チョイさんの沖縄日記

辺野古や高江の問題等に関する日々の備忘録
 

最高裁が代執行訴訟で県の上告を不受理とした今、知事は、辺野古新基地建設事業を阻止するために「埋立承認の再撤回」を! --- 沖縄平和市民連絡会が県議会に陳情書を提出

2024年03月07日 | 沖縄日記・辺野古

 1月6日、沖縄平和市民連絡会は、開会中の県議会に、一昨日のブログで紹介した「海砂採取の総量規制を求める陳情書」だけではなく、「最高裁の辺野古・代執行訴訟の上告不受理を受け、埋立承認の再撤回を求める陳情書」を提出した。陳情書の全文を末尾に掲載する。

2024.3.7 琉球新報

 

 昨年12月28日、国土交通大臣が設計変更申請を知事に代わって承認したため、防衛局は本年1月10日からとうとう大浦湾での工事に着手した。県は1月以降3回にわたって、実施設計、環境保全対策の事前協議が調うまでの間は工事を中止するよう求める文書を出したが、防衛局は県の指示も無視したまま工事を続けている。こうした状況で、あくまでも辺野古新基地建設を阻止するためには、知事が「埋立承認の再撤回」に踏み切るほかない(再撤回理由については、末尾の陳情書の⑴~⑻を参照されたい)。

 昨秋から、県内の15の市民グループが「埋立承認の再撤回」を求めてきた。しかし県は、「代執行訴訟の係争中」として、この問題についての見解を示さなかった。昨年12月の県議会に沖縄平和市民連絡会が提出した「埋立承認の再撤回を求める陳情」への県の回答も、「国土交通大臣が代執行訴訟を提起したことから、県は応訴しているところであります。裁判所の判決が示された際には、判決を受けてどのような対応がとれるか検討してまいります」(2024.12.14 県議会外交防衛委員会で示された県の「処理概要」)というものであった。

 代執行訴訟で県の上告を最高裁が不受理とした今、知事は、「埋立承認の再撤回」に踏み切るべきである。

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沖縄議会議長 赤嶺 昇様            2024年3月6日

  

最高裁の辺野古・代執行訴訟の上告不受理を受け、埋立承認の再撤回を求める陳情 

                         沖縄平和市民連絡会

 

<陳情の趣旨>

 辺野古新基地建設を巡り、国が知事に代わって防衛局の設計変更申請を承認する代執行のための訴訟で、最高裁第1小法廷は2月29日、県の上告を受理しないと決定し、県の敗訴が確定しました。この最高裁の上告不受理は、地方自治の本旨や民意を顧みず、国の強権的な手法を追認したもので、司法の役割を自ら放棄した不当なものです。

 すでに国は、昨年12月28日に設計変更申請を代執行で承認し、本年1月10日からは大浦湾での工事が始まっています。今回の最高裁の上告不受理により、防衛局は工事をさらに加速して強行するものと思われます。

 私たちは昨年12月4日、県議会に「辺野古・埋立承認の再撤回を検討するために、第3者委員会の設置を求める陳情」を提出しました(令和5年12月4日受理、陳情第181号)。埋立承認後の事情の変化等によりその効力を持続するのが適当でないと判断された場合、知事は埋立承認を撤回することができるからです。

 この陳情に対する県の「処理方針」は、「普天間飛行場代替施設建設事業に係る変更承認申請については、令和5年10月5日に国土交通大臣が代執行訴訟を提起したことから、県は応訴しているところであります。裁判所の判断が示された際には、判決を受けてどのような対応がとれるか検討してまいります」というもので、埋立承認の再撤回についての判断は示していません。

 最高裁が代執行訴訟で県の上告を不受理とした今、知事は、私たちの要請に応え、埋立承認の再撤回に踏みきるべきです。

 

 なお、今回の場合、埋立承認再撤回の事由となる「埋立承認後の事情の変化」としては、次の各項目があります。これらの各項目について、県としての見解を示させるよう要請します。

 

                                                      記

 

⑴ 辺野古新基地の耐震設計は中小地震を対象とした「レベル1」で設計されている。しかし、2022年3月、政府の地震調査委員会が「南西諸島でM8級の巨大地震のおそれ」という長期評価を公表したため、「レベル2」での耐震設計に見直すことが必要となっている。

  また、県の「津波浸水想定」(2015年3月)では、津波の最大遡上高が、辺野古崎で11.7mと想定されており(辺野古新基地の外周護岸の標高は8.1m)、津波の際に新基地は全て破壊されてしまう。

 

⑵ 防衛局は、設計変更申請の耐震設計は、2018年に改正された新版の『港湾施設基準』に準拠したと説明したが、実際には2007年の旧基準を使用していることが明らかになった。新基準に基づいて設計すれば最大加速度が約5倍となり、護岸の安定性が確保できないおそれがあるために旧基準を使ったと思われる。

 

⑶ 防衛局は、2007年の土質調査で、「軟弱な沖積層が広く、厚く分布している。追加のボーリング調査が必要」と報告されていたにもかかわらず、埋立承認申請では、その事実を隠蔽し、「N値11の砂層。軟弱な粘性土層は確認されていない」としていたことが2023年11月に明らかになった。

 

⑷ 防衛局は、辺野古側の埋立工事が完了したにもかかわらず、設計変更申請の内容である大浦湾の埋立てのための土砂を辺野古側に仮置きするための搬送を続け、沖縄県の照会に対して、「赤土対策であり、埋立用土砂は搬送していない」と虚偽の回答を繰り返してきた。

  また、本年1月に始まった海上ヤード工事は、埋立承認の際の留意事項である環境保全対策の事前協議なしに強行されているため、県は工事中止を指示したが無視して工事を続けている。さらに石材を積み替える際には白塵が舞い上がり、海が白濁していることから、環境保全図書に記載してきた石材の洗浄が行われていないことは明らかである。

 辺野古新基地建設事業では、このような違法工事や、留意事項違反が相次ぎ、今までに40回以上の知事の行政指導にも従ってこなかった。

 

⑸ 環境省が「生物多様性の観点から重要度の高い海域」(海域番号14802)に指定した大浦湾一帯を埋立てることは、2023年3月31日に閣議決定された、「陸域及び海域の30%以上を保護地域にする」という「生物多様性国家戦略2023-2030」に反していること。

 

⑹ 陸上自衛隊と米海兵隊が辺野古新基地に陸上自衛隊の離島防衛部隊「水陸機動団」を常駐させる等、共同使用することで合意していることが2021年に明らかになった。また、米海兵隊も、南西諸島の島々を小規模に分かれた部隊で転々とするEABO(遠征前方基地作戦)構想等で再編される。辺野古新基地のような大きな基地が、ミサイルの時代に有効に機能するのかどうか等の再検討が必要である。

 

⑺ 昨年11月6日、在沖米軍幹部が、「軍事的に言えば、普天間から辺野古に移った場合は機能が低下する」、「辺野古が完成した後も普天間の維持を希望する」と発言している。普天間飛行場の改修・強化工事も続いており、辺野古新基地が完成しても普天間飛行場が返還されないおそれがある。

 

⑻ 3回の知事選や県民投票で、辺野古新基地には反対という県民の民意が明確に示されてきた。

 

<陳情の内容>

1.最高裁が辺野古・代執行訴訟で県の上告を不受理とした今、県に、埋立承認の再撤回に踏みきるよう要請すること。

2.上記8点の事項について、埋立承認再撤回の理由となるかどうかについての見解を示させること。

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