ラットは今日も、きみのために。

マウスも研究者も頑張っています。
医学研究関連記事の新聞紙面から切り抜き
再生医療、薬理学、生理学、神経科学、創薬

マウスにCO2検知能力=北京生命科学研究所(中国)

2007年08月17日 | 生理学
 大気に近い二酸化炭素(CO2)濃度をマウスが検知できることを中国の北京生命科学研究所などのグループが見つけ、17日発行の米科学誌サイエンスに発表した。昆虫などではCO2濃度の変化に反応して食べ物を探したり、敵を察知したりすることが知られているが、哺乳(ほにゅう)類のこうした能力の詳細についてはわかっていなかった。人の営みの影響でCO2が増えると、ネズミの行動や生態に影響が出てくるかもしれない。

 CO2は無色無臭で、人は大気に近い濃度では検知できない。研究グループは、マウスの神経細胞の中に、濃度0.1%のCO2に反応するものがあるのを見つけた。CO2を吹きかけて調べてみたところ、0.066%の濃度でも反応できた。

 現在、大気中のCO2濃度は0.038%だが、今世紀中に2倍になるという推定もあり、マウスの行動や生態に影響が出てくる可能性もあるとグループはみている。

[朝日新聞 / 2007年08月17日]
http://www.asahi.com/science/update/0817/TKY200708170178.html

mRNAを核内にとどめる仕組み、エイズ研究にも=京都大学

2007年08月17日 | 蛋白質
 DNAの遺伝情報を細胞の核の外に伝えるm(メッセンジャー、伝令)RNAが作られる過程で、未完成のmRNAを核内にとどめる仕組みの一端を、京都大ウイルス研究所の大野睦人教授(分子生物学)のグループが14日までに見つけ、米科学誌「米国科学アカデミー紀要」で発表する。誤った情報でタンパク質が作られるのを防いでいるとみられる。

 DNAの情報をmRNAに転写する際、合成するタンパク質の情報が入った部分(エキソン)と、情報がない部分(イントロン)が読み取られ、その後イントロンが取り除かれてmRNAが核外に出る。イントロンがついた状態のmRNAが核外に出ると、誤ったタンパク質が合成される危険性があるが、核外に出ない仕組みは詳しく分かっていなかった。

 mRNAの中には、イントロンの除去を促進する塩基配列(ESE)を持つものがあり、大野教授らが、カエルの細胞を使って、ESEを持つmRNAと持たないmRNAを比較したところ、ESEを持つ方が核外に出にくいことが分かった。さらに、核内で「いかり」の役割をするタンパク質複合体とESEが結びつくのを阻害すると、mRNAは核外に出やすくなり、ESEがmRNAを核内にとどめていることが分かった。

 また、ESEは、イントロンが除去されると、「いかり」から解除されることも分かった。

 大野教授は「ESEは、mRNAが正しいタンパク質を作るように制御しているのだろう。エイズウイルスはイントロンを持ったまま増殖することが知られており、ESEの機構の解明がエイズ研究につながる可能性がある」と話している。

[京都新聞電子版 2007年08月14日]
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2007081400067&genre=G1&area=K10