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医学研究関連記事の新聞紙面から切り抜き
再生医療、薬理学、生理学、神経科学、創薬

「学習意欲」、本能かかわる脳中枢に=大阪市立大学、生理学研究所、科学技術振興機構

2008年09月03日 | 心のしくみ
 人は達成感があると、学習意欲がわく。この心の動きは脳のどこで生まれるのか。答えは意外にも、言語や理解など高度な知性を受け持つ大脳皮質ではなく、より原始的な本能にかかわる脳の奥深くの線条体という場所だった。達成感がなければ、この中枢は働かない。意欲を育む教育法開発に脳科学が一役買いそうだ。

 大阪市大と生理学研究所(愛知県岡崎市)の研究グループの成果で、3日から沖縄県名護市で始まった国際疲労学会で発表する。

 大学生14人に、パソコンで数字を使ったテストをさせ、脳の動きを特殊な装置で調べた。学生には事前に「知能の検査です」と告げた。正解するたびに画面上のマス目が埋まり、自分がどれだけ正しく答えたのか分かる。マス目が埋まっていくことで学生は達成感を得、好成績をあげることで「自分は頭がいい」と実感する仕組みだ。

 達成感を与えるマス目を表示せずに同様のテストをしたときと比べると、脳の記憶や計算に関係する部分はどちらも同じように働いていたが、線条体は「マス目あり」のテストの時だけ活発に働いていた。さらに14人それぞれの日頃の学習意欲を調べると、日頃の学習意欲が高い人ほど、線条体は活発に動いていた。

 線条体は、卵をつぶさないようにそっと握るなど、細かな運動にかかわっていることが知られている。実験をした水野敬・科学技術振興機構研究員は「学習意欲という複雑な心の動きが、脳の特定の1カ所に集約されていたのは意外だった」と話す。(編集委員・中村通子)

[朝日新聞 2008年09月03日]
http://www.asahi.com/science/update/0903/OSK200809030026.html

認知症予防でDHA、EPA臨床研究へ=島根大学、島根県立短大、仁寿会加藤病院

2008年09月03日 | 食品・栄養
島根ワイド : 川本(島根県川本町)で認知症予防でDHA、EPA臨床研究へ

 物忘れ、認知症の予防で、青魚に多く含まれるドコサヘキサエン酸(DHA)とエイコサペンタエン酸(EPA)の効果を実証しようと、島根大医学部生理学講座(出雲市)の橋本道男准教授(環境生理学)らの研究グループが十月、二年間の臨床研究に乗り出す。疫学調査を進めている島根県川本町の六十五歳以上百人が対象で、国内ではかつてない規模。DHA、EPAを多く含むソーセージを食べ続けてもらい、認知機能の維持、改善との関連を確かめる。

 研究メンバーは、DHAによる脳の神経細胞の再生効果を動物実験で確認し、国際特許を出願している橋本准教授のほか、県立大学短期大学部(出雲市)の山下一也教授、仁寿会加藤病院(川本町)の加藤節司院長ら。

 川本町を含む県内三カ所で、継続中の食事と認知機能の関連を調べる疫学調査で「魚介類の摂取は認知機能低下の進行を遅らせる可能性がある」との中間結果を得たのを踏まえ、DHA、EPAの効果実証に絞った介入研究に入る。

 認知症予防をめぐっては、国内外の研究で、サプリメントによるDHA、EPA摂取と比べ、食事介入による治療、食事療法がより効果的との報告がある。

 このため、DHA、EPAを食事から取るのが有効と仮定。被験者には、厚生労働省許可の特定保健用食品で、焼きイワシ一・五尾相当のDHAを含むソーセージを支給。二年間、毎日一、二本食べてもらい、半年ごとに問診と血液検査を実施。記憶や計算などを点数化して調べる認知機能の変化と、血中のDHA、EPA濃度の相関関係から効果を実証する。

 代表研究者の橋本准教授は「認知症の予防により、究極的には、超高齢化社会を乗り切る手段として医療費抑制、介護負担軽減につなげたい」と、成果に期待している。

 川本町内で近く説明会を開き、研究への協力を呼び掛ける。問い合わせは、健康と福祉のサポートショップ「うさぎとかめ」(電話0855・72・2718)
[山陰中央新報 2008年09月03日]
http://www.sanin-chuo.co.jp/news/modules/news/article.php?storyid=505960004