魚や野菜、豆類を多く食べる人は心筋梗塞(こうそく)になりにくい――。大阪大の磯博康教授(公衆衛生学)や国立がんセンターの研究チームが約4万人を対象にした調査でこんな結果を明らかにした。欧米でもほぼ同様の研究結果が報告されているが、国内の大規模調査で確認したのは初めて。
研究チームは、岩手、秋田、長野、沖縄の4県で90年と95年に実施された生活習慣のアンケートをもとに、40~59歳の男女約4万人の葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12の1日あたりの摂取量を推計。それぞれ摂取量別に5グループに分け、11年間にわたって追跡した。調査中、251人が心臓病を患った。
それぞれ摂取量が多いほど心臓病の危険性が減っていく傾向が確認された。摂取量が最少のグループを基準にすると、ビタミンB6では最も摂取量の多いグループの危険性は52%、ビタミンB12でも53%に減っていた。
葉酸は野菜や緑茶など、ビタミンB6は魚やレバー、豆類など、ビタミンB12は魚などに多く含まれている。日本人は一般に、葉酸やビタミンB12に比べ、ビタミンB6の摂取量が少ない。研究チームは「ビタミンB6を多く含む食品を積極的に食べることが予防につながる」としている。
葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12が欠乏すると、動脈硬化などを誘発するとされる物質「ホモシステイン」が血中で増えることが知られる。磯教授は「摂取量が多いことで、ホモシステインの生成が抑えられているのではないか」と指摘している。(木村俊介)
[朝日新聞 2008年05月27日]
http://www.asahi.com/life/update/0527/OSK200805270090.html
【 ビタミンB群、心疾患を抑制。ただし食事でバランスよく】
ビタミンB群を食事で多く取る人は心筋梗塞(こうそく)になりにくいことが27日までに、厚生労働省研究班(主任研究者=津金昌一郎国立がんセンター部長)の大規模疫学調査で分かった。どれか1つだけでは効果がなかった。
研究班は1990年と95年、岩手、秋田、長野、沖縄の4地域で、40~59歳の男女約4万人の生活習慣を調査。約11年の追跡期間に、男性201人、女性50人の計251人が心筋梗塞などの虚血性心疾患になった。
食事内容からビタミンB6、B12、葉酸の摂取量を算出してそれぞれ5群に分け、喫煙や肥満、ビタミン剤摂取などの影響を除いて発症リスクを比較。その結果、いずれも摂取量が多いとリスクが低い傾向がみられた。
心筋梗塞に限るとより顕著で、最も少ないグループに比べ、最も多いグループは葉酸で約4割、B6、B12で約5割低かった。
また、摂取量が多いか少ないかの組み合わせでも検討。3つすべて少ない人は、すべて多い人の2倍以上のリスクだった。1つだけ多くても他の2つが少なければ同様に高リスクで、特にB6が少ないと、B12と葉酸が多くても2倍以上だった。
研究班は、これらを満遍なく、特にB6を多く含む食品を積極的に取ることが、心筋梗塞の予防につながる可能性があるとしている。
[時事ドットコム 2008年05月27日]
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2008052700284
【ビタミンB群心筋梗塞抑制・厚労省研究班が調査】
レバーやホウレンソウなどを普段の食事で食べ、ビタミンB群(B6、B12、葉酸)を多く摂取する人はあまり摂取しない人に比べて心筋梗塞(こうそく)になるリスクが37―48%低くなるとの疫学調査結果を、厚生労働省研究班(主任研究者・津金昌一郎国立がんセンター予防研究部長)が27日発表した。3種類をバランスよくとれば予防効果がさらに高まるという。
研究班メンバーの磯博康・大阪大学教授らは全国の男女約4万人を約11年間追跡調査した。聞き取りでビタミンB6とB12、葉酸の摂取量を推計した。サプリメントは対象外。期間中に192人が心筋梗塞を発症した。
ビタミンB6の摂取量で五グループに分けた。最も摂取量の多いグループ(1日あたり1.6ミリグラム)は最も少ないグループ(同1.3ミリグラム)と比べ、心筋梗塞になるリスクが48%下がった。ビタミンB6は肉や魚に100グラムあたり0.4ミリグラム、野菜に同0.2ミリグラムほど含まれる。
[NIKKEI NET いきいき健康 2008年05月27日]
http://health.nikkei.co.jp/news/top/index.cfm?i=2008052703220h1