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朝鮮ニンジンにアミロイド線維の形成抑止効果

2008年01月03日 | 食品・栄養
 信大農学部応用生命科学科の中村宗一郎教授(54)が、朝鮮ニンジンの成分に、「アミロイドーシス」と総称される病気の原因物質「アミロイド線維」の形成を抑制する効果があることを、試験管実験で確認した。アルツハイマー病やクロイツフェルト・ヤコブ病などでも知られるアミロイドーシスには効果的な治療法がない。近く動物実験を始め、予防につながる成分の応用方法がないか研究を進める。

 本来は体内で有用な働きをする約20種のタンパク質はそれぞれ、老化や、酵素のバランスが崩れるなどの理由で変化し、規則正しく集まってアミロイド線維になる。これが細胞や体液内に沈着すると、病気の原因になる。いずれのタンパク質とも、アミロイド線維の形成には共通の仕組みが関与しているとされている。

 中村教授は、食べ物とアミロイド線維の形成に関係がないかどうかに着目。約20種のタンパク質の一つのシスタチンを入れた試験管に、朝鮮ニンジン特有の成分でポリフェノールの一種「ジンセノサイド」を加え、アミロイド線維の形成状況を観察した。

 その結果、何も加えなかったものと比べ、形成されるアミロイド線維の量が約3分の1に抑えられたという。

 今後、抑制に効果的なジンセノサイドの濃度や、アミロイド線維形成過程のどこで抑止力が効いたのかなどを調べる。「日常的な予防につながれば効果的」とし、食物として摂取した場合に抑制力が働くかどうかを調べるため、近くマウスに朝鮮ニンジンを食べさせて確認する実験も始める。

 中村教授は「食べたものが、どこまで吸収されるのかといった問題がある。例えばアルツハイマー病なら(病気の抑制には)成分が脳幹を通る必要がある。研究はまだ入り口」と話す。

 これまでの研究で、同じポリフェノールの一種、フェノール酸を多く含む山菜や果物でもアミロイド線維形成の抑制効果が分かってきたという。

 病気に関与するタンパク質の構造と機能に詳しい島根大学医学部病態生化学の寺嶋正治准教授は「漢方薬にも使われる朝鮮ニンジンの効果の一端を、分子レベルで明らかにしたことは興味深い。必ずしもすぐ人に応用できるかは分からないが、アルツハイマー病やプリオン病の予防、治療に応用できる可能性があるので研究の進展に期待したい」と話している。

[信濃毎日新聞 / 2008年01月03日]
http://www.shinmai.co.jp/news/20080103/KT071227FTI090009000022.htm


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