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西園寺由利の長唄って何だ!

長唄を知識として楽しんでもらいたい。
軽いエッセイを綴ります。

大江戸芝居年中行事の20

2019-06-26 | 浮世絵
安達吟光(嘉永6〜明治35・1853〜1902年)の
「大江戸芝居年中行事」の20、「お目見得」だ。

  

書き入れ
「お目見得
 下り役者のお目見得は その役者の好みにより 所作に狂言にいろいろ替われども
 大概だんまりの幕にて 下に描く如き出立(きつけ)にてせり出し
 立回りながら口上のせりふを述ぶるを例となす
 千村

 御ひいきの 引幕開けてお目見得の 顔も檜の舞台恥ずかし」
  
 

大江戸芝居年中行事の19

2019-06-17 | 浮世絵
安達吟光(嘉永6〜明治35・1853〜1902年)の
「大江戸芝居年中行事」の19、「紋看板」だ。

上に飾ってあるのは、名のある役者。
右下の地面に直接置いてあるのは、大部屋役者の看板。
犬がおしっこをひっかけるので、犬ションといわれたとか。
いやになるほど歴然とした下身分制度があったようだ。

   

書き入れ
「紋看板
 顔見世の初日前に 各座いり替わり役者の名を書きたる看板を上げる 
 芝居道にてはこれを紋看板という
 このうち下回り役者の看板は 木戸前の土間へ飾る
 これは俗に犬ションと卑しめらる
 また仕切場(ロビー)並びに茶屋の二階には 競うて飾り物をなし
 町々の入り口には 役者へ送るひいきの積物等ありて その全盛今日の人の知る所にあらず
 千村しるす」
 
   

大江戸芝居年中行事の18

2019-06-16 | 浮世絵
安達吟光(嘉永6〜明治35・1853〜1902年)の
「大江戸芝居年中行事」の18、「大津稲荷」だ。

  

書き入れ
「大津稲荷
 四代目市村竹之丞は美男のきこえ高く その頃大坂へ登りて帰るさ
 大津の宿にて女狐(めぎつね)に見込まれ 江戸に帰りて人々之を去らしめんとすれど
 魂(たましい)は竹之丞に移りて 躯(たい)は犬のために倒れ行く所なし
 願うは朝夕に顔の見たる所に置きてよと いうにまかせて三階へ大津稲荷を祭り
 朝夕これを念じたるに 不思議や竹之丞の評判よく いつも大入りを占めたり
 千○竹之丞出勤の座へは必ず此の稲荷をおく
 これ稲荷町の始めなりとか聞くままをしるす
 
 千○の○も代わりたち○のいろ香を慕う山ほととぎす」

稲荷町というのは三階の大部屋役者の事をいうのだが、
こういういわれがあって三階に稲荷を祭ったとは知らなかった。

今では一階の楽屋入り口に稲荷明神が鎮座している。


大江戸芝居年中行事の17

2019-06-15 | 浮世絵
安達吟光(嘉永6〜明治35・1853〜1902年)の
「大江戸芝居年中行事」の17、「大箱提灯」だ。

   

書き入れ
「大箱提灯
 顔見世釣看板の左右へかざすを 大箱提灯といい 又茶屋飾り物の下のふれんは
 中村市村の両座にては 紺地へ白 森田座は紺地へ赤にて 家号(いえな)と紋所を染め出だすを例とす
 ついでにいう 櫓幕は初日の前日より 千秋楽まで掛けおき 休み中は除く
 千村
  
 ちょうちんの灯 ○も出たる顔見世の その看板に人も大箱」

大江戸芝居年中行事の16

2019-06-14 | 浮世絵
安達吟光(嘉永6〜明治35・1853〜1902年)の
「大江戸芝居年中行事」の16、「場釣り提灯」だ。

   

書き入れ
「場釣り提灯
 顔見世芝居には場釣提灯とて 簀の子天上より大型の長提灯を下げ 
 これにその座の入れ替わりの役者の名をしるし 一張り一人ずつと定め
 数個を点ずるを吉例とす
 千村

 附け込みの 多き顔見世提灯も 釣鐘ほどにうなる見物」