西園寺由利の長唄って何だ!

長唄を知識として楽しんでもらいたい。
軽いエッセイを綴ります。

大薩摩・1

2009-02-15 | その他人物 (c)yuri saionji
大薩摩とは、正確には大薩摩節といい、
薩摩外記の弟子文五郎が語る浄瑠璃のことをいう。
外記は京から江戸に下り、豪快な語りの硬派浄瑠璃、薩摩浄雲に入門した
(ちなみに一中や、豊後節などの浄瑠璃は軟派浄瑠璃という)。

浄雲没後(1672年)は、薩摩外記藤原直政と名乗り、
初代団十郎の荒事の地(伴奏)にも出演するようになった
(本業は自身の座を持つ人形浄瑠璃の太夫)。

松島庄五郎が芝居にデビューした頃(1710年代)、
文五郎は声量の落ちた(あるいは没した)、師匠の代役で
団十郎(2代目)の舞台に出る事が多くなった。

団十郎の人気上昇とともに、歌舞伎出演が増えた文五郎は、
大薩摩主膳太夫と改め、団十郎の専属となっていった。

二人の仲も次第に親密の度合いを増し、
「矢の根」(1729年正月)では、団十郎が茶目っ気を出し、
主膳太夫を舞台に登場させたほど。
(もちろん、役者が扮している。本物の主膳太夫は同じ舞台で浄瑠璃を語っているのだから)。
二人主膳太夫の趣向は受けに受け、何と5月28日の曾我祭までロングラン。

曾我祭とは、
楽屋に祀ってある曾我荒人神の祭りのこと。
兄弟が仇討ちをとげた、5月28日が忌日というわけだ。
(2月6日記載の「曾我物その2」に関連記事あり。)

つづく…

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