SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

RUSSELL MALONE 「SWEET GEORGIA PEACH」

2007年06月28日 | Guiter

プロデューサーはトミー・リピューマだ。
彼がプロデュースした作品はポップな仕上がりになる。売れ筋の作品になるということだ。
ラッセル・マローンはそんな彼の傘下に入って一躍有名になった。ダイアナ・クラールと同郷であったことが幸いしたのだ。

このアルバムにおける彼のギターは変幻自在だ。
時にジム・ホールのようであり、パット・メセニーのようであり、アール・クルーのようであり、はたまたジャンゴ・ラインハルトのようでもある。そういう風に仕組んだのはトミー・リピューマなのかもしれないが、全体に爽やかな風が吹き抜けるようなアルバムになった。今の季節にはぴったりだ。
但しラッセル・マローンは本来こうした心地よいサウンドだけを奏でる薄っぺらなギタリストではない。
芯は確かなテクニックに支えられた玄人好みなハートの持ち主である。特にブルースやカントリーをやらせたら若手ナンバーワンの実力だ。それがこうした曲を演奏するとそれなりに仕上がってしまうのだからプロデューサーの影響力は大きい。根は相当ロマンチックな人なのかもしれない。

このアルバムの魅力はバック陣に寄るところも大きい。
ロン・カーター(b)、ケニー・バロン(p)、ルイス・ナッシュ(ds)、スティーヴ・クルーン(per)らがしっかり脇を支えている。
個人的に好きなのは「Someone's Rocking My Dreaboat」。全編に渡ってパット・メセニーのような夢見る世界が拡がっていくが、マローンの方がもっと日常的で牧歌的な感じがする。ケニー・バロンの短いピアノソロも実に美しい。
確かに「SWEET GEORGIA PEACH」の味がする。