちで勝手なことを言って、客を脅かしたり混乱させたり、そうやってどこまで金を引き出せるか、の勝負って感じに見えるのだ。
 自分もそういうのに振り回されて結構金を使いましたっけ。仕事柄、本当に悩んでたしなあ。なんでこう、馬ってすぐ発狂するんだ?なんで人に食いついたりするんだよ?草食獣なのにさ、というのが起点。これを解決するのは道具なのか?乗り方なのか?ほぼぜーんぶ試したと言っていい。で、分かったことは、ぜーんぶハズレ、ということ。で、ハミに行きついたってわけなんだけど。

 乗り方でいえば、メッセに出てたバランスインムーブメントについて。これを言ってる乗馬クラブの馬がおっかない。いきなり立ち上がるわ、発狂して暴走するわ、乗り方がちゃんとしてれば馬が落ち着く、なんてことは0、どころかーでしたね。呆れちゃったが、なのにまだそんなのを勧めるんだもの、どういうつもりなんだ?

 でもねえ、客側も何をどうしたいんだろうか?馬術がどうこうって馬に芸をさせたいのか?それなら、馬と「仲良くする」のは不可能です。馬に文句ばっかり言ってることになるんだもの。誰だってそんなんなら発狂するさ。一方では、みんな「馬がコワイ」と言う。その理由についての考察がないわけで。

  ただ、この辺り、誰のどんなアドバイスでも全然問題解決にはならなそうな・・・・、というのは、客側にちょっずつ出てきてるみたいな気がする。従って、販売商品は山ほどあれど、売れてる気配がほとんどなかった。日曜日だったんだけど。。。。。、金ばかりかかって怖い思いばかりする、全然楽しくならない、10年も乗っててまともに駆歩すらできない、というのが乗馬の現実で、それについて、もっとあーしろこーしろ、これが足りない、あんたがダメだからだ、というのがクラブ側の言い草。挙句に落馬して大怪我。こんな事ばかり。従って、乗馬なんか全然魅力がなくなるのは当然でさ。

 で、客が最後にどうなるかというと、乗らなくていいわ、馬は可愛いからお世話できればそれでいいわ、となる。そういう変な「ボランティアもどき」みたいな人があちこちの乗馬クラブ内でウロウロしている。しまいに馬に人生を食い潰されちゃう。実際、そういう人ってメチャクチャ多い。自分の健康を害して、それが自慢みたいな。なんか、業界自体が不健康ですわね。

 まあ、色々考えましたね。やっぱり、次回は出店しようかなあ・・・・・?準備もかなり大変だし、出店だってカネがかかる、慎重にしないとイカンのだけども。

 
 

農工大工学部

2018年01月22日 | 仕事
へ。目的地は科学博物館。バカだったなあと思うのだが、学生の頃結構工部に行ったこともあったのに博物館にはとうとう行かなかった。農工大は工部も農部もかつては繊維が強かった、工部は合成繊維、農部は絹、ということで、常設展示は繊維系の機械だの、絹の解説だの。そういうのをきちんと見せてくれる博物館は少ない、見に行くべきじゃないかと常々思ってたんです。
 農工大は工部は東小金井・農部は府中と分かれているので、当時農部から工部に行くのに最初電車を使ったのだが、やたら時間がかかる、面倒になって、通学ママチャリで農部から工部まで、20分程度だったかなあ、通ってましたっけ。全く・・・・・。よーやるよ、と当時の自分に言いたい。

 さて、東小金井。学生当時、この駅はとんでもない田舎駅で、駅前はなんもないし、そもそも駅ビルどころか、ホームから階段を使う事もなく即改札を通れる、あたりがしょうもなかった。それがいつの間にか近未来みたいな駅になっちゃって、どうなってんだ?と通過するたびに思ってた。今回数十年ぶりに降りてみて、呆然。駅にコージーコーナーがあるし!駅前には商店街があるし!住宅地が延々広がってるし!!畑が全部家に化けちゃったのかなあ?工部は電車から見えるし、すぐ着くわいとタカをくくっていたのだが、結局google様にお世話になってしまった・・・。

 今回の目的、科学博物館だが、今企画展をやってる。内容が「馬と獣医学」。博物館で獣医学の展示なんて珍しいというか、初めてじゃないかな。ので、覗きに行ったのだ。

 うーん、少なくとも農工大の獣医学科は、軍馬育成のためにつくられた学科で、馬の臨床についてかつてはリードするような立場にあったことは間違いない、のだが。

 今となってはどうなんだろうか?進歩がないというか・・・・・。

 馬の飼い主として、馬の獣医師に対する疑問。問診を取られたことがない!!小動物臨床では問診絶対なんですけどねえ。従って、情報がほぼ0状況で適当な事を言ってる、ようにしか思えないんだ。だから信頼してもらえないんじゃないのかね?

 診療法のビデオが流れてて、1つ上の先輩が講師役でへえ~~と思ったんですが、跛行診断はその通りなんですけど、そもそも「速歩時に痛いほうの肢が着地するとき頭が上がる」というレベルの跛行(ちなみに、これは前肢跛行に限られた話。後肢跛行はまた別)は、すでにかなりまずいです。この前の段階でオーナーが気づいて連絡する、ようにオーナーの目を鍛えるほうがよくないですか?でね、レントゲンとかで分かることって実は少ない。骨しか分からないし。エコーだと、靭帯あたりまで分かるけど、分かったからといってやれることは「休馬」程度。そもそも、跛行なんぞ起きないような指導をするのが獣医の仕事じゃないかと思うんだけどな。

 そのためには、肢の状況だけじゃなく環境の視察(床敷の種類・厚み・掃除の回数等々)&運動状況(誰がどう乗ってるか、とか、その回数とか)&飼料&蹄鉄のフィットネス(蹄鉄なんか打たないのが正解なんだけどさ)とか、の問診を徹底的に行って、跛行が起きるメカニズムを解明しないと、跛行は繰り返される。そんな事、飼い主としてはやられた試しなし。

 それは例えば、鞍傷とかフレグモーネとかも同じで、起きないように指導するのが筋。鞍傷はそもそも鞍のフィッティングがダメだからなる。鞍は高いからクラブ側は鞍の変更とかは嫌がるが、じゃあどうするか、のアイディアも提供しなくちゃならない。フレグモーネは飼料に問題があるのではないかと疑っている。濃厚飼料をやらない、がっちり抗生剤投与をする(ちなみに、馬臨床でなぜか使われがちなセファロチンは水と同じ、効果ありません。あんな古くて抗菌範囲が狭いしょうもない薬を使うな)という基本をちゃんとしないと。起きちゃってからじゃあ遅い。

 その辺がビデオで全く解説されていないので、ダメだこりゃ、と思ったわけ。

 自分の馬については、馬の獣医があまりにあてにならないので、諦めて自分でどうにかしたんだけど。その結果、ちょっとの跛行がパッと分かるようになってしまったが。馬のセンセイ方は、カルテを取ってなさそうですもんね、従って、記録が残らないから、馬1頭1頭の歴史が読めない。診療技術が全く伸びないのはそこに理由がある。でもねえ、今なんか動画も撮り放題だし、記録だって音声&画像で残せる時代、スマホ一つで診療が成り立つのだ。それやらなくてどうするの?

 蹄鉄ありき、の解説もダメ。餌の解説もダメ。要するに、最新の世界の馬獣医状況が日本で最先端たるべきJRAやら大学に入ってないんだ。お粗末なありさま・・・・・・。というのを展示から読み取れて、がっかりしてしまった。これじゃあ、どうにもなりませんよ。

決算

2018年01月14日 | 仕事
終了です。はあ~~。

 今年は国税庁の「作成コーナー」を利用して作ってみた。うーむ、簡単だ、と思う。このままE-taxで送信しちゃう、というのもいいんだけど。

 やっぱり商工会の相談会でお願いしましょう。

 特に減価償却費は、もう、この作成コーナーで計算しないと、確実に間違える。逆に言うと、作成コーナーで作ってる=税務署から文句を言われる筋合いなし、となる、筈で。多分、この減価償却費、完璧に正しい申告ができている事業者はほとんどいないのではないかと思っちゃうくらい、しょっちゅう制度が変わっているので。

 便利なのは、この「作成コーナー」でつくったデータを自分のPCで保存できる、で、翌年に貸借対照表を持ち越して利用できる、わけ。去年ちょこっと使ってみて、今年それをちょっと利用してみたら、うまくいきました。データの保存まではマイナンバーなんかは不要。ので、操作を国に見張られてる感がないのだ。ホントかどうかは分かりませんけど、多分大丈夫でしょう。

 とりあえず、このデータをUSBに詰め込んで、相談会に持って行ってみようと計画中。いつも入力にやたら時間がかかるからさ、もう入力済みだから、送信だけお願いできません?という事にしようかと。どうでしょうねえ?

青色申告説明会

2017年12月16日 | 仕事
へ。毎年行っているのだが、そういう人間は実は少ないらしい。来場者ほとんどが起業したばかりとかの、要するに初心者なんだそうな。知らなかった・・・・。

 なんで毎年行っているかというと、税制がちょこっとずつ変わったり、特例ができたり、その特例がなくなったり、という情報を得るため。特例は大概年度末で切り替える(できるにせよ、やめるにせよ)なので、その特例を利用するかどうか、または利用できる案件があるかどうか、3月末まで時間的な猶予があるから、対策しやすい。情報抜きではどうにもならんし。小規模事業者対象の「1台10万以上の物品も30万円以下なら一括償却できますよ~~」というのは延々続いているようなのだが、今回もまだ続きそう。この特例措置を使うかどうか、毎年悩むんだけど・・・・。

 今回ちょっとへえ~~と思ったのは、税務署の「アンケート兼出席票」なるものが配られた事。ちょこちょこ起業したり副業したりする人が増えて、確定申告する人が増えて、青色申告者も増えてきて、で、税務署は大変になる、のも、青色申告の仕方をみんな知らないから。ので、ちゃんとできる人が増えるように記帳指導しますから、それが必要なら回答してね、ご希望に沿えるかは分かりませんけど、ということらしい。なら、ということで、記帳指導してください、と一応書いておいた。どうなるかなあ?

 最近は会計ソフトというか、ウエブ上のアプリも増えてきてそれで記帳している人がどんどこ増えてると思う。だから、それを使った方法を広めちゃうほうがいいんでしょうけど、でもねえ、基本的には簿記が分かってないと結局使えないわけで。簿記を義務教育で教えるべきじゃないかとずっと思っているんだけどなあ。算数や数学にかける時間の1割くらいを簿記に振り分けるとかして。プログラミングも結構ですけどさ、簿記を学ばないと、カネのことが全く分からないで社会に出ることになる、今後はこれ、命にかかわる事態になるのでは?カネの使い方、散らし方を知らない人が多過ぎる、から、ビンボー人が増えるのだ。

 貧困記事を読むと、驚くほどパターンがそっくりなんですよね。人とのかかわりが下手っぴいで、いいようにこき使われて、カネをどぶに捨てて、貧困になると。人が信用できないなら、カネを味方につけるしかないのに。金の教育は命を守る手立てを教えることだ。「金の話は汚い」みたいなことを真顔でで言ってる奴は大馬鹿もんだよ。

消費税

2017年11月21日 | 仕事
の説明会を聞きに、商工会へ。主催は青色申告会。例の「軽減税率」なるものの解説だったんだけど。

 制度が、呆れるほどにきちんと決まってないのだ。誰がこんなしょーもない制度をつくったんだ???

 軽減税率とは、要するに食料品は8%のままにしときます、という事なんだけど、その区分の方法。外食は10%で、テイクアウトは8%なんだって。これがややこしい、というかなんなんでしょうね?例えば、マックでセットを買うとして、聞かれる「こちらでお召し上がりですか?お持ち帰りですか?」という定番セリフ。これ、再来年10月1日以降は返事によって値段が変わりますんで。「お持ち帰り」というと8%、「こちらでお召し上がり」だと10%なんだと。客の返事で税率を決めるんだそう。フードコートもコンビニイートインも同じなんだと。

 じゃーさー、簡単な節税法をすぐ思いつくんですよ。こんなの子供だってできる。「持ち帰ります」と言って袋に入れてもらって、それを店内で開けて食べる。別にかまわないでしょ。1分後に気が変わった、だけだもんね。マック側としてはどーでもいいことだから。税金なんてマックの収入ではないから(預かり金勘定だからさ)どっちだってかまわないわけだし。

 思うに、マックとかのお盆、なくなっちゃうんじゃないのかね?紙袋ばっかり増える。


 これさー、政治家のおっさん達が、その手の店を全然知らないで作っちゃった制度だよね。大混乱必定。フードトラックなんかはさらに面倒なんだそうで。車周りに椅子とか机とか置いて「こちらでお召し上がり」ができるようにしちゃうと10%になったり8%になったり、でもねえ、ある程度サービスでそういうものを設置する場合だって多いだろうし。なにをもって「こちらでお召し上がり」とするのか?もうね、なんでもかんでも「持ち帰ります」って言って、適当に座って食べちゃえばいいじゃない。そうすりゃ8%なんだから。

 さらになに言ってんだか?となったのが「インボイス制度」なるもの。これはさらに先の制度改定なのだが。ちょこっと聞いた限りではこれは免税事業者(新規事業者の大半はこっちじゃないかと思うんだけど)に極めて不利な制度のようだ。だーれも起業しなくなっちゃうんじゃないでしょうか?だって、そういう所とは取引するな、みたいなこと言ってたもの。取引できなけりゃ仕事は成り立ちませんからね。

 さらに変なのが申告。質問してみた「あのー、課税業者だけども、簡易課税で申告してるんですけど、その場合の税務処理はどう変わるんですか?税込処理をしてますが」。「決まってません」ってなんじゃい??

 説明会で説明してほしいのは、我々商工会加入者である小規模企業だと、そのあたりのことなのにさ。

 だーかーらー、一率10%にしちゃえばいいんですよ、軽減なんか何のメリットもないんだから。つまらないところで納税者のご機嫌取って、バカみたい。
 

加計学園

2017年06月19日 | 仕事
の話、なんかよく見えてないんです。何が問題なんだろうか?

 えーと、安倍さんの友達って人が理事長として運営している学校法人(なのかな?)に獣医学部を新設する、から、カネをくれ、と言って、山ほど金をもらった。のか。どこが問題かというと、公私混同じゃないか、という点なのかな?
 実際のところ、マトモな獣医学部を新設しようとしたら、施設も場所もかなり必要で(大動物を飼育する場所だっているし)相当な金がないと難しい。だから、必要(と思っている)なら金を相当突っ込まないと新設が難しい、というのも分かる。獣医師会がどう思ってるのかは知らないけど(自分は獣医師会の人間じゃないから)獣医が増えることがいい事か悪いことか、は増えてみないと分からんなあという感じ。

 まあ、一獣医師としては、日本の獣医学科というか、獣医学部というか、は医学部と比較してもかなり少ないと思うので、首都圏に住んでたのはラッキーだったなと思ってる。首都圏に5校(東大・農工大・日獣(当時)・日大・麻布)もあって、受験し放題だったし。

 なんとか転がり込んだ農工大では、どこ出身の人が多かったっけ?なんだかんだで首都圏近郊の人がメインだったかなあ。

 今は経済的な事情もある、なかなか地方から出てくるのは難しそうだし、だから、獣医学部がない地域に獣医学部を新設、というのは分からなくもない。まあ、私立だと金かかるから・・・・・。結局カネのある奴が入学するんでしょうけど。

 あとねえ、獣医学部に入学したら獣医になれるかというと、そうはいかない。国家試験に合格しなくちゃ。合格させるレベルの勉強ができるかどうか、もあるけども。

 どちらかというと、獣医の卒業後の仕事偏在が問題じゃないか、という気もする。

 なーんか、獣医師になりたがる学生諸君は、獣医=動物のお医者さんになりたい、らしい。おそらくは、動物病院のTVだのマンガだのでなんか「小さな命を救うカッチョイイ商売、で、カネも儲かる」と思ってるフシがあって。止めといたほうがいいですよ、と言いたいのだが。

 小動物臨床で考えてほしいのは、命を救ったところで、10年もすれば死んじゃうんですよ、という事。で、恨まれる。「小さな命」とか何とか言われると、こちらは虫唾が走るのだが。ゴキブリだって「小さな命」でしょうが。

 小動物臨床でとりわけカッチョよく思われているのは「癌の治療」だの「心臓外科」だの、高度な2次治療っぽいことなんだけど。実のところ、そういう高度な治療なるものを受けたいと思ってる飼い主はほとんどいない。当り前です、そこまでカネもヒマも使えません、という人が大半なんだから。そういう人達に「あんたには飼主たる資格がない」とか何とか言って高度治療とやらを押し付けて金を搾り取ってるのが「二次診療」ってのの正体で、そこから給金が出てくる、という仕組み。

 じゃあ、普通の動物病院はどうかというと、はっきり言ってピイピイしている。カネは儲かりません。そーんな都合のいい商売なんぞあるわけないでしょ。

 小動物臨床の仕事は、とにかく離職率が高い。零細=ブラックというわけで、3年持つかどうか、という世界。こうして獣医師免許を持つ優秀な人材を失ってしまっているわけ。

 せっかく公務員に獣医師枠があるんだから、安定した就職の場だし、そっちにいった方がよほどきちんとした仕事をできるんじゃないかと思うんだけど。

 公務員枠の獣医師はなにやってるかというと、公衆衛生関連。鳥インフルも口蹄疫も獣医が管轄してた。口蹄疫の時は、自分も牛殺しに行くべきじゃないかと思ったりしてたのだが。若い先生にああいうシビアな仕事をさせたくなくてね。

 それに関して、マスコミの報道には本当に辟易していたのだ。「家族の一員なのに」みたいな。あのさー牛を何のために飼ってるかというと、肉にするためじゃない、財産なんですよ、牛=金庫なの。牛飼いの人はそうは言わないけどね。だってそう言ったら最後袋叩きにされるでしょ。
 なのに、だから、殺しにかかわってる獣医がなんだか悪役みたいに言われまくって。保健所もそうだね、殺しに係る獣医がぶうぶう言われる。もし、狂犬病でも起きてみなさい、獣医が一番最初に危険にさらされるっての。
 そうやって、獣医の仕事=臨床以外は悪役、みたいな言われようじゃあ、だれもその方面に行きたがりませんわね。田舎がどうこうより、マスコミのそういう対応が問題なんだ。

 小動物臨床がカッチョイイ仕事だなんて、自分はこれっぽっちも思ってないんだけどね。相性がいいかどうかは話が別。自分には向いていた、というだけの話。