チョイさんの沖縄日記

辺野古や高江の問題等に関する日々の備忘録
 

1月31日(火)、沖縄県北部土木事務所交渉に参加。まるで防衛局のような北部土木の対応(質問書、回答文書を全文掲載)。午後は那覇地裁で住民の抗告訴訟を傍聴

2023年02月01日 | 沖縄日記・辺野古

 1月31日(火)は朝から名護へ。本部町島ぐるみ会議の沖縄県北部土木事務所交渉に参加した。

 2年前の4月、北部土木事務所が本部塩川港へのベルトコンベア設置を許可したことにより、辺野古埋立のための土砂海上搬送が加速した。本部町島ぐるみ会議は毎月、翌月分の許可を出さないよう北部土木事務所と交渉を続けている。

 今回の交渉では、本部塩川港へのベルトコンベア設置許可の問題だけではなく、琉球セメント安和桟橋の公共用財産使用許可に違反した使用実態の問題、辺野古海上警備業務を受注した警備会社による金武湾港の違法使用問題等についてもあわせて追及した。

 1週間前には文書で質問・要請書を出しているので、一応、文書での回答は出される。しかし、北部土木事務所の回答は、ここ数か月、ますますひどいものになっている。この日の回答も、ほぼ全てがゼロ回答だった。交渉しながら、ふと、今、話し合っている相手は、防衛局であるかのような幻想に陥ったほどだ。

 何故、県民の訴えをことごとく無視し、防衛局に忖度するような対応を続けるのか。我々は、2回の知事選でも、辺野古新基地建設阻止を訴えるデニー知事を全力をあげて支持してきたのだが、個々の担当部局がこのような姿勢ではどうしようもない。

 我々の質問・要請書と北部土木事務所の回答文書を末尾に掲載する。

 

         (1月31日の北部土木事務所交渉(Nさん撮影))

 

 午前中の北部土木事務所交渉を終え、大急ぎで那覇に戻った。

 午後2時半から、辺野古・大浦湾周辺住民が提訴した知事の設計変更申請不承認を取消した国土交通大臣の裁決の取消を求める抗告訴訟の第2回口頭弁論。

 大浦湾でエコツーリズムやダイビングショップを正業としているIさんが、原告に参加した思いを口頭で述べた。福渡裁判長はうなづきながら聞いていたが、この裁判長は、やはり辺野古大浦湾周辺住民が、知事の辺野古埋立承認撤回を取消した国土交通大臣の裁決の取消を求めた訴訟で、全員の原告適格を認めず、原告の訴えを却下した(現在、控訴審が争われている)。しかし今回は、埋立工事により直接の被害を被るIさんや、米国防総省の高さ制限の範囲内に住む3人が原告に参加しているので、そう簡単には原告適格を認めないことはできないはずだ。

 弁論後の報告集会でも、マイクをまわされたので、「全力をあげてこの住民の抗告訴訟を支援しよう!」と訴えた。

 

               (口頭弁論後の報告集会)

*********************************

(本部町島ぐるみ会議の北部土木事務所長の質問・要請書)

 赤字部分が北部土木の文書回答

 

 

沖縄県北部土木事務所長様           2023年1月20日                               

             質問・要請書                                                         

                        本部町島ぐるみ会議 

<第1部 本部塩川港の問題について>

1―1.本部塩川港での来月分のベルトコンベアの港湾施設用地使用許可を出さないこと

1-1-1. 北部土木事務所は先月の交渉で、11月29日以後のベルトコンベア稼働状況について、「11月29日から12月23日の間、9回稼働」と回答した。

 9月以降のベルトコンベア稼働状況は下記のとおりである。

 9月 3回、10月 なし、11月 10回、12月 7回(23日まで)

 12月24日以降のベルトコンベアの稼働状況を明らかにすること。

【回答】

 

1-1-2.昨年9月以降、年末までの4ケ月間にベルトコンベアが稼働したのは20回でしかない。北部土木事務所は先月、「使用していない主な理由としては、天候不良によるものと聞いています」と文書回答した。

 しかしこの間、ベルトコンベアを使わずに直接、積込を行っている日も多く、天候だけを理由にはできず、ベルトコンベアの故障等が相次いでいるためでもある。

 月平均で5回程度しかベルトコンベアは稼働していないにもかかわらず、3000㎡以上もの広大な公有地を特定の業者に排他的・独占的に使用させ続けることに問題はないのか?

【回答】「申請者はベルトコンベアを使用する目的で申請を行っており、使用していない主な理由としては天候不良によるものと聞いております。」

 

1-2.本部塩川港での、ブレーキランプ故障ダンプ・違法ダンプの走行について

 昨年11月21日、本部塩川港で、ブレーキランプが故障しているダンプ、車検証を携帯していないダンプの走行が問題となった。安全対策上、看過できない問題であるが、我々の指摘に対して、北部土木事務所は昨年12月27日、「(防衛局に対して)電話でお伝えしています」と回答しただけである。

 また、ダンプ前を横断する市民らの列に割って入り、「立ち止まらないでください。速やかに歩いてください」と市民の抗議行動を妨害したことについては、「我々が管理する港湾の中で何か事故があったら、安全確保のためには、我々は知りませんとは言えません」と弁明した。そうであれば、安全対策上、極めて危険なブレーキランプ故障車両、車検証不携帯車両の走行を厳しく注意・指導しないのは納得がいかない。

 この問題に対して、電話での連絡にとどめることなく、発注元である防衛局・受注業者に対して直接、文書で注意すること。

【回答】「沖縄防衛局に申入れを行っています」 

 

1-3.本部塩川港での県との協議のないままの第3者による業務発注について

 本部塩川港では、辺野古への土砂海上搬送が始まってから、沖縄防衛局が「本部地区陸上警備業務」を発注し、作業時には常時、大勢の警備員が配置されている。これらの警備員は、港湾道路や、北部港運が許可を受けた港湾施設用地内等で業務にあたっている。 昨年12月27日、北部土木事務所は、この「本部地区陸上警備業務」について、「港湾使用の手続きや県との協議は行われていない。申し訳ありませんが確認させてください」と説明した。第3者が、県の管理地で、県と協議することなく委託業務を発注することなど許されない。

 防衛局に対して、この「本部地区陸上警備業務」をただちに中止し、警備員を撤退させるよう求めること。

【回答】「安全に作業を行えるよう警備員を配置しているものと考えています。」

                                              

1-4.本部塩川港、国道の交通量調査について

 我々はこの間、本部塩川港の港湾道路や安和桟橋付近の国道の損傷が相次いていることから、本部塩川港、国道の交通量調査を実施するよう求めてきた。

 北部土木事務所は昨年4月25日、「台数制限をするのか、考え方もいろいろあるが、今は何しますとすぐには返答できないが、多いことは確認したのでその後どういう方向でいくのかは今のところ即答できないので今後も調整させてください」と回答、さらに6月3日には、「交通量調査については引き続き検討していきたい」と文書回答し、6月21日の話し合いの中でも、「交通量調査については検討していきたい。いろいろな方法があるのでそれを含めて検討していきたい」と答弁している。

 ところが、その後、11月29日には、「塩川港の交通量調査は行わず、岸壁使用のデータからトラックの台数を求める」、「国道の調査は予定していない」と方針を変えてしまった。

 そして、昨年12月27日の交渉では、「塩川港の岸壁使用のデータと土砂搬出の実績からトラックの台数を求めており、概数を把握できたことから、交通量の調査は予定しておりません。国道の調査についても予定しておりません」と回答している。 

1-4-1. 北部土木事務所が把握したというトラック台数の概数とその算出根拠を説明されたい。 

1-4-2.  国道329号線は、沿道の鉱山からの土砂・石材搬送車両が多く運行し、多くの問題が発生している。国道の交通量調査を拒否する理由は何故か?

【回答】「塩川港の岸壁使用の実績からトラックの台数を求めております。概数を把握できたことから、交通量調査は予定しておりません。国道の調査についても予定しておりません。」

 

1-5.濁水処理プラントの稼働記録の提出を求めること

 我々の、「今までの濁水処理プラントの浮遊物質質量の記録を提出させること」という要請に対して、北部土木事務所は、「記録の提示を求める」、「提示を求めているものであります」と回答するだけで記録を提出させようとしない。

 ベルトコンベアを許可した大きな理由が、「濁水処理プラントの設置等、濁水対策が講じられている」というものであったから、濁水処理プラントの浮遊物質質量の記録の提出を求めるのは当然である。

 この要請に対して北部土木事務所は12月27日、「複数回確認しています。浮遊物質量の数値は1番高い値でも10ppm以下であった。許可条件の通り、記録の提示を求めるものであります」と回答したが、今まで何回、濁水処理プラントが稼働したのか? 北部土木事務所は何回、確認したのか? その数値はどうだったのかが全く分からない。

 濁水処理プラントの浮遊物質質量の記録の提出を求めるべきではないか?

【回答】「複数回確認しており、浮遊物質量の数値は一番高い値でも10ppm以下であった。許可条件どおりの記録の提示を求めるものであります。」

 

1-6.「1日に160台のダンプトラック」という地元住民への約束を遵守させること

 この問題について北部土木事務所は昨年12月27日、「(昨年11月29日以降も)防衛局に申入れを行っています」と文書回答した。

 何時、どのような内容の申入れを行ったのか? 今後、防衛局をどのように指導していくつもりか、説明されたい。

【回答】「以前から回答しているとおり、沖縄防衛局と面談するなど申入れを行っているところである。今後も必要があれば申入れを行っていく考えである。」

 

<第2部 安和桟橋の問題について>

2-1.安和桟橋の公共用財産使用許可に違反した使用実態について

2-1-1. 辺野古の埋立土砂を海上搬送している名護市安和地先の桟橋(以下、「安和桟橋」)は、2016年11月、沖縄県北部土木事務所長が琉球セメント㈱に対して公共用財産使用許可を出したものである。沖縄県国土交通省所管公共用財産管理規則第12条では、「許可を受けた者は、当該許可により生じた権利を他人に転貸し、若しくは譲渡し、又は担保に供してはならない」とされている。

 ところが現在、安和桟橋はほとんどが、公共用財産使用許可を受けた琉球セメント㈱ではなく、沖縄防衛局が発注した業務の受託会社が辺野古への土砂海上搬送のために使用している。これは明らかに「転貸」であり、前述の公共用財産管理規則に違反している。

 この点について沖縄県は以前、「安和桟橋の設置許可は琉球セメントが受けているので、安和桟橋を沖縄防衛局が使用した場合には、『転貸』に抵触する可能性がある」として、「今後、詳細に事実を確認し、関係法令に基づく対応を検討する」という見解を示していた(2018年12月3日、県の文書回答)。

 その後、安和桟橋は4年以上にわたってほぼ連日、沖縄防衛局の受注業者が使用しているが、これは明らかに「転貸」である。公共用財産使用許可の許可条件に違反していることから、許可を取消すこと。

【回答】「許可を受けた事業者が、土砂の積込み作業を実施しているものと理解しています。」

 

 2-1-2. 安和桟橋の公共用財産使用許可申請書に記載された「施設の目的」は次のようなものであった。

1.施設の目的

⑴ セメント出荷用の桟橋

 既設の出荷桟橋が対応可能な、5000トン級のセメント運搬船の調達が難しくなってきていることから、主流である8000トン級のセメント運搬船に対応した新桟橋を設置する。

⑵ セメント製造に使用する石炭の荷揚げ桟橋

 現状は本部新港からダンプ輸送しているが、当港は港湾管理者において大型クルーズ船の寄港や、京阪神航路の船舶寄港計画が進んでおり、今後石炭の荷揚げが問う港では困難であると予想される。そこで最大10000DWT級の石炭船に対応可能な桟橋を新設し、工場内への石炭輸送を効率化する。

⑶ セメント副原料の荷揚げ桟橋

 ダンプ輸送している石膏、酸化鉄、リサイクル品などのセメント副材料を荷揚げする。

⑷ その他資材の出荷桟橋

 骨材等の資材の出荷を可能とする。

 

 1974年に琉球セメント㈱に公共用財産使用許可が出されて設置され、2020年に撤去された安和の旧桟橋は、「セメント等の出荷及び油脂類等の搬入のための船舶接岸」が占用目的であった。本件の安和桟橋は、旧桟橋の代替として設置されたものであり、上記の「施設の目的」のとおり、あくまでもセメント製造・出荷のために許可が出されたものである。

 ところが現在、安和桟橋は連日、辺野古への土砂海上搬送のために使用されており(石炭船は年に数回しか来ていない)、上記の「施設の目的」とは全く異なっている(なお、⑷に「その他資材」とあるが、これはあくまでも、「骨材等の資材」であり、コンクリートを造る際に用いる砂(細骨材)や砂利(粗骨材)のことである。埋立に用いる土砂(岩ズリ)は「骨材」とは言わない)。

 現在の安和桟橋の使用実態は、公共用財産使用許可の際の「施設の目的」に違反している。北部土木事務所長は許可を取消すこと。

【回答】「申請書で示された桟橋が設置され、施設の目的としている資材等の搬出を行っており、許可条件に適合しているため、許可を取消すことは難しいものと考えている。」

 

2-2.安和桟橋に入るダンプトラックの走行について

 安和桟橋へのダンプトラックは、下記に説明するように、3方向から入構しているため、道路の渋滞や安全面でも問題となっている。現に安和桟橋の入口等では、ダンプトラックと乗用車の衝突事故が相次ぎ、救急車で搬送された負傷者も出ている。国道の管理者として、防衛局や業者を指導すべきではないか? 

2-2-1. 安和鉱山から安和桟橋に向かう国道449号において、安和桟橋に入るために右折するダンプトラックが多く、右折レーンのはるか手前から走行車線に長い車列で並んでいることが多い(長いときには30台ほどが並んでいる)。特に夕方のラッシュ時間帯にはダンプ車列に気づくのが遅れたのか危険な車線変更を余儀なくされる車もある。このような危険な状態を放置するのは許されないのではないか? 

2-2-2. 琉球セメント安和鉱山から出たダンプトラックは、安和桟橋前を通過し名護市内を20分ほどかけて迂回して戻り、安和桟橋に左折して入構している車両も多い。一日あたり150〜190台がこのように不必要に環境負荷をかける形で運搬されているのは問題ではないか?
 また入構のために左折待ちするダンプトラックが走行車線に渋滞しし、一般通行車が車線変更を強いられている。さらにはこの左折入構は、右折に比べ運転席からの視界も悪く抗議する市民らを巻き込む危険が指摘されている。

 このように何重にも危険、不要な左折入構は禁止させるべきではないか?

2-2-3. 以前にはなかった琉球セメント工場側からの直進入構も行われている。この際、直進入構するダンプトラックは旧道を駐車場代わりにして待機し、一般車両の迷惑になっている。このような道路の使用方法も禁止するよう指導すべきではないか?

【回答】「道路管理者として、指摘のある道路利用の制限を設けることはできないと考えています。」

 

2-3.安和桟橋東側海岸での台風・高潮対策工事について

 国道449号線の安和~山入端の海岸部で台風・高潮対策事業を行うための深浅測量が行われている。台風・高潮対策事業としてどのような工事を計画しているのか、その概要を説明されたい。

 

<第3部 金武湾の問題について>

3.辺野古海上警備業者による金武湾港の違法使用問題について

 我々は一昨年12月以来、セントラル警備保障(株)による金武湾港の違法使用問題について質問を続けてきた。北部土木事務所は当初、「プレハブ・コンテナの設置、警備艇の陸上仮置き、岸壁使用は無許可で使用していることを確認した。それ以外については事実を確認し、その上で判断する」と回答していたが、その後、「手続き中の案件であり、お答えすることはできません」と回答を拒否するようになった。

 ところがその後、我々が提起した住民監査請求の監査結果により、県は昨年11月15日、セントラル警備保障(株)に対して違法使用期間中の港湾使用料を請求し、翌16日、同社は481万円余を県に支払ったことが公表された。しかし北部土木事務所は、11月29日の我々との交渉の際にその事実を明らかにせず、12月27日の交渉でも、「個別具体的案件にはお答えできません」といっさいの説明を拒否し続けている。 

3-1-1.  県は、違法使用期間中の港湾使用料として同社に481万円を請求し、業者はその全額を支払ったが、どのような違法行為があったのかを明らかにすること。 

3-1-2. 違法期間中の港湾使用料は納入させたが、港湾管理条例第33条の罰則規定は適用したのか?

【回答】「個別具体的案件にはお答えできません。」

 

 3-1-3. この違法行為については、当然、発注者である沖縄防衛局の責任も問われる。北部土木事務所は一昨年12月、「防衛局については、事実確認の後に対応を検討する」と回答したが、その後、防衛局にはどのような対応をしたのか明らかにすること。 

【回答】「再発防止の申入れを行っています。」                                                             

                             (以上)

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