水戸から国道50号を西に、約20数kmのところに桜川市岩瀬(旧:西茨城郡岩瀬町)という町があります。ここに桜川という川が流れています。この川は、この町のあるところを発して町の中を通り、ぐるりと筑波山を半周するような感じで途中の真壁(まかべ)や、つくば市の一部を通り、土浦市から霞ヶ浦に入ります。
冬枯れのなか、細い桜川が流れています。想像ですが、昔はきっともっと水量があったのではないかと思います。
その桜川の水源が、岩瀬と笠間市稲田の境あたりにある丘にある小さな池です。この池は「鏡ヶ池」と呼ばれています。今はさほど有名ではありませんが、ちょっとした由緒のあるところだそうです。
紀貫之は「土佐日記」で有名な平安時代前期の人ですが、「後撰和歌集」巻第三に、
桜川といふ所ありときゝて 貫之
つねよりも春へ(べ)になれはさくら川なみ(波)の花こそま(間)なくよ(寄)すらめ
という、桜川のことを詠んだ歌があるそうです。
また、この水源にちょっとした説明板が立っていて、ここも和歌に詠まれているということが書かれています。「矢木和歌抄」というものの中に誰の歌かは分かりませんが、
みせみせぬ鏡ヶ池におしとり(鴛鴦)はみつから(自ら)顔をならべてぞいる
とあるそうです。その「鏡ヶ池」がここだということです。どこにでもあるような、ごく平凡なちょっとした池ですが、こんなところが歌に詠まれたゆかりの場所だというと、また特別な感じで通りすぎるものです。
讃岐にも昔はこういった風景が、沢山あり川遊びを良くしました。
でも今は、ほとんど護岸工事をして、淋しいものです。
こういった小川には、小魚や小鳥も沢山いるのでしょうね。
大切にしたいものです。