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細胞のイオン取り込み阻害化合物を発見、心肥大の治療に光=京都大学

2009年03月17日 | 生理学
 細胞生体膜のイオンの出入り調節弁「イオンチャネル」の一つ、TRPC3の機能を阻害する化合物を、京都大工学研究科の清中茂樹助教、森泰生教授らのグループが見つけた。イオンチャネルの機能解明と、TRPC3の異常で引き起こされる心肥大などの治療薬開発につながるといい、米国科学アカデミー紀要で17日に発表した。

 TRPC3は、細胞膜の受容体が刺激を受けると働く受容体活性型チャネルの一つ。受容体の信号を細胞の核に伝えるとともに、細胞の活動に不可欠なカルシウムイオンを取り込み、細胞の増殖や分化、タンパク質の産生を調節する。

 清中助教、森教授らは、免疫細胞のカルシウムイオンチャネルを阻害し、免疫反応を抑える化合物に注目。化合物ライブラリーから似た構造の化合物を選んで実験し、TRPC3だけを阻害する化合物Pyr3を見つけ、信号伝達を阻害することを確かめた。

 TRPC3が過剰に働くと心肥大になることが分かっている。人工的に高血圧にして心肥大になりやすくしたマウスにPyr3を投与すると、心肥大を抑えることができた。

 TRPCは1から7まであるが分からない機能が多く、特定の種類に働く阻害剤発見も初めて。清中助教は「Pyr3の構造を一部変えると他のTRPCを選択的に阻害する化合物になる可能性があり、TRPCの機能解明や治療薬開発の糸口になる」と話している。

[京都新聞 2009年03月17日]
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2009031700094&genre=G1&area=K00


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