ラットは今日も、きみのために。

マウスも研究者も頑張っています。
医学研究関連記事の新聞紙面から切り抜き
再生医療、薬理学、生理学、神経科学、創薬

書き帳:「カレーを食べると、アルツハイマー病にならない」/京都(コラム)=同志社大学

2008年06月15日 | 食品・栄養
 「カレーを食べると、アルツハイマー病にならない」--。こんな耳よりな話を、同志社大生命医科学部教授の井原康夫さんから聞いた。井原さんはアミロイドβ42というたんぱく質がアルツハイマー病の原因とされることを突き止めた世界的な医学者だ。

 インドの人たちにアルツハイマー病が少ないのは、インドで好んで食べられるカレーの成分にアミロイドβ42の蓄積を抑える働きがあるからだという。

 アミロイドβ42は50歳代からたまり始め、70~80歳代にアルツハイマー病が発症する。私は50歳代半ば。もう間に合わないかも知れないが、これから毎日、カレーライスを食べ続けようか。【玉置勝巳】

[毎日新聞 2008年06月15日]
http://mainichi.jp/area/kyoto/news/20080615ddlk26070371000c.html

発熱に効くハーブ、脱毛予防にも効果確認=大阪大学

2008年06月05日 | 食品・栄養
 大阪大と医療用具開発ベンチャーのエム・エム・ティー(大阪市)が共同開発したサプリメントの主成分に男性型脱毛症の進行を抑える働きがあることを、同大の冨田哲也助教らの研究チームがヒトの細胞を使った実験で確かめた。東京で6日開かれる日本抗加齢医学会総会で発表する。

 この成分は、発熱などに効くとして古くから欧米で愛用されてきたハーブの一種、ナツシロギクから抽出した「パルテノライド」。近年の研究で、がん転移や様々な炎症を引き起こす司令塔役のたんぱく質「NF―kB」に結びつき、転移や炎症を抑える働きがあることが分かっている。

 研究チームは、この成分のリウマチや関節炎に対する作用を調べている最中に脱毛症への効果を見つけた。リウマチ患者に与えたところ、痛みが和らいだうえに「髪の毛が太くなったり、薄くなった頭頂部にうぶ毛が生えたりした」(冨田助教)という。

 額の生え際や頭頂部の毛が薄くなる男性型脱毛症の原因物質は、男性ホルモンの一種「ジヒドロテストステロン」(DHT)とされる。DHTの生成には「NF―kB」がかかわっており、パルテノライドがその働きを抑えることで、脱毛症の進行が抑制されると研究チームはみている。

 冨田助教は「従来の脱毛症薬とは異なる、NF―kBという治療のターゲットが見つかった。新たな治療法への応用が期待できる」と話す。

[朝日新聞 2008年06月05日]
http://www.asahi.com/science/update/0605/OSK200806050048.html

心筋梗塞防止、やっぱり魚や野菜、広範囲に国内調査=厚生労働省研究班、大阪大学

2008年05月27日 | 食品・栄養
 魚や野菜、豆類を多く食べる人は心筋梗塞(こうそく)になりにくい――。大阪大の磯博康教授(公衆衛生学)や国立がんセンターの研究チームが約4万人を対象にした調査でこんな結果を明らかにした。欧米でもほぼ同様の研究結果が報告されているが、国内の大規模調査で確認したのは初めて。

 研究チームは、岩手、秋田、長野、沖縄の4県で90年と95年に実施された生活習慣のアンケートをもとに、40~59歳の男女約4万人の葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12の1日あたりの摂取量を推計。それぞれ摂取量別に5グループに分け、11年間にわたって追跡した。調査中、251人が心臓病を患った。

 それぞれ摂取量が多いほど心臓病の危険性が減っていく傾向が確認された。摂取量が最少のグループを基準にすると、ビタミンB6では最も摂取量の多いグループの危険性は52%、ビタミンB12でも53%に減っていた。

 葉酸は野菜や緑茶など、ビタミンB6は魚やレバー、豆類など、ビタミンB12は魚などに多く含まれている。日本人は一般に、葉酸やビタミンB12に比べ、ビタミンB6の摂取量が少ない。研究チームは「ビタミンB6を多く含む食品を積極的に食べることが予防につながる」としている。

 葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12が欠乏すると、動脈硬化などを誘発するとされる物質「ホモシステイン」が血中で増えることが知られる。磯教授は「摂取量が多いことで、ホモシステインの生成が抑えられているのではないか」と指摘している。(木村俊介)

[朝日新聞 2008年05月27日]
http://www.asahi.com/life/update/0527/OSK200805270090.html



【 ビタミンB群、心疾患を抑制。ただし食事でバランスよく】


 ビタミンB群を食事で多く取る人は心筋梗塞(こうそく)になりにくいことが27日までに、厚生労働省研究班(主任研究者=津金昌一郎国立がんセンター部長)の大規模疫学調査で分かった。どれか1つだけでは効果がなかった。
 研究班は1990年と95年、岩手、秋田、長野、沖縄の4地域で、40~59歳の男女約4万人の生活習慣を調査。約11年の追跡期間に、男性201人、女性50人の計251人が心筋梗塞などの虚血性心疾患になった。
 食事内容からビタミンB6、B12、葉酸の摂取量を算出してそれぞれ5群に分け、喫煙や肥満、ビタミン剤摂取などの影響を除いて発症リスクを比較。その結果、いずれも摂取量が多いとリスクが低い傾向がみられた。
 心筋梗塞に限るとより顕著で、最も少ないグループに比べ、最も多いグループは葉酸で約4割、B6、B12で約5割低かった。
 また、摂取量が多いか少ないかの組み合わせでも検討。3つすべて少ない人は、すべて多い人の2倍以上のリスクだった。1つだけ多くても他の2つが少なければ同様に高リスクで、特にB6が少ないと、B12と葉酸が多くても2倍以上だった。
 研究班は、これらを満遍なく、特にB6を多く含む食品を積極的に取ることが、心筋梗塞の予防につながる可能性があるとしている。

[時事ドットコム 2008年05月27日]
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2008052700284



【ビタミンB群心筋梗塞抑制・厚労省研究班が調査】

 レバーやホウレンソウなどを普段の食事で食べ、ビタミンB群(B6、B12、葉酸)を多く摂取する人はあまり摂取しない人に比べて心筋梗塞(こうそく)になるリスクが37―48%低くなるとの疫学調査結果を、厚生労働省研究班(主任研究者・津金昌一郎国立がんセンター予防研究部長)が27日発表した。3種類をバランスよくとれば予防効果がさらに高まるという。
 研究班メンバーの磯博康・大阪大学教授らは全国の男女約4万人を約11年間追跡調査した。聞き取りでビタミンB6とB12、葉酸の摂取量を推計した。サプリメントは対象外。期間中に192人が心筋梗塞を発症した。

 ビタミンB6の摂取量で五グループに分けた。最も摂取量の多いグループ(1日あたり1.6ミリグラム)は最も少ないグループ(同1.3ミリグラム)と比べ、心筋梗塞になるリスクが48%下がった。ビタミンB6は肉や魚に100グラムあたり0.4ミリグラム、野菜に同0.2ミリグラムほど含まれる。

[NIKKEI NET いきいき健康 2008年05月27日]
http://health.nikkei.co.jp/news/top/index.cfm?i=2008052703220h1

ビスフェノールA:プラスチックの原料、胎児に影響、ラットで確認=国立医薬品食品衛生研究所

2008年05月14日 | 食品・栄養
 ◇基準以下でも
 プラスチック製品の原料になる化学物質ビスフェノールAが、現行の安全基準以下でも胎児や新生児に影響を与えることを国立医薬品食品衛生研究所(衛生研)などがラットで確認した。厚生労働省は、内閣府の食品安全委員会に評価を諮問する検討に入った。【下桐実雅子】

 実験では、母ラット5群に、妊娠6日目から出産後20日まで、ビスフェノールAを毎日投与。与えない群も含め、胎盤や母乳を通じた影響をみるため、生まれた子の発情期など性周期を約20匹ずつ長期間観察した。

 大人に相当する生後7カ月になって比べると人の1日摂取許容量の体重1キロ当たり0・05ミリグラム、それ以下の0・005ミリグラムと、同40ミリグラム以上の高い量を与えた3群の計5群の子ラットに発情期が続くなど乱れが起きた。

 ビスフェノールAについて環境省は04年、魚類で内分泌かく乱作用が推察されるとしたが、人への影響は認められないとしている。

 衛生研の菅野純・毒性部長は「性周期の異常は、ビスフェノールAが中枢神経に影響を与えたためと考えられる。大人は影響を打ち消すが、発達段階にある胎児や子供には微量でも中枢神経や免疫系などに影響が残り、後になって異常が表れる可能性がある」と分析している。

 ビスフェノールAについて米政府は4月、「胎児や子供の神経系や行動に影響を与えたり、女子の早熟を引き起こす恐れがある」とする報告書をまとめた。カナダ政府もビスフェノールAを含むプラスチック製哺乳(ほにゅう)瓶の輸入、販売、広告を禁止する方針を示している。

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 ■ことば

 ◇ビスフェノールA
 ポリカーボネート樹脂の原料。丈夫で軽いため、パソコン、携帯電話などさまざまな用途に使われている。環境ホルモン問題で、微量が熱湯で溶け出す哺乳瓶や食器は代替品に切り替わったが、輸入品など一部では使われている。

[毎日新聞 2008年05月14日]
http://www.mainichi.jp/select/science/archive/news/2008/05/14/20080514dde001040037000c.html

若返る!?レタスを開発=京都大学

2008年04月29日 | 食品・栄養
人の抗酸化遺伝子組み込み

 老化やがんの原因となる活性酸素を抑えるチオレドキシンという人の体内物質を、大量に含むレタス=写真=の開発に、京都大ウイルス研究所の淀井淳司教授(感染防御)と奈良先端科学技術大学院大の横田明穂教授(植物分子生理学)のグループが成功、28日発表した。医薬品や健康食品としての利用が期待される。

 チオレドキシンは抗酸化作用を持ち、様々な体内物質の働きを調節している。人のチオレドキシン遺伝子は1989年に淀井教授らが発見。体内のチオレドキシン量を増やしたマウスはストレスに強く、平均約30%長生きした。

 横田教授らは、植物体内に大量に存在する葉緑体に着目。人のチオレドキシン遺伝子を葉緑体内に組み込んだところ、通常の細胞核に入れる遺伝子組み換えの場合の約100倍のチオレドキシンが合成された。横田教授は「付加価値の高いレタスとなり、産業面でも大きなメリットになる」と話している。

[読売新聞 / 2008年04月29日]
http://osaka.yomiuri.co.jp/eco_news/20080429ke02.htm

納豆食べれば若返る? 動物実験で実証=自治医科大学

2008年03月26日 | 食品・栄養
 納豆製造会社251社で組織する全国納豆協同組合連合会は26日、自治医科大学循環器病臨床研究所の早田邦雄・准教授がマウスによる実験で納豆に多く含まれる物質の「ポリアミン」にアンチエイジング(抗老化)機能があることを実証したと発表した。

 ポリアミンはすべての生物の細胞内でアミノ酸から合成される物質で細胞分裂やタンパク合成などの活動に関与している。大豆やシイタケなどのほか、納豆、チーズといった発酵食品に多く含まれている。早田准教授は平成16年にポリアミンが動脈硬化を防ぐことを発見したが、動物実験でアンチエイジング機能もあることをつきとめた。

 高濃度ポリアミンを配合した餌を与えたマウスは、血中のポリアミン濃度が上昇、毛並みはきれいで若々しく、死亡率が低かった。人間もポリアミンを多く含む納豆などを継続して食べると血中のポリアミン濃度が上昇する。早田准教授は、「同じほ乳類の人間に対してもアンチエイジング効果が期待できる」と話している。

 早田准教授は、健康なマウスを飼育条件を同じにして、高濃度のポリアミンを含む餌、市販の餌、ポリアミン濃度の低い餌を与えたマウスを生後50週で比較して、ポリアミンにアンチエイジング機能があることを実証した。早田准教授は「マウスの毛並みは健康と老化の指標になる。マウスの生後50週は人間では中年期に当たる」と指摘した。

 市販の餌にはポリアミンを多く含む大豆かすと大豆油が配合されている。それぞれをミルクカゼインとラードに変えることでポリアミン濃度の低い餌にした。ポリアミン濃度の高い餌は合成したポリアミンを大豆、納豆に含まれる量の2倍を添加した。餌に含まれる他の成分や脂質量は同じにして比較した。

[msn産経ニュース / 2008年03月26日]
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/080326/biz0803261941014-n1.htm

全国納豆協同組合連合会 ホームページ
http://www.710.or.jp/index.html



ん~なんか色々微妙すぎ。「マウスの毛並み」って(笑)
でも納豆をかけた暖かいご飯は大好きです。

木イチゴ、甘くみないで 香り成分塗って育毛・美肌効果=名古屋市立大大

2008年03月16日 | 食品・栄養

 ケーキやフランス料理のデザートに使われる木イチゴの香りのもととなる化学成分「ラズベリーケトン」に、育毛と美肌効果があることが、名古屋市立大大学院医学研究科の岡嶋研二教授、原田直明准教授らのグループの研究で分かった。成果は米科学誌「成長ホルモンとIGF研究」(電子版)に掲載された。

 岡嶋教授らは、ラズベリーケトンを生理食塩水などで薄めて、毛をそったマウスの皮膚に4週間塗り続けたところ、毛の成長促進作用があることを確認した。このデータを基に、10人の薄毛の人に毎晩1回5カ月間、頭皮にラズベリーケトンを塗り続けると、男性型脱毛症の男性4人と円形脱毛症の女性1人で、明らかに増毛が確認できた。

 また、5人の女性の顔にラズベリーケトンを毎晩1回、2週間塗ってもらい、塗り始めた前後で、引っ張った肌がどの程度戻るかで肌の弾力性を調べたところ、個人差はあったものの、平均すると塗った後の弾力性が明らかに増した。

 岡嶋教授らのこれまでの研究で、トウガラシの辛み成分である「カプサイシン」に知覚神経を刺激し皮膚の衰えを防ぎ、育毛させる効果があることが分かっていた。

 今回、ラズベリーケトンがカプサイシンに化学構造が似ていることに着目。ラズベリーケトンにもカプサイシンと同様に、知覚神経の刺激により髪の毛のもととなる毛母細胞を活性化させたり、細胞の老化を防いだりするタンパク質「インスリン様成長因子-I」の生成を促進させる作用があることを確認した。

 岡嶋教授は「ラズベリーケトンは甘い香りで、化粧品やサプリメントに応用できそうだ」と話している。

[中日新聞 / 2008年03月16日]
http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2008031602095739.html

毛を剃られたマウスちゃんたちと、有志の被験者さんたち、ごくろうさまでした。そのうちちゃんとした機序も解明されるようになると良いですね。

ポリフェノール高機能化の酵素を特定=京都大学

2008年03月16日 | 食品・栄養
 「体に良い」と注目されているポリフェノールの機能を高める植物の酵素を、京都大生存圏研究所の矢崎一史教授(植物分子生物学)らのグループが世界で初めて突き止めた。健康食品や医薬品の開発、生産などに幅広く利用できるという。米学術誌「プラント・フィジオロジー」3月号で発表した。

 ポリフェノールは、茶やワインなどに多く含まれる植物の成分で、抗酸化や抗菌活性がある。枝分かれしたヒゲのような形の五つの炭素の連なり「プレニル基」が結合してプレニル化ポリフェノールになると、活性が数十倍も強くなったり、抗がんや女性ホルモン活性などの新たな機能を得る。しかし、植物には微量しか含まれず、結合のために必要な酵素の正体が分からなかった。

 矢崎教授らは、根が漢方薬「苦参(くじん)」になるマメ科の多年草クララに注目した。クララの細胞内で働いている遺伝子を網羅的に解析し、これまで分かっている酵素の性質などから遺伝子を絞り込み、酵素を作る遺伝子と酵素N8DTを突き止めた。

 酵母に遺伝子を組み込んでN8DTを作り、酵素として機能することを確認した。N8DTは限られた種類のポリフェノールで働くが、他の種類で働く可能性のある候補遺伝子も複数見つかり、今後機能を確認する。

 酵素が見つかったことで、さまざまな機能を持つプレニル化ポリフェノールの開発と生産に道が開けた。抗がんや老化防止などの医薬品や機能性食品のほか、耐性菌を殺す薬剤、病気に強い植物や木の開発なども期待できるという。

[京都新聞 / 2008年03月15日]
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2008031500031

大豆食品の定期摂取で乳がん発症リスク低下=米国、国立がんセンター

2008年03月11日 | 食品・栄養
【3月11日 AFP】大豆食品を定期的に食べている女性は乳がんにかかるリスクが低いとする研究が7日、米科学雑誌「ジャーナル・オブ・クリニカル・オンコロジー(Journal of Clinical Oncology)」に発表された。

 国立がんセンターが政府の出資により行ったこの研究によると、大豆などに含まれるイソフラボン化合物「ゲニステイン」の血中濃度が高い女性は低い女性より乳がんの発症率が低いという。

 研究では全国の40-69歳の女性約2万5000人を平均10年半にわたり追跡調査した。乳がんを発症した女性144人と発症していない女性288人の血液サンプルを比較し、ゲニステイン濃度と乳がん発症リスクの関連性を調査した。

 その結果、ゲニステイン濃度が最も高かったグループの乳がん発症リスクは、濃度が最も低かったグループの3分の1だったことが分かった。最も高かったグループの1日当たりのゲニステイン摂取量は、豆腐100グラムまたは納豆50グラムに相当する分量だった。

 なお同研究では、サプリメントなどによりゲニステインその他のイソフラボン化合物を過剰に摂取すると、乳がんリスクが高まる可能性があることも分かっている。

 研究チームの岩崎基(Motoki Iwasaki)国立がんセンター室長は、研究結果は通常の食事時のイソフラボンの摂取に限ったものであるため、食事の際の摂取には問題ないとしている。

 最近の別の研究では、大豆製品を中心にした食事をしている高齢女性は心臓病のリスクが低いとの結果が出ている。

 一方、英国では、アスピリンのような製薬を定期的に摂取すると、乳がんの発症リスクが大幅に下がる可能性があるとの研究が発表されている。(c)AFP

[AFP BB News / 2008年03月11日]
http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2362347/2720629

花粉症:「乳酸菌」が効果ある? ネットなどで注目~毎日.jpサイエンスコラムから

2008年02月09日 | 食品・栄養
 花粉症の季節がやってきた。飲み薬にマスク、花粉が付きにくい衣料などさまざまな花粉症対策グッズが販売される中、「乳酸菌」が注目を集めている。【太田阿利佐】

 ■腸内細菌

 「研究段階では、乳酸菌の一部が、花粉症などのアレルギー症状の緩和に有効である可能性が示されつつあります」。こう説明するのは東大名誉教授で、「免疫と腸内細菌」などの著書がある日本大の上野川修一教授だ。

 アトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー症状は、「Th(ティー・エイチ)1」と「Th2」という2種類の免疫細胞のバランスが崩れて起きると考えられている。乳酸菌のうち、いわゆる善玉菌と呼ばれるビフィズス菌やラクトバチルス菌には、このバランスを改善する働きがあるとする研究結果が2000年ごろから相次いで発表されている。

 ただ、成人なら大腸に400種程度、重さにして1キロ以上の腸内細菌がおり、その組み合わせは、その人の免疫遺伝子や生活環境、食生活などによって異なる。また同じビフィズス菌でも、菌種によって働きは異なる。このため、どの菌をどれだけ摂取すればどの程度の効果が出るかについて、研究者や食品各社が研究開発を急いでいる段階だ。

 雑誌やインターネットなどには「乳酸菌の○○がいいらしい」「胃酸で死んでしまうので乳酸菌を食べても無駄だ」などの情報があふれている。上野川教授は「腸内細菌の構成は個人差があり、その人にどの菌が合うかは一概に言えない。確かに菌の中には胃酸で死ぬものもあるが、死んだ菌でも腸に到達し、腸管の免疫系への刺激を通じてバランスを整える可能性もある。また生き残って腸に達し、腸管の免疫系を刺激する菌もある。科学的には、生菌も死菌もそれぞれ内容は異なるが、一定の働きをすると考えられる」と言う。

 ■混乱も

 厚生労働省によると、花粉症患者は人口の約16%(05年推計)で増加傾向にある。2000万人規模の一大市場となっており、食品・飲料各社はすでに独自に研究開発した菌種を利用した飲料やタブレットを発売している。「L-92」(カルピス)や「KW乳酸菌」(キリンヤクルトネクストステージ)など、各社がそれぞれ菌株名をつけているが、現状では薬でも特定保健用食品(特保)でもなく「花粉症に効く」などの表現は一切できない。ドラッグストアの店頭でも、花粉症対策コーナーの一角にひっそりと置かれている一方で、ネット上ではさまざまな菌種名の商品が販売されており、消費者には分かりにくい状況となっている。

 国民生活センター情報分析部は「花粉症関連商品に限らず、健康食品一般に言えること」として(1)業者側の説明をうのみにせず、医師に相談するなど自分でも情報収集する(2)体質に合うか不明なので、一度に大量購入しない(3)マルチ商法など販売方法に問題がないか留意する--などの注意を呼び掛けている。

[毎日新聞 / 2008年02月09日]
http://mainichi.jp/select/science/news/20080209k0000e040054000c.html



 今年もこれから日本全国津々浦々、いやーな花粉症のシーズンに突ですね。wikipediaによると日本人の15%以上の人が花粉症に罹っているようです。目は痒くなるし洗濯物も外に出せなくなるし、薬を飲めば「ぼ~」っとして思考が集中しづらくなるし、ホントに参ります。
スギ、ヒノキなどの植林の側の対策は全く進んでいないようですね。排気ガスや他にも色んな要因があるのでしょうが、その対策でこの症状が軽減するのなら、国にも、もっと本腰を入れてやってもらいたいと切に願います。
‥乳酸菌って、いったいホントに効くんでしょうか?(→ブログ内検索をどうぞ。)

米ぬか:抗酸化作用で糖尿病腎症の発症抑制に効果=和歌山県立医科大学

2008年01月21日 | 食品・栄養
 和歌山県立医大、同県工業技術センターなどの共同研究グループは、米ぬかに含まれるフェルラ酸が、糖尿病腎症の発症を抑える効果があることが分かったと発表した。ラットを使った実験で、腎症発症を示す尿たんぱく排出量が少なくなり病気の進行が遅いことが確認された。オランダの糖尿病専門誌に発表した。

 フェルラ酸はポリフェノールの一種。強力な抗酸化作用がありサプリメントなどの原料に使われている。糖尿病腎症は糖尿病の3大合併症の一つで、高血糖が長く続くことで発症する。代謝異常のために活性酸素が過剰となることが原因として注目されており、研究グループは酸化防止機能を持つフェルラ酸の効果を調べた。

 実験では、糖尿病だが腎症発症前のラットにフェルラ酸を含む飼料を与え、12週間後に観察。通常の飼料を食べたラットと比べ、尿たんぱく排出量が半分以下となった。谷口久次・同センター化学技術部長は「医薬品や特定保健食用品としての実用化を目指し、将来的には腎症患者を減らしたい」と語った。

 糖尿病腎症に詳しい槙野博史・岡山大大学院教授は「効果のメカニズムを詳しく調べれば、人間への効果も期待できるのではないか」と話している。【辻加奈子】

[毎日新聞 / 2008年01月21日]
http://mainichi.jp/select/science/news/20080121k0000m040112000c.html

乳酸菌:アレルギーの抑制力解明 症状緩和も=東京大学

2008年01月04日 | 食品・栄養
 腸内に存在する乳酸菌の一種が、アレルギーの原因となる免疫細胞を細胞死(アポトーシス)に導くことを、東京大などのグループがマウスの実験で突き止めた。乳酸菌はアトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー症状を抑えることが報告されているが、メカニズムの一端が明らかになった。欧州の免疫学専門誌「イムノバイオロジー」に掲載された。

 体内では免疫細胞である「Th1」と「Th2」の均衡が保たれているが、バランスが崩れてTh2が増えると「IgE」と呼ばれる抗体が過剰に作られ、アレルギー反応が起きる。アレルギーの人はTh2が過剰な傾向がみられる。一方、アレルギー症状のある子どもは、乳酸菌のビフィズス菌やラクトバチルス菌が腸内に少ないという報告がある。

 東大の八村敏志准教授らのグループが、培養したマウスのTh2細胞にラクトバチルス菌を加えたところ、何も加えない場合に比べてTh2が1割程度多く細胞死を起こすことが分かった。マウスにこの菌を食べさせる実験でも、同様の結果を確認した。

 八村准教授は「乳酸菌はTh1を増やす働きが知られていたが、Th2の細胞死を促してアレルギーを抑える仕組みもある。乳酸菌摂取が症状緩和につながる可能性がある」と話した。【下桐実雅子】

[毎日新聞 / 2007年01月04日]
http://mainichi.jp/select/science/news/20080104k0000e040046000c.html


「乳酸菌摂ってると身体に良いよ~」なニュースは多いですね。

例の「あるある」のような胡散臭いテレビ番組は嫌でしたが、こういう記事は一定の需要があるのでしょうか。意に反して(食品・栄養)カテゴリーも、ずいぶん増えてしまったようです。
乳酸菌、腸内細菌はやっぱり大切なんでしょうね。共棲は他の多くの生物も観察されています。
大きな目で見たら地球環境も人間社会も、一つの共棲システムに組み込まれているように思います。
ファーストフードばっかり食べていないで、今日はチーズとヨーグルトを買って、そしてちょっとエコロジーな週末を過ごそうかと思います。

朝鮮ニンジンにアミロイド線維の形成抑止効果

2008年01月03日 | 食品・栄養
 信大農学部応用生命科学科の中村宗一郎教授(54)が、朝鮮ニンジンの成分に、「アミロイドーシス」と総称される病気の原因物質「アミロイド線維」の形成を抑制する効果があることを、試験管実験で確認した。アルツハイマー病やクロイツフェルト・ヤコブ病などでも知られるアミロイドーシスには効果的な治療法がない。近く動物実験を始め、予防につながる成分の応用方法がないか研究を進める。

 本来は体内で有用な働きをする約20種のタンパク質はそれぞれ、老化や、酵素のバランスが崩れるなどの理由で変化し、規則正しく集まってアミロイド線維になる。これが細胞や体液内に沈着すると、病気の原因になる。いずれのタンパク質とも、アミロイド線維の形成には共通の仕組みが関与しているとされている。

 中村教授は、食べ物とアミロイド線維の形成に関係がないかどうかに着目。約20種のタンパク質の一つのシスタチンを入れた試験管に、朝鮮ニンジン特有の成分でポリフェノールの一種「ジンセノサイド」を加え、アミロイド線維の形成状況を観察した。

 その結果、何も加えなかったものと比べ、形成されるアミロイド線維の量が約3分の1に抑えられたという。

 今後、抑制に効果的なジンセノサイドの濃度や、アミロイド線維形成過程のどこで抑止力が効いたのかなどを調べる。「日常的な予防につながれば効果的」とし、食物として摂取した場合に抑制力が働くかどうかを調べるため、近くマウスに朝鮮ニンジンを食べさせて確認する実験も始める。

 中村教授は「食べたものが、どこまで吸収されるのかといった問題がある。例えばアルツハイマー病なら(病気の抑制には)成分が脳幹を通る必要がある。研究はまだ入り口」と話す。

 これまでの研究で、同じポリフェノールの一種、フェノール酸を多く含む山菜や果物でもアミロイド線維形成の抑制効果が分かってきたという。

 病気に関与するタンパク質の構造と機能に詳しい島根大学医学部病態生化学の寺嶋正治准教授は「漢方薬にも使われる朝鮮ニンジンの効果の一端を、分子レベルで明らかにしたことは興味深い。必ずしもすぐ人に応用できるかは分からないが、アルツハイマー病やプリオン病の予防、治療に応用できる可能性があるので研究の進展に期待したい」と話している。

[信濃毎日新聞 / 2008年01月03日]
http://www.shinmai.co.jp/news/20080103/KT071227FTI090009000022.htm

チーズを食べてメタボ撃退 防止効果の成分発見=雪印乳業

2008年01月01日 | 食品・栄養
 チーズの中にメタボリック症候群の防止効果があるペプチド(アミノ酸結合体)が含まれることを、雪印乳業の技術研究所(埼玉県川越市)が発見した。昨年十月にはアイルランドで開催された国際酪農連盟の会合で、同社なかしべつ工場(根室管内中標津町)産チーズを使った実験結果を報告。今年は成分抽出を図り、早期にメタボ予防商品開発を目指す。

 研究は、農林水産省の支援事業として二○○五年度から実施。なかしべつ工場産の生タイプのゴーダチーズを実験用ネズミ(ラット)に与えて、腸間膜脂肪組織重量や血液中コレステロールを測定した。

 その結果、通常より脂肪分の多い餌を八週間与えたラットの脂肪組織重量が体重百グラムあたり約二・五グラムなのに対し、餌とともにチーズを摂取したラットは同約二・二グラムにとどまった。血中コレステロールはチーズ未摂取が百ミリリットル中に約八十ミリグラムだったが、チーズ摂取では同約七十ミリグラムだった。

 さらに、肝障害を起こすと増加する酵素がチーズ摂取によって低下。脂肪を燃焼させ、動脈硬化予防の作用があるとされる“善玉ホルモン”のアディポネクチンが一定に保たれる効果も判明した。

 雪印乳業によると、チーズの熟成度の比較実験では、熟成期間が八カ月と長いほうの効果が高いという。今後、どのペプチドが予防効果があるのかを特定し、抽出を図るほか、血糖値や血圧実験なども進めて、年内にも研究成果をまとめたい方針だ。

[北海道新聞 / 2007年01月01日]
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/agriculture/68634.html

「八丁みそで頭よくなる」 マウスで実験=名古屋市立大学

2007年12月30日 | 食品・栄養
 愛知県岡崎市に伝わり、独自の製法で知られる八丁みそに、脳の学習能力を向上させる効果があることを、名古屋市立大大学院の岡嶋研二教授、原田直明准教授らのグループが、マウスの実験で突き止めた。岡嶋教授は「この地方が戦国時代に三英傑を生み、岡崎出身の徳川家康は天下を治めたのも、八丁みそと関係があるのかもしれない。ぼけ防止の効果も期待できる」と話している。

 岡嶋教授らは、5匹ずつのマウスに八丁みそと普通の豆みそ、みそ以外のえさを4週間食べさせた。その後、それぞれのマウスを直径120センチの円形プールの中で泳がせ、直径10センチの丸い台を探して到達するまでの時間を計測。その結果、豆みそと普通のえさを食べたマウスに比べ、八丁みそを食べたマウスの到達スピードは3日目以降急激にアップし続け、目的の台を探し出す学習能力が向上していることが分かった。

 脳の学習能力をつかさどる海馬の神経細胞を活性化させるタンパク質「インスリン様成長因子-1」(IGF-1)の濃度をはかると、八丁みそを食べたマウスの方が、豆みそや普通のえさを食べたマウスに比べて1・8倍に増加していることが分かった。

 知覚神経が刺激を受けると、神経末端からアミノ酸の複合体「CGRP」が放出され、CGRPが若い細胞に働きかけIGF-1の生成を促進するというメカニズムが分かっている。

 豆みそと八丁みその製法は発酵まで同じだが、八丁みそはその後、約2年半、石積みしたたるの中で熟成させる。岡嶋教授は「熟成期間にIGF-1生成を促進させる何らかの成分ができているはずだ」とみて、成分の特定を急いでいる。

[中日新聞 / 2007年12月30日]
http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2007123002076086.html