チョイさんの沖縄日記

辺野古や高江の問題等に関する日々の備忘録
 

<検証・「知事選と同日に県民投票」について①>今後、今年11月の知事選までに辺野古の工事はどこまで進むだろうか? ---この夏に土砂投入というNHKテレビの報道をめぐって       

2018年01月02日 | 沖縄日記・辺野古

 今年11月の知事選にあわせて辺野古新基地の賛否を問う県民投票を行い、反対の民意がまとまれば知事が埋立承認の撤回を行うという動きが与党県議団の中で始まった。これに対して、「その頃には工事はどんどん進行してしまうので、あまりに遅すぎる。すぐに撤回すべきだ」という反対の声が高まっている。

 この問題については、あらためて意見を述べたいが、ここではまず、今年の11月頃には工事はどこまで進んでいるのかを検証しよう。

 

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<検証>今後、今年11月までに辺野古の工事はどこまで進んでいるだろうか?                             

*辺野古側---辺野古側での本格的な埋立は無理だが、N5と辺野古崎の間に土砂が投入される?

・現在、K1、N5護岸工が進んでおり、1月からはK4護岸の工事が始まる。しかしK4護岸は全長1,029mもあり、防衛局の工程表でも下部工(基礎捨石+被覆ブロック)だけでも施工期間は15ヶ月を要する(上部工を含めると22ヶ月)。

 埋立に際しては周囲の護岸が築造されていることが必要なので、今年11月の時点では「埋立区域②」の埋立は本格的には始まらない。

・しかし、1月2日のNHKテレビニュースは、「辺野古移設で夏にも土砂投入か」と大きく報道した。これは、N5護岸、K4護岸東側、N3護岸の造成を急ぎ、その部分(埋立区域②-1)に土砂を投入しようとするものと思われる。防衛局は、辺野古漁港周辺を埋めて作業ヤードとする計画が漁港を所管する名護市長の反対で頓挫したため、護岸造成のためのブロック類の製作・保管場所に困っており、ここをそのための作業ヤードとすることを急いでいるのだ。

 この部分の周辺の護岸造成は浅いところなので早い時期に完了する。しかし、埋立用土砂搬入のためには工事用仮設道路①、②を完成させることが必要であり、土砂投入は早くても7月頃と思われる(注1)。 

18.1.2 NHKニュース

 

*大浦湾側---工事用仮設道路完成後、N1、N2護岸を造成し、石材陸揚げの桟橋とする可能性 

・K9護岸は今後、海上搬送の石材の陸揚げ桟橋として使われるため、当面は延伸されない。

・昨年12月末からは、辺野古崎からK9護岸に向けた海岸に沿って「工事用仮設道路②」の工事が始まった(海岸部に石材を入れた袋材を置き、上に砕石を敷いて仮設道路とする)。この仮設道路が完成すれば、海上搬送された石材のダンプによる運搬が加速する。 

・ただ、石材の海上搬送を行っても、K9護岸だけでは1日にダンプ110台程度しか陸揚げできないので、「工事用仮設道路②」完成後、新たな陸揚げ箇所として、N1、N2護岸造成に着手する可能性が強い(注2)。 

・「取止め」(防衛局はいったん取止めとしたが、いずれ実施すると主張している)となった海上ヤード(ケーソン置場)造成のための捨石投下は少なくとも今年いっぱいはないだろう。

・県が提訴した裁判が決着するまでは、大規模な岩礁破砕行為を伴う二重鋼管杭(A護岸、中仕切り岸壁)の工事には入らないものと思われる。



<注1>②-1の埋立には何処からの土砂が持ち込まれるのか? 昨年11月29日に入札公告された「シュワブ(H29)埋立工事」では、「県内産:174万㎥」とされている(工期:2020年3月31日まで)。沖縄本島(本部・国頭)の岩ズリを海上搬送するか、工事用仮設道路①、②を造成し、辺野古ダム東側の土砂を持ち込むものと思われる。 

<注2> 防衛省は昨年9月28日の我々との交渉の際、「石材を海上搬送から陸揚げするのは、K9護岸を使うのも一つの選択肢ということです。他にも陸揚げするところがあるかどうかは、今、あわせて検討しています」、「他にも、今後、いろんな選択肢が出てくることも否定できません」と述べている。

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 以上、今年の11月までには工事が何処まで進んでいるのかについて検証した。埋立区域②-1に土砂が投入される可能性があり、その部分の現状回復はもう困難となる。なんとしても、それまでに工事を止める手法を考える必要があるだろう。

 知事はこの時期になっても、「(計画だと工事は)現時点で32ヶ所ぐらいで着手していなければならないが、5ヶ所でしか着手していない上に、それもまだ全部ではない。工事は4%しか進んでいない」と言っているが(琉球新報 2018.1.1)、今後の工事の進捗を無視したあまりに楽観的すぎる現状認識だ。

 

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