チョイさんの沖縄日記

辺野古や高江の問題等に関する日々の備忘録
 

辺野古新基地建設の海砂採取で危惧される沖縄周辺海域の深刻な環境破壊 --- 海砂採取の総量規制だけではなく、実際の運用方法の改善を

2019年10月27日 | 沖縄日記・辺野古

   大浦湾の地盤改良工事では650万㎥も大量の砂が必要という。これは沖縄の年間海砂採取量の3~5年分というとんでもない量だ。このままでは、沖縄周辺の海砂が採りつくされ、環境に深刻な影響を与えることが危惧される。

 現在、瀬戸内海に面する岡山、広島、徳島、香川、愛媛、そして熊本では、海砂採取は全面禁止され、福岡、佐賀、長崎、鹿児島、山口、高知の各県では、海砂採取の総量規制が定められている。西日本の各県で総量規制がないのは、大分と沖縄だけである(大分は実際の採取量はわずか)。

 そのため、沖縄平和市民連絡会は、今年3月、9月の沖縄県議会に海砂採取の総量規制を求める陳情を提出し、県とも交渉を続けてきた。辺野古新基地建設のために、海砂採取が飛躍的に増える可能性があるため、今後も、さらに取組を続けていきたいと考えている。 

 先日、沖縄周辺海域での海砂採取の数例の許可書を公文書公開請求で入手した。

 

 ここでは、海砂採取の総量規制の問題はひとまず置き、現在の海砂採取の運用面の問題を検討する。いくつもの問題点があるが、ここではまず、下記の3点だけを指摘したい。

1.海砂の採取量が業者の自主報告にまかされ、県がチェックしていない

 沖縄県海砂採取要綱(以下、「要綱」)では、業者は、毎日の採取量を県に月報で報告することとされている。しかし、業者が月報に記載した採取量が正しいのかどうか、県は確認していない。

  海砂の採取料は現在、1立方メートル当たり128円で、認可量をもとに納入されている。しかし、業者が認可量より多く採取した場合、県に納入される採取料金額が不足することとなるが、現状ではその確認が行われていない。県の歳入額の根拠資料が不明確なまま処理されてよいはずはない。

 長崎県では、「1採取毎の採取量計算書及び写真」を提出させ、報告された採取量が適正かどうかチェックを行っている。さらに、GPSを装備した船を県がチャーターし、実際の採取状況の監視を行っているという。沖縄県でもなんらかの確認方法を定めなければならない。

2.採取場所の確認ができない

 沖縄での海砂採取は、環境への影響を軽減するために、「海岸線から1㎞以上離れ、且つ水深が15m以上の区域」に限られている(要綱)。しかし、月報には毎日の採取量は記載するが、採取場所の記載は求めていない。要綱には、「採取船には、位置確認のための測定機器を装備すること」と定めているが、そのGPS情報の記録を何故、提出させないのか? 長崎県では、「GPS記録紙及びポンプ稼働記録紙」等を提出させ、許可を受けた区域内で採取を行っているかどうかを県がチェックしている。

3.「深堀」のチェックができていない

 さらに問題となるのは、環境への影響が大きい「深堀」の規制である。要綱では、「部分的な深堀をしてはならない」とされているが、その具体的な内容については要綱の定めはない。「海砂利採取に関する取扱いについて」で、「掘削深度は概ね2メートル程度とし、採取区域において平均2メートルとなるようにする」、「部分的な深堀とは、2メートルから50%程度を超えた場合とする」とされているだけである。

 実際の許可書には、許可条件の一つに、「部分的な深堀をしないこと」としているだけで、上記の「取扱い」の各数字は、許可条件としては明記されていない。

 さらに現状では、これらが遵守されているかどうかをチェックする方法がない。海砂採取の許可申請には、等深線1メートルごとの深浅測量図を提出させているのであるから、採取後の深浅測量図の提出も求めるべきであろう。

 

 以上、説明してきたように、総量規制がないというだけではなく、沖縄県の海砂採取の運用方法は他県と比べてもきわめて遅れていると言わざるを得ない。

 

  

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