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西園寺由利の長唄って何だ!

長唄を知識として楽しんでもらいたい。
軽いエッセイを綴ります。

時代のテンポ・4

2021-08-28 | よもやま話 (c)yuri saionji
三味線組歌というのは、短い歌詞に三味線の伴奏をつけたものを
いくつか組み合わせて一曲としたものです。

柳川検校の弟子佐山検校(1666年検校登官)は、破手組をさらに改良し、
やや長文の歌詞に三味線のフレーズを付けるということを考え出しました。
長文だと歌詞に意味が持たせられますので、
歌詞に即したフレーズがつけられるようになるのです。
「飛騨組」と比べるとテンポは軽快で、合いの手もリズミカルになりました。

佐山検校はこれを長歌と称し、江戸に出て吉原の遊女たちに広めます。

   
   彦根屏風

時代のテンポ・3

2021-08-27 | よもやま話 (c)yuri saionji
時代のテンポを長唄に当てはめてみます。

長唄というのは歌舞伎芝居と結びついてからの名称で、
前身は長歌という名称の音楽です。
その元祖は当道という平家琵琶の職業集団の裏芸である
三味線組歌です。

三味線組歌の始まりは、石村検校が創作した本手組といわれるもので
じつにスローテンポでシンプルなメロディーなのです。
発生は江戸初期ですが、その後石村検校の弟子(柳川検校)が
本手組よりテンポアップした破手組みを創作しました(寛永年間・1624〜1644年)。
派手の語源ともなった破手組は、当時の人には騒がしく、うるさがられたようですが、
当時の曲「飛騨組」を聴くと、まだまだ地味で退屈だ。


   
   

時代のテンポ・2

2021-08-26 | よもやま話 (c)yuri saionji
きのうに引き続き時代のテンポ考。

能なんかも超スローテンポですよね。
揚幕が上がって橋掛かりを通り、本舞台に来るまでに何と時間のかかることか。
一眠りして起きてもまだ二ノ松あたり、というのもざらだ。

平安時代は会話のテンポも遅くて、スローモーションのようなテンポだったのでは、
という文章をどこかで読んだ記憶がある。

そういえば平安時代からある披講(ひこう)という
和歌に節を付けて読み上げる歌披講も超スローテンポですよね。
今も宮中の歌会始に名残をとどめています。

    うちのドラまろです。
    

時代のテンポ

2021-08-25 | よもやま話 (c)yuri saionji
今荻江の「山姥」を仕込んでいます。

荻江というのは長唄より後に発生した座敷音楽です。
富士田吉治と同じ時代に活躍した荻江露友が
芝居の世界に見切りをつけて吉原に逃避し、創案した音楽です。

座敷音楽ということで次第に地唄風になっていくのですが、
まあテンポがゆっくりなんです。
派手というか、賑やかなフレーズもなく、地味な曲調、
今の感覚で言えば、退屈であくびが出そうな曲です。
でもしみじみいいのですよ。

これは座敷という演奏場所にもよるのでしょうが、
やはり明和・天明(1764~1789)という時代のテンポなんでしょうね。

寝ながらこんなことを考えています。

クラウドファンディング

2020-12-11 | よもやま話 (c)yuri saionji
先斗町でお稽古をしている今藤政子ちゃんから面白い話を聞きました。

コロナの関係で恒例の鴨川おどりができなくなった先斗町が
オンライン鴨川おどりを実現させるためにクラウドファンディングを募ったところ、
目標額1500万を遥かに上回る4200万もの資金が集まったというのです。

支援額は3000円から300万円までで、
リターンは鴨川おどりのオンライン観覧に芸舞妓とのオンライントーク、
高額支援者にはオンライン収録の観覧とお座敷遊び(4名・8名)のご招待。

新聞広告にチラシを入れたり、ご贔屓様へのご案内もあったのでしょう。
1000名ほどの支援があったそうです。

もうこれで十分でしょうに、5000万円を目標に更なるファウンドを設定したというのです。
果たして2匹目のどじょうは狙えるか。

しかし京都の先斗町でクラウドファンディング大当たり、というのも何だか面白い話ですね。
 
   先斗町の花街です。