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マウスの精子保存、新方法を発案:精巣スライス、アルバム状に凍結=理化学研究所

2008年09月07日 | 遺伝子組替マウス
 マウスの精巣を凍らせて薄く切った切片から、精子の核を取り出して卵子と受精させ子供に育てることに、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の若山照彦チームリーダー、大田浩研究員(発生生物学)らが成功した。生殖能力を損なわず大量の精子を簡単に保存する新方法として、生殖細胞を多数扱う基礎研究の現場で注目されそうだ。

 新しい方法は、マウスの精巣を凍らせた後、約25マイクロメートルの厚さにスライスして薄いフィルムの上に乗せ、そのまま写真用アルバムのようなものにとじてマイナス30度で保存する。

 解凍の際は培養液の中にフィルムを入れて溶かすだけ。凍った精巣の細胞は既に死んでいるが、培養液の中にはDNAを含む細胞の核がはがれ落ちてくるため、核を卵子の中に注入する「卵細胞質内精子注入法」(顕微授精法)で受精させる。実験の結果、凍結1年後に解凍、受精させても正常なマウスが生まれた。

 従来は、精巣からあらかじめ精子を取り出し、凍結保存液に入れて小さな碁石のような形に凍らせたり、ストロー状のチューブに入れて冷凍庫に保存するケースが多かった。若山さんは「大量の精子保存のため多くの研究室が冷凍庫のスペース不足に悩んでいる。新方法なら保存スペースは4分の1以下にできるだろう」と話している。【奥野敦史】

[毎日新聞 2008年09月07日]
http://mainichi.jp/select/science/news/20080907ddm016040009000c.html