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西園寺由利の長唄って何だ!

長唄を知識として楽しんでもらいたい。
軽いエッセイを綴ります。

「鬼次拍子舞」-1

2012-09-01 | 笑えます、長唄(c)y.saionji
歌麿

皆様ご存知の歌麿は,
蔦屋重三郎という版元が発掘した浮世絵師だ。

蔦重は蔦唐丸(つたのからまる)という、狂歌名を持つ文筆家でもあり、
商才も閃きもある、なかなかのやり手。

「鬼次拍子舞」(寛政5年・1793・川原崎座)が作られた頃、
蔦屋重三郎はちょうど歌麿を売り出し中で、
上半身アップの美人画を書かせ、これを”大首絵”と称して流行をしかけた。

モデルになるのは、水茶屋のスター、難波屋おきた、高島屋おひさ、
吉原菊本の芸者豊雛など、今をときめく美人たち。

「当たるも八卦」と、売り出してみたところ、これが大当たり。
たちまちにして江戸中の評判をとった。

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tea break・海中百景
photo by 和尚

「喜撰」-6

2012-08-30 | 笑えます、長唄(c)y.saionji

色の世界に出家をとげた、色坊主の喜撰法師、
最後は宿場女郎を一夜妻と、洒落る。

東海道23番目の島田宿と24番目の
金谷宿は、大井川をはさんで向き合っている。

「姉さん おんじょかへ
 島田金谷は川の合い
 旅籠はびた(びた銭)でお定まり
 
 お泊りならば 泊らんせ
 お風呂もどんどん沸いてある
 障子もこの頃張り替えた
 畳もこの頃替えてある
 お寝間のお伽もまけにして
 
 草履の紐の仇解けの
 結んだ縁の一夜妻
 あんまり憎うも あろまいか
 そうだろ そうだろ そうであろ」
   
● 客引きの女に客が問う。
「姉さん、具合はいいのかい」

以下は客引き女の常套句。かくして男は宿場女郎に遊ばれて
朝がくる。

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tea break・海中百景
photo by 和尚

「喜撰」-5

2012-08-29 | 笑えます、長唄(c)y.saionji

そして願人坊主ならではの歌念仏を,
超悪ふざけで。

「釈迦牟尼仏の床急ぎ
 抱いて涅槃の長枕
 睦言代わりのお経分
 なまいだ なまいだ なんまいだ」

● お釈迦さんは本当にせっかちだね。
 女郎を待ちかねて長枕を抱いているよ。 
 甘いささやきの代わりは、お経の文句。
 なまいだ なまいだ なんまいだ。

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tea break・海中百景
photo by 和尚

「喜撰」-4

2012-08-28 | 笑えます、長唄(c)y.saionji

「縁の橋姫」とは、
宇治川にかかる宇治橋に祀られている橋姫のこと。

近くには橋姫神社があり、橋を守る女神としてあがめられている。
しかし、女神ゆえ嫉妬深く、縁切りの神として悪縁も切ってくれるという。

さしずめここは、
「喜撰法師が、宇治の茶畑で見初めた茶摘み女と恋に落ち、
橘橋を渡った先にある、小島が崎でおしげり(結合)。
一目散に走って帰ったら、女房が角を出してえらい剣幕。
さあ、どうする。
こんなときは、女房を口説いて丸め込む。
蛍の明りで恋の駆け引き術でも学びますか」
といった意味。

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tea break
photo by 和尚


「喜撰」-3

2012-08-27 | 笑えます、長唄(c)y.saionji

この曲では喜撰法師は、俗にまみれた色坊主という設定になっているので、
扱いは次元の低い願人坊主だ。

「ヤレ 色の世界に出家をとげる
 ヤレヤレ ヤレヤレ 細かにちょぼくれ

 愚層が住処は 京の辰巳の
 世を宇治山とは 人は言うなり

 ちゃちゃくちゃ 茶園の
 話す濃茶の 縁の橋姫

 夕べの口舌の 袖の移り香
 花橘の 小島が崎より
 一散走りに 走って戻れば
 内の嬶ぁが 悋気の角文字
 牛も涎を 流るる川瀬の
 口説けば内へ 我から焦がるる
 蛍を集めて 手管の学問」

※意訳は「喜撰」-4で。

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tea break
photo by 和尚