チョイさんの沖縄日記

辺野古や高江の問題等に関する日々の備忘録
 

<提案>辺野古の土砂投入が迫った今、土砂条例の改正を!---罰則規定の追加と審査期間の延長を

2018年03月11日 | 沖縄日記・辺野古

 

提案①>土砂条例の強化---罰則規定の追加と審査期間の延長を!

          ---辺野古新基地建設事業で土砂の投入が迫った今、土砂条例の改正を急ごう

 

 辺野古では、2014年以来、多くの県民らがキャンプ・シュワブのゲート前や海上で懸命の抗議行動を続けているが、防衛局は連日、護岸造成のための捨石投下作業を強行している。報道では、いよいよ本年6月頃から辺野古側で土砂投入が始まるのではないかとも言われている。辺野古新基地建設反対運動はいよいよ正念場を迎えようとしている。

 こうした緊迫した状況の中で、我々はあらゆる手法で新基地建設事業を阻止するための方策を講じなければならない。その一つが、2015年11月から施行された「公有水面埋立事業における埋立用材に関わる外来生物の侵入防止に関する条例」(以下、「土砂条例」)の改正である。

 

県外からの土砂搬入を規制する土砂条例の概要

 今回の辺野古新基地建設事業では、埋立に必要な「岩ズリ」(砕石採取後に屑として残る小さな石の混ざった土砂)1,644万㎥を県内外9地区から調達するとされている。この土砂条例は、特定外来生物の侵入を防止するために、県外からの埋立用材(土砂、石材等)搬入に際して、次のような規制を定めたものである。

1.事業者は、公有水面埋立事業に伴い特定外来生物が付着又は混入している埋立用材を県内に搬入してはならない(第3条)。

2.県外から埋立用材を県内に搬入しようとするときは、予定日の90日前までに、特定外来生物の確認のために行った調査の内容、特定外来生物の混入があったときの防除策等について知事に届け出ること(第4条)。

3.知事は、上記の届出があったときは、県内への搬入の前後にかかわらず、当該埋立用材の所在する場所に立ち入り、埋立用材を調査することができる(第8条)。

4.知事は、上記の調査の結果、埋立用材に特定外来生物が混入していると認めるときは、事業者に対し、当該埋立用材の防除の実施又は搬入若しくは使用の中止を勧告することができる(第9条)。

5.知事は、事業者が上記の勧告に応じなかったときは、その旨を公表することができる(第11条)。 

 土砂条例制定当時、全国20都道府県で外来種に関する条例が制定されていたが、埋立用材の持込みに伴う外来種の侵入防止を規定したものはなかった。その意味で、「沖縄の生物多様性を確保し、尊い自然環境を保全する」(条例第1条・目的)ためにこの土砂条例を議員提案し、成立させた与党県議団の努力には敬意を表したい。

 

明らかになった土砂条例の限界と課題

 この土砂条例の最初の適用例として、一昨年、那覇空港滑走路増設事業の石材の一部(25万㎥)が奄美大島から持ち込まれた。

 内閣府沖縄総合事務局は2015年12月、土砂条例に基づく届出書を県に提出した。その届出書には、「弊社の採石場では、これまで特定外来生物の付着等が確認されたことはございません」という念書が添付されていたが、県が条例に基づき立入調査をしたところ、特定外来生物のハイイロゴケグモが6箇所(採石場と積出港)全てで確認された(他にもオオキンケイギクも確認)。そのため県は、ダンプトラックに石材を乗せた状態で120秒間シャワー洗浄することや、一時仮置き時にシートをかける等の対策を指示。2016年3月末から7月末にかけて石材が搬送された。

 この土砂条例は、沖縄の貴重な生態系を守るために大きな効果を発揮することは間違いないが、那覇空港滑走路増設事業の経過からも、土砂条例の限界と課題も明らかになってきた。条例を強化し、より効果的なものにするために、次の2点についての条例改正が喫緊の課題となっている。 

 

「届出」制を「許可」制にし、知事の指示に違反した事業者に対する罰則規定を追加する

 現行条例の最大の問題は、事業者からの申請が「届出」制にとどまり、「許可」制ではないことである。また、知事の防除策の実施指示や搬入中止指示もあくまでも勧告にとどまり、事業者が知事の勧告に従わなくても事業者名を公表するというだけで他には罰則規定がない。土砂条例が制定された当時、防衛省幹部は、「土砂条例には罰則がない。ダメだと言われても埋立承認を得ているのだから土砂投入にためらいはない」と言い切ったという(沖縄タイムス 2015.7.8)。違反した事業者に対する罰則規定を追加し、条例に実効力を持たせることが不可欠である。

 条例制定時にも当然、罰則規定については検討され、その結果、現行の条文になったものと思われるが、県執行部、与党県議団の再度の努力をお願いしたい。

 

② 審査期間を90日以上に延長する

 現行条例では持込み予定の90日前までに届出をするとされている。今回の辺野古新基地建設事業では1700万㎥という大量の土砂が持ち込まれる。これは、那覇空港滑走路増設事業のために奄美大島から持ち込まれた石材の70倍にもなる。県の審査期間を長く設定しないと、これだけ大量の土砂の調査には対応できない。県の体制強化も必要である。

 また、那覇空港滑走路増設事業では、審査期間が冬季にあたり、昆虫の卵や植物の種子などの混入を見分けることが困難であった。

 これらの点からも、審査期間を現行の90日以上に延長することが必要である。

 

 2016年8月、世界170カ国以上の政府や政府機関、NGOで構成する国際自然保護連合(IUCN)は、日米両政府に対し、辺野古を含む沖縄本島の外来種侵入防止対策を求める勧告案を圧倒的多数で決議した。政府は勧告に従って、直ちに大量の土砂搬入を見直すか、勧告にある全てのことを実行しなければならないが、政府は今も勧告に従う姿勢を見せていない。

 辺野古新基地建設事業で土砂搬入が近づいている。土砂条例には他にもいくつかの課題があるが、当面、上記の2点に絞って条例の改正を急ぐよう提案したい。

 

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<備考>岩ズリの特定外来生物の駆除は困難---洗浄できないため、高熱処理の実験が始まった

那覇空港滑走路増設事業で持ち込まれたのは石材であった。今後、辺野古新基地建設事業で県外から持込みが予定されているのは、土砂(岩ズリ)である。 

 石材であれば洗浄という方法によって特定外来生物の除去もある程度は可能であろう。しかし、岩ズリの場合、洗浄すれば、土砂分はほとんど流れてしまうことから、洗浄という除去法は採用できない。いったいどのような駆除策をとるのかということが、大きな問題となっている。

 昨年12月、防衛局は県外から搬入する埋立土砂(岩ズリ)に混入する可能性がある特定外来生物に対する対策検討として、アルゼンチンアリ、セアカゴケグモを飼育し、高熱処理で死滅させる実験をすでに開始していることが明らかになった。植物類に対しては、高熱処理以外にも、燻蒸処理、海水処理の実験も行っている。

 これは、土砂(岩ズリ)の場合、洗浄という方法が採れないことを認めたことでもあるが、大量の土砂を高熱処理・海水するのは、費用・所要時間の面でもほぼ不可能と言わざるを得ない。

 各地の採石場では、きちんと調査すればなんらかの特定外来生物は必ず見つかるだろう。駆除策がない以上、沖縄県知事はその採石場からの土砂搬入の中止を指示することとなる。土砂条例に罰則規定が追加されれば、知事の中止指示により、土砂搬入は不可能となり、辺野古埋立は頓挫する。

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