3月11日(土)、早朝から辺野古に行ったが、強い雨風のため海上抗議行動は中止。防衛局の海上作業もないようだ。ゲート前の座り込みに参加する。今日は久しぶりの議員行動日で、国会議員さんや県議の方々が大勢参加されていた。
途中、第3ゲートから大浦湾を見下ろすと、台船の上に汚濁防止膜が積まれているのが見える。白いものは水中部に降ろすカーテンのようだ。
防衛局は「4月を目処に計4ヶ所で汚濁防止膜を設置し、5月にも浚渫工事に先立つ護岸工事に入る」と報道されている(2017.3.10 琉球新報)。しかし、今までも何回か指摘してきたが、防衛局が計画しているこの汚濁防止膜では汚濁は防げない。以下、その理由を説明しよう。
まず、今回設置が始まった汚濁防止膜は下図のようなものだ。海中部には深さ7mのカーテンがついている。海面のフロートを両側からアンカーローぴで海底のコンクリートブロックに固定するようになっている。台風襲来時等にはフロートの空気を抜き海底に沈めるか、撤去するという。(他にも一部、固定式の汚濁防止膜が設置される。)
しかし、この汚濁防止膜では汚濁は防げない。
①開口部が多く、汚濁防止にはならない
下が汚濁防止膜設置箇所の平面図。赤線部が浮沈式汚濁防止膜、青線部が固定式汚濁防止膜である。この平面図でも分かるように、大浦湾の汚濁防止膜には開口部が多く、ほとんど意味がない。大量の捨石が投下される海上作業ヤードには西側だけしか汚濁防止膜が設置されない。また、護岸工事に先だち大浦湾の浚渫・床掘が行われるが、この汚濁防止膜は浚渫・床掘箇所、護岸工の場所から遠く離れている。汚濁防止枠だけでは汚濁の拡散を防ぐことはできない。
防衛局はその理由を、「汚濁防止膜の設置箇所は、工事の施工上、作業船の航行や作業船のアンカーの配置などを勘案して現在の位置とした」(埋立承認願書 4-4-45)と説明しているが、土砂や捨石等の搬入のための作業船の航行を第一に配慮したものであり、このような開口部の多い汚濁防止膜では何の意味もないことは明らかである。
沖縄県も埋立承認の審査の中では、「代替施設本体周辺の汚濁防止膜の開口部を閉じ、海上ヤードについては周囲を汚濁防止膜で囲む必要がある」、「汚濁防止膜展張位置が護岸工事位置から離れすぎている」と指摘していたが、当時の仲井眞前知事はこの問題を曖昧にしたまま承認をしてしまったという不可解な経過がある。
②海中のカーテン部が短く、汚濁の拡散を防止できない
さらに問題は、フロート下部のカーテンが深さ7mまでしかなく、下側が大きく開いており汚濁の拡散が防止できないということだ。防衛局の資料でも、上記平面図のA-B部分は深さ-40m、E-F部分の最深部は深さ55mほどもある。たった7mのカーテンでは海底面で発生した濁水は潮の流れで広く拡散してしまう。
この点についても県は埋立承認の審査の過程で「汚濁防止膜は浮沈式垂下型であり、下側が大きく開いているため効果がないのではないか。工事計画を再考する必要がある」(埋立承認願書 4-4-47)と指摘していたが、これについても曖昧なまま埋立を承認してしまったという経過がある。
以上、述べてきたように、防衛局の現在の汚濁防止膜設置計画では汚濁を全く防止できない。沖縄県は、ただちにこの点についても防衛局に強く申入れをするべきであろう。今後、県ともこの問題について協議していきたい。