チェロ五十代からの手習い

57才でチェロに初めて触れ、発見やら驚きを書いてきました。今では前期高齢者ですが気楽に書いてゆこうと思います。

イタリア奇想曲は、わが思い出の音楽なのに、難しい

2008年01月21日 00時08分54秒 | チェロ
 5月の定演はブラームス「交響曲第三番」の主演目に加えて、チャイコフスキー「イタリア奇想曲」、サンサーンス「バッカナール」、芥川也寸志「交響管弦楽のための音楽」の楽譜も配布されて「初合わせ」が行われた。
 練習結果は「難しい」の一言。ブラ3だけを4ヶ月練習しても、とても8割に到達できないと悲観的になっているところに、イタリア奇想曲も大変な曲だと分かった。

 思えば、中学生の時、自分の小遣いで初めて購入した「レコード」がイタリア奇想曲だったなー。黒くてすぐ割れてしまうSP盤用の蓄音機が物置にお蔵入りしてから、当時の我が家にはステレオ装置がなかった。そんなある日、兄たちが小遣いを出し合ってLPプレーヤーなるものを購入してきた。
 そのプレーヤーは持ち運びタイプながら、ターンテーブルを挟んで二つのスピーカーがセットされていて、LP以外にシングル盤やドーナツ盤も聴くことができた。そのころ、新宿の角筈にあった中古レコード店に自転車で飛んで行き、購入したのが「イタリア奇想曲」だった。

 いまでは西新宿といえば大ビル街に変身しているが、東京オリンピック開催前の西新宿は広大な浄水場の貯水池があるだけだった。無論ビルらしいビルと言えば三越と伊勢丹が見えるくらいで、紀伊国屋も高野フルーツパーラーも大型の本屋と果物屋だった。つまり新宿の繁華街から外れた、都電通りに面して、その古レコード店はあった。無論木造平屋で、店内の大半はSP盤のクラシックレコードだったと思う。

 本当はチャイコフスキーの「悲愴」を買いたかったのかもしれない。音楽の時間に聴いた「くるみ割り人形」でチャイコフスキーが好きになり、渋谷の児童館で掛けてもらった「悲愴」が意味不明な曲で(当時の自分には)、なぜだかチャイコフスキーを求めていたのかも知れない。
 しかし僕のお金ではLPは買えなかったのだと思う。そこで何とか手に入ったのが「EP盤」(LPとドーナツ盤の中位の大きさ)のイタリア奇想曲だったのだろう。 
 
 レコードジャケットの解説には彼がイタリア旅行をしたあと作曲したので明るい曲想であり、トランペットのファンファーレから始まる云々と書かれていたような気がする。なにせ子供、何も買わずに出るのも格好悪いので買っただけかもしれない。
 
 レコードを抱えて、古レコード屋から自宅まで自転車を飛ばした。帰宅すると、プレーヤーを引っ張り出し、どきどきしながら針を置いた。
 小さなプレーヤーから流れ出したのはトランペットのファンファーレ。そのあと重苦しいオーケストラの音が続く・・・その瞬間「買ったのは失敗か」と心では思ったかもしれない。でも買った以上好きになろうと、何度も聞いたと思う。
 ところがところが哀れな自分。たった一枚のEP盤を繰り返し聞くのも「みじめ」な気もして・・・さらに「本当に自分はこの曲が好きなのか」と疑問に思って、さらに家族から「こんな曲が好きなんだ」と勝手に思われるのも癪に障る気がして、して、して・・・なんせ疾風怒涛、崩壊ぎりぎりの心を隠し持った中学生だったんだ、あのころの自分は・・・

 でも、イタリア奇想曲、僕は好きになったと思う。曲の後半になるとイタリアらしい軽快さに救われた気持ちになったのだ。

 そんなイタリア奇想曲だけど、チェロパートはまるで練習曲のような部分もある。シャープ3つから、いきなりフラット5つへの転調のあと8分音符の連続スケールにやられてしまう。つまりここは、恐らく、きっと、本番では、落っこちたままになる確率が高いのだ。

 チャイコフスキーはイタリアで何を感じてきたのか。あれから1世紀以上経って、極東の片田舎で、50歳代のチェロ初心者が悪戦苦闘しようなどど、頭の片隅にあろうはずも無く・・当たり前だ!

 ブラームスもチャイコフスキーも、今生きていて、アマオケの演奏を聴くことが出来たら、一体どんな感想を持つのだろう。
 せめて「一生懸命演奏してくれてありがとう!」と微笑んでもらえるよう、頑張ろうっと。
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2 コメント

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お久しぶりです (Guarneri)
2008-01-24 14:19:54
Chiibouさま

お久しぶりです。MJBlogの方の更新がなかなかできず
Chiibouさんのブログもなかなか訪問できず
大変ご無沙汰をしてしまいました。すみません。

ブラームスの3番にチャイコフスキーのイタリア奇想曲ですか。一緒のサイクルで弾くのはかなり大変そうですが、充実したプログラムで楽しそうですね。

以前MJBlogの方でちらりとお話ししたチェロの本について
お知らせしたいことがあり、メールをさせていただきたいのですが、いかがでしょうか。
アドレスは、このGooのIDを使ったgoo.ne.jp宛てで
よろしいですか。

最近、MJBlog上に、セールス目的の書き込みが続いたり、いやがらせの書き逃げが何点かあったりで、あのブログからは少し足が遠のいています。そのうちメンバー限定の公開にしようかとも思っています。

まずは安全にコミュニケーションをとらせていただければと思い、勝手ながら、ここにコメントをさせていただきました。すみませんが、よろしくご理解いただければ幸いです。

Guarneri 拝
返信する
とても心配してました (chiibou)
2008-01-26 22:02:51
 お元気とわかり一安心です。いよいよあの本が上梓されるんですね!楽しみです。そのIDは今も生きてますので、ぜひお送りください。
 Guarneriさんの颯爽とした「姿」がBlogで見れないとこちらの元気が半減しちゃうので、ぜひぜひ悪意に負けずNYの風り続けてください。ではでは。
 
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