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医学研究関連記事の新聞紙面から切り抜き
再生医療、薬理学、生理学、神経科学、創薬

間葉系幹細胞の新たな機能 脳の神経細胞損傷を抑制=昭和大学ら日米研究チーム

2008年09月28日 | 再生医療
 さまざまな組織の細胞になる「間葉系幹細胞」が、脳梗塞(こうそく)などによる脳の神経細胞の損傷を抑えることを、昭和大など日米の研究チームがマウス実験で突き止めた。再生医療の切り札とされる幹細胞が持つ新たな機能が分かったことで、アルツハイマー病やパーキンソン病など神経難病の進行を抑える治療法の開発につながる可能性がある。

 研究チームは脳梗塞を起こしたマウス12匹のうち6匹の脳に、発症の翌日、ヒトの骨髄から培養した間葉系幹細胞を注射し、注射しなかった残りと比べた。

 注射から3日後に、記憶をつかさどる海馬の神経細胞を調べると、注射したマウスは死んだ神経細胞の量が注射しなかったマウスに比べ約8割少なかった。また、注射したマウスは、細胞の損傷をもたらす炎症や免疫に関連する遺伝子の働きが抑制されていた。

 脳梗塞では、最初に発症した患部から、徐々に神経細胞の損傷が広がり、症状が進行していく。幹細胞は細胞の損傷の拡大を抑えているとみられる。

 大滝博和・昭和大助教(神経学)は「幹細胞が脳に入ると、脳内の細胞や遺伝子の働きが炎症を抑える方向に切り替わるようだ。幹細胞は自らがさまざまな細胞に分化するだけでなく、生体の機能を制御する能力も持つと考えられる」と話す。15日付の米科学アカデミー紀要電子版に発表した。【永山悦子】

[毎日新聞 2008年09月28日]
http://mainichi.jp/select/science/news/20080928ddm016100016000c.html