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ピロリ菌:増殖抑制物質の人工合成に成功=理化学研究所

2007年07月13日 | 糖鎖
 胃かいようや胃がんの原因とされる細菌「ヘリコバクター・ピロリ」の増殖を抑制するヒトの体内物質を、理化学研究所の研究チームが人工合成することに成功した。大量生産が可能となったことで、ピロリ菌を除去する薬剤の開発や、増殖を抑制するメカニズムの解明につながるという。米化学会誌「ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー」(電子版)に近く掲載される。

 ピロリ菌はヒトの胃の粘膜表面にすみ着くが、粘膜の深部にはいない。深部粘膜から、たんぱく質と結合した形で分泌される糖鎖と呼ばれる化合物に、ピロリ菌の増殖を抑制する作用があるためとされている。

 しかし、この糖鎖は粘膜にごく微量しか存在せず、研究に必要な量を抽出することができなかった。また、分子が巨大で立体構造が複雑なため、人工合成も難しかった。

 研究チームは、糖鎖の原料となる新たな化合物を独自に開発した。この化合物を使って化学反応を起こしたところ、目的とした糖鎖を効率よく合成することに成功した。

 研究チームの真鍋史乃・理研専任研究員は「ピロリ菌の除菌には抗生物質が使われるが、有用な細菌も殺してしまうし、失敗例も1~2割ある。この糖鎖はピロリ菌以外には作用しないと考えられ、医薬品として有効だろう」と話している。【下桐実雅子】

[毎日新聞 / 2007年07月13日]
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/medical/news/20070714k0000m040039000c.html

理化学研究所 プレスリリース
  抗ピロリ菌活性を持つ糖鎖を世界で初めて合成
 - アミノ糖のcis選択的な合成法を30年ぶりに新開発 -
http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2007/070713/index.html


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