「あの・・・実は、アタシ・・・つい三日前に会ったんです・・・ユウさん・・・ユウジさん、いえ・・・祐一朗さんに・・・。」
「えっ?!」
おばさんは明らかに驚いたみたいだ。ちょっと黙ってしまったけど、それだけでアタシの言おうとしたことはわかってくれたみたいだ・・・。
「そう!・・・そうなんだ・・・。じゃあ・・・。」
「はい・・・。聞きました・・・おばさんのこと、総くんのこと・・・浅野祐総さん・・・ユウさんと総くんのおお父さんのこと・・・。」
「・・・そう・・・。」
おばさんはゆっくり答えて、しばらく考えていたみたいだけど、やがてため息交じりに、でも笑って続けた。
「そう。・・・ひどいわね、まったく・・・。困った子だなあ、涼香さんに重荷背負わせるなんてさ・・・。」
アタシはハッとしてようやく目をおばさんに向けた。今の“子”というのは総くんのことじゃない。明らかにユウさんのことだ・・・。
「おばさん・・・。」
「でも、あの子は涼香さんを信じたんだ・・・。信じて話したのね。」
「・・・託したいって言われました。何もできない自分の代わりにおばさんと総くんを見守って欲しいって・・・。そのために自分の思いを知って欲しいって・・・。おばさんも、やっぱりずっとユウさんのことわかってらしたんですね。ユウさんが自分の息子さんだって・・・。」
「ええ・・・。あの子がデビューしてすぐにわかった。不思議なつながりでもあるのかしらね、ホントにたまたまCDショップでポスターを見かけたのよ。ああ、最近人気の新人てこの人ねって思って見た、それがあの子だったの。・・・びっくりしちゃった。もちろん初めはまさかと思ったわよ、名前は芸名だし。でも・・・そっくりだったのよ、雰囲気が・・・若い頃の浅野先生に。涼香さんは浅野先生の若かりし頃なんて知らないでしょ。でも、私はずっと近くにいたからわかったんだ、直感的に。だからその場でCD買って帰って、聞いてみて確信したの、祐一朗だって。もう・・・すっごく嬉しくてね・・・何度も何度も聞いた。・・・私の産んだ子がこんなに立派に育って、しっかり自分を見つめて、こんなに素敵な歌を作って歌ってるなんて・・・ホントに感無量だったわ。」
「・・・寂しく・・・辛くなかったですか? 大事な息子さんを奪われたのに・・・。」
「そうね・・・。初めから納得ずくで産んだはずなんだけど・・・正直言ってもちろん後悔したわ、すっごくね。だから総司の時は思いきり逆らっちゃった。ここは私の祖母、つまり母の実家のあった土地なの。だから勝手はわかってるし、浅野先生もここまでは知らないから丁度いいかなって考えて逃げちゃったんだ。」
そう言うとおばさんは愉快そうに笑った。けど、実際はきっと笑い事じゃなかったよね、きっと・・・。
「浅野さんは捜そうとしたそうです。でも、百合恵さんが猛反対して断念されたとかって・・・ユウさんが言ってました。物凄い勢いで浅野さんと戦ったらしいって。」
「そう、百合恵さんが・・・。あの方、私の大学の先輩なの。素晴らしい方なのよ、私は尊敬しているの、今でも。そうなんだ・・・私を思って戦ってくださったのね。そして祐一朗をしっかり育ててくださったのね。」
「・・・おばさん・・・辛くないんですか? おばさんが本当のお母さんなのに、育てたかったのに・・・ユリエさんに託さなきゃならなかったなんて、あんまりです・・・。」
「でも、今それを言っても仕方がないでしょ。」
「恨んでないんですか? 浅野さんを・・・。」
「さあねえ・・・恨むべきなのかしらね。祐一朗は何か言ってた? お父様を恨むようなこと。」
「・・・一時は猛反発したらしいです。何でも・・・高校に入った直後くらいにユリエさんに本当のことを聞いて、その時はキレて大暴れしたようなこと言ってました。・・・。でも今はお父さんを認めて、理解しようとしてるって感じでした・・・。」
「そう、本当にいい子に育ったのね、良かった。百合恵さんのおかげよね。あの子が恨んでないなら、私も恨むわけにはいかないかな。一番翻弄されたのはあの子だもの。大人は勝手よねえ・・・。でも、浅野先生も・・・ただ酷い人じゃないのよ、苦渋の決断だった・・・少なくとも私はそう思ってる。百合恵さんもね・・・。誰一人、辛い思いをしなかった人はいなかったの。でも、それは結局その時の大人の事情、大人の身勝手。だからそれをすべて許容しようとしてる祐一朗が一番凄いかもね。」
「そうですね。アタシもそう思います。ユウさんて凄い人だって・・・。なんか、ノリは軽いんですけど・・・。」
「ふふ、私の産んだ子はエライでしょ?」
「はい・・・!」
「・・・もう一人の方も見習ってくれたらいいのだけど。あら、こっちは私が育てたんだった、つまり私がよくないってことかしら・・・?」
おばさんはちょっぴりおちゃめにそう言った。アタシはぶんぶん首を横に振った。
「そんなことないです!! 総くんもいい人だと思います! ただ、事故のせいでショック受けちゃってるだけで・・・。」
「でも、あの子は音楽やめちゃった。祐一朗と違って。」
「え?」
「私も話したのよ・・・総司に、半分だけ。父親と何があって、どうして一緒に暮らしていないのかってこと。あの子の就職が決まって、もう話してもいい頃かなって思ったものだから。」
「そ・・・そうなんですか?!」
「でも実は祐一朗のことはまだ話していないの。あなたにはお兄さんがいて、それが他でもないユウジだってこと・・・もちろんいつか話そうとは思うのだけど、一度にすべて話して混乱させるのもよくないと思って話してないの、まだ・・・。ていうか、父親のことを話した時点であの子もやっぱりキレちゃってね・・・。ある有名な音楽家で、その奥さんが子どもを産めないからだだったので・・・と、そこまででもうお終い。これ以上聞きたくないと耳をふさがれちゃったから、その父親が具体的に誰なのかとか、ましてや祐一朗のことまではとても話せなかったのよ。そして、それで音楽やめちゃったのね。もし自分に音楽の才能が多少あるとしても、少なくともその半分は許せない父親から受け継いだのならもう嫌だって言ってね・・・。気持ちが落ち着いてから、私のことは犠牲になっただけだからって言って許してくれたんだけど、父親の身勝手さは絶対許さないって・・・。」
「それでアタシが楽譜持ってった時にあんなに怒ったんだ・・・。」
アタシはやっと得心がいった。お父さんに反抗してやめて・・・きっと総くんはまだ許せていないんだな・・・。
「ええ・・・総司はいまだに父親を許してはいないわ。どんな人か実物を知らなくて自分のイメージだけで考えているから余計そうなるのでしょうけど・・・。いつかわかってくれるのかなあ・・・。でも今はダメね、事故のショックもまだ大きいから・・・。」
「・・・・・・。」
「とにかく・・・二人の息子があなたにとんだ負担を強いたみたいね。ごめんなさいね、涼香さん。」
おばさんは困り顔で少し頭を下げた。アタシは・・・なんて返していいかわからない。
「特に祐一朗は・・・。」
「・・・あの・・・何か、アタシ・・・ユウさんには変に信用されちゃったみたいですけど、本来アタシはここまで知るべきじゃなかったですよね。・・・おばさんが本当のお母さんだって話を聞いた時、初めユウさんはそれ以上のことは言わなかったんです。それで、アタシがお父さんのこと尋ねたら『無理に背負うことはない、聞きたければ話すけど、いいの?』って言われて・・・。本来アタシはそれ以上首を突っ込むべきじゃなかったのに、聞きたいって言っちゃいました。だから話してくれたんです。アタシは自分で背負い込んだんです、本当は聞くべきじゃなかったのに・・・。だからユウさんのせいじゃないです。そもそもアタシ・・・まだ総くんたちと知り合って長くないのに、それなのに・・・姫島くんも路美ちゃんも知らないんでしょう、このこと。幼馴染の二人が知らないのに、後から友達になったアタシが先に知っちゃうなんて、いけませんでしたよね。・・・ごめんなさい。」
「そんなことないわよ? 幼馴染だとか付き合いが短いとか、そういうのは多分関係ない。だって祐一朗はそんなこと何も知らない筈だもの。きっとあなただから、涼香さんだから話したのよ。本当にあなたが信頼できると思ったから・・・信用じゃなくて信頼よ。それに光汰くんと路美ちゃんの二人は確かにずっと総司の親友だけど、だから話さなきゃならないとは限らない。二人を信じないとかそういうのじゃないけど、そうね・・・何て言っていいかしら、二人は知らなくていいことだから・・・。もちろん知ってもいいのだけれど、わざわざ言うこともないってことかしら。実はそれは涼香さんも同じなの。どちらでもいいの。でも、たまたまあなたは知った。それは、私じゃなく祐一朗が知って欲しいと思ったからよ。ただそれだけのこと。あなたが知るべきじゃなかったとは思わない。でも、その結果重荷を背負わせてしまったことはごめんなさい。そしてそれを覚悟した上で知ってくれたのなら、私はお礼を言います、どうもありがとう。その上で言うわね・・・どうか息子たちをよろしく。・・・あら、これじゃ花嫁の父親みたいね、・・・って、だいぶ違うか?」
あれ・・・。アタシは思わず笑ってしまった。だって・・・
「おばさん・・・ユウさんと同じこと言った。ユウさんもおばさんと総くんの二人をよろしくって言った後で『オレは花嫁の父親か?』って自分で突っ込んでましたもの。ついでに『だいぶ違うかな』って。」
「あらまあ・・・! おんなじ?! ふふふ・・・変なところで親子なのねえ、私たち。」
そう言っておばさんは本当に楽しそうに笑った。おかげで、アタシも少しは肩の荷が軽くなった気がした。
だけど・・・。
CHAPTER.2 END
「えっ?!」
おばさんは明らかに驚いたみたいだ。ちょっと黙ってしまったけど、それだけでアタシの言おうとしたことはわかってくれたみたいだ・・・。
「そう!・・・そうなんだ・・・。じゃあ・・・。」
「はい・・・。聞きました・・・おばさんのこと、総くんのこと・・・浅野祐総さん・・・ユウさんと総くんのおお父さんのこと・・・。」
「・・・そう・・・。」
おばさんはゆっくり答えて、しばらく考えていたみたいだけど、やがてため息交じりに、でも笑って続けた。
「そう。・・・ひどいわね、まったく・・・。困った子だなあ、涼香さんに重荷背負わせるなんてさ・・・。」
アタシはハッとしてようやく目をおばさんに向けた。今の“子”というのは総くんのことじゃない。明らかにユウさんのことだ・・・。
「おばさん・・・。」
「でも、あの子は涼香さんを信じたんだ・・・。信じて話したのね。」
「・・・託したいって言われました。何もできない自分の代わりにおばさんと総くんを見守って欲しいって・・・。そのために自分の思いを知って欲しいって・・・。おばさんも、やっぱりずっとユウさんのことわかってらしたんですね。ユウさんが自分の息子さんだって・・・。」
「ええ・・・。あの子がデビューしてすぐにわかった。不思議なつながりでもあるのかしらね、ホントにたまたまCDショップでポスターを見かけたのよ。ああ、最近人気の新人てこの人ねって思って見た、それがあの子だったの。・・・びっくりしちゃった。もちろん初めはまさかと思ったわよ、名前は芸名だし。でも・・・そっくりだったのよ、雰囲気が・・・若い頃の浅野先生に。涼香さんは浅野先生の若かりし頃なんて知らないでしょ。でも、私はずっと近くにいたからわかったんだ、直感的に。だからその場でCD買って帰って、聞いてみて確信したの、祐一朗だって。もう・・・すっごく嬉しくてね・・・何度も何度も聞いた。・・・私の産んだ子がこんなに立派に育って、しっかり自分を見つめて、こんなに素敵な歌を作って歌ってるなんて・・・ホントに感無量だったわ。」
「・・・寂しく・・・辛くなかったですか? 大事な息子さんを奪われたのに・・・。」
「そうね・・・。初めから納得ずくで産んだはずなんだけど・・・正直言ってもちろん後悔したわ、すっごくね。だから総司の時は思いきり逆らっちゃった。ここは私の祖母、つまり母の実家のあった土地なの。だから勝手はわかってるし、浅野先生もここまでは知らないから丁度いいかなって考えて逃げちゃったんだ。」
そう言うとおばさんは愉快そうに笑った。けど、実際はきっと笑い事じゃなかったよね、きっと・・・。
「浅野さんは捜そうとしたそうです。でも、百合恵さんが猛反対して断念されたとかって・・・ユウさんが言ってました。物凄い勢いで浅野さんと戦ったらしいって。」
「そう、百合恵さんが・・・。あの方、私の大学の先輩なの。素晴らしい方なのよ、私は尊敬しているの、今でも。そうなんだ・・・私を思って戦ってくださったのね。そして祐一朗をしっかり育ててくださったのね。」
「・・・おばさん・・・辛くないんですか? おばさんが本当のお母さんなのに、育てたかったのに・・・ユリエさんに託さなきゃならなかったなんて、あんまりです・・・。」
「でも、今それを言っても仕方がないでしょ。」
「恨んでないんですか? 浅野さんを・・・。」
「さあねえ・・・恨むべきなのかしらね。祐一朗は何か言ってた? お父様を恨むようなこと。」
「・・・一時は猛反発したらしいです。何でも・・・高校に入った直後くらいにユリエさんに本当のことを聞いて、その時はキレて大暴れしたようなこと言ってました。・・・。でも今はお父さんを認めて、理解しようとしてるって感じでした・・・。」
「そう、本当にいい子に育ったのね、良かった。百合恵さんのおかげよね。あの子が恨んでないなら、私も恨むわけにはいかないかな。一番翻弄されたのはあの子だもの。大人は勝手よねえ・・・。でも、浅野先生も・・・ただ酷い人じゃないのよ、苦渋の決断だった・・・少なくとも私はそう思ってる。百合恵さんもね・・・。誰一人、辛い思いをしなかった人はいなかったの。でも、それは結局その時の大人の事情、大人の身勝手。だからそれをすべて許容しようとしてる祐一朗が一番凄いかもね。」
「そうですね。アタシもそう思います。ユウさんて凄い人だって・・・。なんか、ノリは軽いんですけど・・・。」
「ふふ、私の産んだ子はエライでしょ?」
「はい・・・!」
「・・・もう一人の方も見習ってくれたらいいのだけど。あら、こっちは私が育てたんだった、つまり私がよくないってことかしら・・・?」
おばさんはちょっぴりおちゃめにそう言った。アタシはぶんぶん首を横に振った。
「そんなことないです!! 総くんもいい人だと思います! ただ、事故のせいでショック受けちゃってるだけで・・・。」
「でも、あの子は音楽やめちゃった。祐一朗と違って。」
「え?」
「私も話したのよ・・・総司に、半分だけ。父親と何があって、どうして一緒に暮らしていないのかってこと。あの子の就職が決まって、もう話してもいい頃かなって思ったものだから。」
「そ・・・そうなんですか?!」
「でも実は祐一朗のことはまだ話していないの。あなたにはお兄さんがいて、それが他でもないユウジだってこと・・・もちろんいつか話そうとは思うのだけど、一度にすべて話して混乱させるのもよくないと思って話してないの、まだ・・・。ていうか、父親のことを話した時点であの子もやっぱりキレちゃってね・・・。ある有名な音楽家で、その奥さんが子どもを産めないからだだったので・・・と、そこまででもうお終い。これ以上聞きたくないと耳をふさがれちゃったから、その父親が具体的に誰なのかとか、ましてや祐一朗のことまではとても話せなかったのよ。そして、それで音楽やめちゃったのね。もし自分に音楽の才能が多少あるとしても、少なくともその半分は許せない父親から受け継いだのならもう嫌だって言ってね・・・。気持ちが落ち着いてから、私のことは犠牲になっただけだからって言って許してくれたんだけど、父親の身勝手さは絶対許さないって・・・。」
「それでアタシが楽譜持ってった時にあんなに怒ったんだ・・・。」
アタシはやっと得心がいった。お父さんに反抗してやめて・・・きっと総くんはまだ許せていないんだな・・・。
「ええ・・・総司はいまだに父親を許してはいないわ。どんな人か実物を知らなくて自分のイメージだけで考えているから余計そうなるのでしょうけど・・・。いつかわかってくれるのかなあ・・・。でも今はダメね、事故のショックもまだ大きいから・・・。」
「・・・・・・。」
「とにかく・・・二人の息子があなたにとんだ負担を強いたみたいね。ごめんなさいね、涼香さん。」
おばさんは困り顔で少し頭を下げた。アタシは・・・なんて返していいかわからない。
「特に祐一朗は・・・。」
「・・・あの・・・何か、アタシ・・・ユウさんには変に信用されちゃったみたいですけど、本来アタシはここまで知るべきじゃなかったですよね。・・・おばさんが本当のお母さんだって話を聞いた時、初めユウさんはそれ以上のことは言わなかったんです。それで、アタシがお父さんのこと尋ねたら『無理に背負うことはない、聞きたければ話すけど、いいの?』って言われて・・・。本来アタシはそれ以上首を突っ込むべきじゃなかったのに、聞きたいって言っちゃいました。だから話してくれたんです。アタシは自分で背負い込んだんです、本当は聞くべきじゃなかったのに・・・。だからユウさんのせいじゃないです。そもそもアタシ・・・まだ総くんたちと知り合って長くないのに、それなのに・・・姫島くんも路美ちゃんも知らないんでしょう、このこと。幼馴染の二人が知らないのに、後から友達になったアタシが先に知っちゃうなんて、いけませんでしたよね。・・・ごめんなさい。」
「そんなことないわよ? 幼馴染だとか付き合いが短いとか、そういうのは多分関係ない。だって祐一朗はそんなこと何も知らない筈だもの。きっとあなただから、涼香さんだから話したのよ。本当にあなたが信頼できると思ったから・・・信用じゃなくて信頼よ。それに光汰くんと路美ちゃんの二人は確かにずっと総司の親友だけど、だから話さなきゃならないとは限らない。二人を信じないとかそういうのじゃないけど、そうね・・・何て言っていいかしら、二人は知らなくていいことだから・・・。もちろん知ってもいいのだけれど、わざわざ言うこともないってことかしら。実はそれは涼香さんも同じなの。どちらでもいいの。でも、たまたまあなたは知った。それは、私じゃなく祐一朗が知って欲しいと思ったからよ。ただそれだけのこと。あなたが知るべきじゃなかったとは思わない。でも、その結果重荷を背負わせてしまったことはごめんなさい。そしてそれを覚悟した上で知ってくれたのなら、私はお礼を言います、どうもありがとう。その上で言うわね・・・どうか息子たちをよろしく。・・・あら、これじゃ花嫁の父親みたいね、・・・って、だいぶ違うか?」
あれ・・・。アタシは思わず笑ってしまった。だって・・・
「おばさん・・・ユウさんと同じこと言った。ユウさんもおばさんと総くんの二人をよろしくって言った後で『オレは花嫁の父親か?』って自分で突っ込んでましたもの。ついでに『だいぶ違うかな』って。」
「あらまあ・・・! おんなじ?! ふふふ・・・変なところで親子なのねえ、私たち。」
そう言っておばさんは本当に楽しそうに笑った。おかげで、アタシも少しは肩の荷が軽くなった気がした。
だけど・・・。
CHAPTER.2 END
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