人など体温を一定に保つことのできる恒温動物が寒い時に震えて体温を上げる仕組みを、中村和弘・日本学術振興会海外特別研究員らがラットの実験で解明した。生命維持の謎を解明する研究として注目される。米科学誌「ネイチャー・ニューロサイエンス」1月号に掲載された。
恒温動物は、皮膚で感じた温度を体温調節中枢である脳の視床下部に伝えている。寒冷時には手足の骨格筋を震えさせて体温を上げている。しかし、温度情報が体温調節中枢に伝わる仕組みは未解明だった。
研究チームは、皮膚が感じた刺激が脊髄(せきずい)を介して視床下部に伝わることに注目。特殊なたんぱく質を使い、情報が脊髄から視床下部に伝わる経路を特定したところ「寒い」と認識する経路と別だったことが判明した。また、その経路の神経細胞を薬剤で働かないようにすると、皮膚を氷水で冷やしても、震えも体温上昇も起こらなかった。一方、特定した経路を構成する神経細胞の働きを高めると、体温とともにエネルギー消費量が上昇していた。
中村さんは「低体温症治療などの開発に役立てたい」と話す。【大場あい】
[毎日新聞 / 2008年01月12日]
http://mainichi.jp/select/science/news/20080112k0000e040023000c.html
恒温動物は、皮膚で感じた温度を体温調節中枢である脳の視床下部に伝えている。寒冷時には手足の骨格筋を震えさせて体温を上げている。しかし、温度情報が体温調節中枢に伝わる仕組みは未解明だった。
研究チームは、皮膚が感じた刺激が脊髄(せきずい)を介して視床下部に伝わることに注目。特殊なたんぱく質を使い、情報が脊髄から視床下部に伝わる経路を特定したところ「寒い」と認識する経路と別だったことが判明した。また、その経路の神経細胞を薬剤で働かないようにすると、皮膚を氷水で冷やしても、震えも体温上昇も起こらなかった。一方、特定した経路を構成する神経細胞の働きを高めると、体温とともにエネルギー消費量が上昇していた。
中村さんは「低体温症治療などの開発に役立てたい」と話す。【大場あい】
[毎日新聞 / 2008年01月12日]
http://mainichi.jp/select/science/news/20080112k0000e040023000c.html