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SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

CHET BAKER 「Stella By Starlight」

2011年07月03日 | Trumpet/Cornett

約1年ぶりにこのブログに新規投稿している。
復活したのはこれで2回目、またいつやめるかわからない。
気が向いたのでちょっと書こうかという気になった。

今夜はチェット・ベイカーを聴いている。
このジャケットはオリジナルではないが、オリジナルよりもいかしているので棚から取り出す機会が多い。
ジャケットとはそういうものなのだ。何でもオリジナルが一番ということではない。

さて何だかんだいっても、ジャズは孤独でアンニュイな世界が似合う。
その代表格がこのチェット・ベイカー。いい方を変えれば彼の生き方そのものがジャズだったともいえる。
まるで昔話を語り出すような「Deep In A Dream」や「Once Upon A Summertime」を聴けば、誰でも納得するはずだ。
この気怠さを感覚的に「よし」とする人でなければ彼のファンにはなれないし、真のジャズファンにはなれないのではないかと思う。
そこには上手下手などという次元では言い表せない彼の特異性が浮かび上がってくる。
ジャズメンはこうでなくてはいけない。

要するにジャズの面白さは、演奏を超えたところにあるヒューマニズムにあるのだ。
そこのところをわかった上でこのアルバムを聴いてもらいたい。
一度はまるとどうしようもないくらい好きになるのがチェット・ベイカーという人なのだ。

BRIAN LYNCH 「meets BILL CHARLAP」

2010年06月01日 | Trumpet/Cornett

このところ忙しい日々が続いていて、なかなかブログの更新ができずにいた。
時間は何とか確保できたとしても、書いている余裕がないのである。
こんな時に心休まるCDはないかと思ってショップに立ち寄ってみたら、このアルバムに出くわした。
ブライアン・リンチとビル・チャーラップ・トリオ、2003年の共演盤だ。

ブライアン・リンチに関しては、最近ヴィーナスからリリースされた「ボレロの夜」というビリー・ホリデイのオマージュアルバムが気に入っていた。
これはかなりこってりした作品だったが、私はどうもこうしたラテン系の音に弱い。
こうしたアフロ・キューバン・リズムは、これからの季節には欠かせない音だと思う。
特に「La Sitiera」や「I'm A Fool To Want You」などを聴いていると、じわりと汗がにじむ熱帯夜を感じさせる。
これがラテンならではの快感なのである。
今回取り上げた「meets BILL CHARLAP」は、それとは違い、幾分クールな印象だ。
但し、彼の吹くトランペットには郷愁感がたっぷり詰まっていて、初夏の夕暮れにふさわしい音を奏でている。
そこにそよ風のようなビル・チャーラップのピアノが絡む。
ジョー・ファンズワース(ds)、ドウェイン・バーノ(b)の見事なバッキングと共に、実にコンビネーションがいい。

ビル・チャーラップに関しては、ニューヨーク・トリオを含め、彼のほとんどのアルバムを持っている。
要するに私は彼のファンなのだ。
但し、このところはちょっとその熱も冷めかかってきていた。
あまりにも感情移入が目立ちすぎるようになってきていて、自然に体の中に入り込んでこなくなる時があるからだ。
しかし、このアルバムでは彼本来の良さが発揮されていて、さすがビル・チャーラップだと思わせる。
フレーズの一つ一つがありきたりな旋律になっていないところがすごいのだ。

2曲目の「Autumn Nocturne」を聴いて心の底から癒された。
これからも忙しい時の鎮静剤として利用しようと思う。

DON FAGERQUIST 「Eight By Eight」

2010年03月12日 | Trumpet/Cornett

やっぱりバラードが好きだ。
しかも夕陽に染まる海をバックに、こんなトランペットが響いていたらと思うと胸が熱くなる。
3曲目の「Smoke Gets in Your Eyes」や、7曲目の「Easy Living」のことである。
ドン・ファガーキストは、曲本来のメロディラインを崩さず、音色で勝負するタイプの人だ。
彼は一音一音噛みしめるように音を出す。
何といってもミュージシャンとしての彼のそういう姿勢が好きなのだ。
しかもマーティ・ペイチのアレンジによって、その傾向がより鮮明になっているからたまらない。
まだ聴いたことのない方は、見つけたら即お買い求めいただきたい。決して損はしないアルバムだと思う。

私はウエストコーストジャズに人一倍憧れがある。
ジャズそのものの魅力というより、フィフティーズという時代背景と、西海岸という舞台設定、そして若者たちの「白い青春」に惹かれるのだ。
ジョージ・ルーカスの作った「アメリカン・グラフィティ」は1962年の夏を描いていたが、それよりももう数年遡った時代である。
ジェームス・ディーンの「理由なき反抗」が正にその時代の象徴だといえる。
ポピュラーなミュージックシーンでいえば、ビートルズが出現する前、エルヴィスの全盛期だ。
そういえばエルヴィスにもひと頃熱を上げたことがあった。
特に「Don’t Be Cruel」や「Teddy Bear」といった曲のノリが好きだった。
こうした曲を聴いていると、まるで波乗りをしているかのような浮遊感と高揚感でいっぱいになる楽しさを味わえた。
当時の若者が何を考え、どんな生活をしていたか、何となくそれが曲を通してわかるような気がしてくるのである。

私はウエストコーストジャズを聴いていても、こうしたエルヴィスに通じる何かを感じるのである。
その何かとは、粋がっては見るものの、音は寂しがり屋で、集団の中にいないとどうにも耐えられないといった若者たちの思いではないかと思っている。
私にとっては、このセンチメンタリズムがウエストコーストジャズ最大の魅力なのだ。
リーダーはもちろんアート・ペッパーやジェリー・マリガンだったろう。
少なくともドン・ファガーキストではない。
しかし彼もまた、間違いなく西海岸の集団の中にいた一人なのだ。
音だけ聴けば、素直でまじめな秀才タイプ。
このアルバムは、そんな秀才が唯一主役に抜擢された貴重な作品なのである。

HARRY EDISON 「SWEETS」

2010年02月11日 | Trumpet/Cornett

一言でいってしまえば、「いい気分」にさせてくれるアルバム。
なぜなら全体を通して穏やかな春風を感じるからである。
これは1956年の録音盤だが音もいい。
ジョー・モンドラゴンのベースが、単調ながらブンブンと強力なリズムを弾き出している。
そのリズムに乗って、ハリー・エディスンのトランペットやバーニー・ケッセルのギターは言うに及ばず、ベン・ウェブスターのテナーまでがふわふわと空中を漂っている感じなのである。

そういえばこのアルバムは、ベン・ウェブスターの名演でも有名だ。
彼はリーダーになるとアクが強すぎて、時に敬遠したくなることも多いプレイヤーだが、脇役として参加するとものすごく感動的な演奏をする時がある。
ここでの彼がその典型だ。
彼はカンザスシティ・スタイルをベースに、まるで口笛を吹くかのような軽やかさでさらりと歌い上げる。
もっとソロをとる時間が長ければよかったのに、という人も多いようだが、私は彼の出番はこれくらいの長さがちょうどいいと思っている。
主役はあくまでハリー・エディスンなのだ、というベンの思いやりが感じられるからだ。

それにしてもタイトルにもなっている「スイーツ(ハリー・エディスンの愛称)」とは言い得て妙だ。
この愛称はレスター・ヤング大統領が命名したと聞くが、これだけミュートが甘く優しい音色を奏でるなんてちょっと意外な気もしてくる。
なにせミュートといえば、真っ先に思い出すのがマイルスである。
あの暗く寂しいハードボイルドタッチがミュートの良さなのだと長く思い続けてきた。
しかしハリー・エディスンのミュートは、もっとコミカルでクスクス笑っているように聞こえる。
この取っつきやすさ、親しみやすさが彼の魅力なのだ。
もっともっと多くの人に聴いてもらいたい名盤だと思う。
このライトグリーンのジャケットを壁に立て掛けて聴いていると、なおさら「いい気分」になってくるからお試しあれ。

ERIC LE LANN 「Eric Le Lann」

2010年01月05日 | Trumpet/Cornett

まだ新譜といってもいい作品だろう。
エリック・ル・ランの通算13枚目になる快作である。
この人のことを知ったのは最近のことだ。「Le Lann-Top」という前作を聴いて興味を持った。
きっかけは、ジルフェマのリオーネル・ルエケ(g)がゲストで出ていたので聴いてみたのだが、何といっても全編に渡って冴え渡るトランペットと重いベースのコンビネーションが見事だった。
それもそのはず、「Le Lann-Top」では、プログレッシヴロック界からMAGMAのヤニック・トップ(b)を連れてきて、ハードなジャズロックを演奏してみせたのだから驚きだ。
こんな風にエリック・ル・ランという人は、かなり型破りで挑戦的な人と見た。
だから今回もそんな路線かなと思いきや、13作目は実にストレート・アヘッドなジャズアルバムに仕上げてきた。
ある意味、これも新鮮な驚きだった。
これで間違いなくファン層も広がったのではないかと思っている。

とにかく1曲目の出だしからしてル・ランの繰り出す音に酔いしれた。
彼の吹くペットは、クールで切なく、夜の静寂に谺するようだ。
バック陣も超がつくほどの豪華版である。
ピアノは売れっ子のデヴィッド・キコスキー、ベースは最近ケヴィン・ヘイズの作品にも登場していたダグ・ウェイス、そしてドラムスは泣く子も黙る御大アル・フォスターだ。
特にアル・フォスターがスピーカーの中央に陣取って、全体をコントロールしながら的確なリズムと効果的なアクセントを叩き出しているのには頭が下がる。正に見本のようなドラムである。
キコスキーのピアノもキレがいいし、ウェイスも跳ねるようなベースを弾き出している。そこにふわりとル・ランのトランペットが被さっている感じだ。
こういう安定感のあるバックがつくと、それだけでアルバムのグレードがグッと上がる。
しかもこれは純粋なワンホーンアルバムだから、トランペット好きなら迷わず手に入れたい作品といえる。

今ちょうど7曲目の「Herve in Black and Blue」がかかっている。
時間は夜の10時である。
ちょっとだけボリュームをおさえてみた。
アル・フォスターの叩くシンバル音が心地いい。
こんな真冬の夜に似合った音の響き方だ。

JOE NEWMAN 「and the boys in “the band”」

2009年11月15日 | Trumpet/Cornett

「無人島に持って行く一枚」の候補になるアルバムだ。
その理由は簡単。
寂しさを紛らわすのにうってつけだからだ。
ベイシーがらみのものは、そのほとんどがそうであるように、このアルバムも人目を気にせず爆音で聴きたい作品だといえる。
大音量で聴いていると、リズムに合わせて自然に身体が動き出す。
スイングするということはこうした感覚なのだと思う。
これを聴いていると、いかにジャズは楽しい音楽なのかということが身に染みてくる。

このアルバムは1954年ベイシー楽団がボストン公演に行った際、9人のメンバーが集結して録音した作品である。
もちろんカウント・ベイシーもビル・ベイリーという偽名で参加している。
この作品を聴いていると、つくづく主役のジョー・ニューマンは、根っからビッグバンドの人なんだなぁと思う。
自分のリーダーアルバムにもかかわらず、自分だけが目立つようなことはほとんどしていないのだ。
2曲目の「These Foolish Things」に至っては、最初から最後までフランク・フォスター(ts)の美しいソロをフィーチャーしており、ジョー・ニューマンは他のメンバーと共にオブリガードをつけることに専念している。何とも微笑ましい限りである。
その代わり、ラストに近い「I'm Confessin'」で彼の持ち味が充分に発揮されている。
高らかにメロディを歌い上げるその音色は慈愛に満ちたものだ。
またそんな彼のトランペットを、ベイシーのオルガンがしっとり包み込んでいるのが印象的だ。

そしてそして、忘れてはいけないのが、このジャケットである。
もちろん、バート・ゴールドブラッドのデザインだ。
大胆な構図と、思い切った写真の切り抜き。
これだけでも買う価値が充分にある。
やっぱり無人島に持って行くならこの一枚である。

RYAN KISOR 「On the One」

2009年09月22日 | Trumpet/Cornett

昨日は月山に登ってきた。
月山にはもう何度も登っているが、あんなきれいな紅葉は今まで見たことがなかったので大感激した。
暑くもなく、寒くもない快晴の秋だった。
心地いい風が足下を滑るように吹き抜けていく。その風を受けて木道の脇のウメバチソウやリンドウの花が歌を歌うように首を振っていた。
見上げると山は切れ落ちている部分を境目にして、燃えるような赤と黄色が青空にくっきりと浮かび上がっている。
思わず息を飲むとはこのことだ。
こんな雄大な景色を見ていると、小さな悩みや日頃のストレスはあっという間に消え去ってしまう。
これが山登りを止められない一番の原因なのかもしれない。

そんな余韻を残して、今日は自宅でゆっくり休日を楽しんだ。
いつものようにCD棚から一枚のアルバムを引っ張り出してセットした。
真っ先にかけたのは、ライアン・カイザー「On the One」である。
私は1~3曲目を飛ばして、4曲目「Thinking of You」というバラードから聴きだした。
この曲はカイザー自身のオリジナルである。
私はうっとりしてしまうようなこの曲が大のお気に入りだ。
ライアン・カイザーといえば、スピード感溢れるトランペットが売り物のプレイヤーだが、こうした叙情性もしっかり持ち合わせた若者なのだ。
この「Thinking of You」という曲を聴いていると、昨日の月山のような懐の深さを感じる。
まったく山の上から谷間に向かって吹き下ろしているようにクリアな響きだ。
そんな風に考えると、続くマルグリュー・ミラーのソロも沢のせせらぎのように聞こえてくるから楽しい。

今は夏のTシャツ一枚でこのブログを書いているが、高い山の上では着々と秋が深まりを見せている。
私はそうした場所での時の移り変わりが本当の季節なのだと思う。
残念ながら下界の季節は偽物だ。
本当の季節を感じられる暮らしができれば最高なんだけど。

NAT ADDERLEY 「Naturally!」

2009年08月06日 | Trumpet/Cornett

レコード棚をゴソゴソと物色していたらこんなアルバムが出てきた。
「なんだナット・アダレイじゃないか、こんなところにいたのか!」と思わず旧友に出会った心境になる。
そういえばこのアルバム、店頭で見つけた時に、ジョー・ザビヌルが参加しているのを知って買い込んだのを覚えている。
別にウェザーリポートのファンだったわけでもないが、私は彼のエレピしかほとんど聴いたことがなかったので、デビュー当時の彼はどうだったのかが何となく気になったわけである。
で、聴いてみた感想だが、ジョー・ザビヌルは取り立ててどうということはなかった。
この時点では普通のバップ系ピアニストである。可もなく不可もなし、といったところ。
それに比べると、B面の4曲でザビヌルに替わって登場するウィントン・ケリーのスウィング感はさすがだと思わずにはいられない。
最近はウィントン・ケリーも昔ほど聴く機会が少なくなってしまったが、改めて聴いてみると、やっぱりこうしたファンキーな作品には欠かせない人だということがわかる。
またポール・チェンバース(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)というお馴染みメンバーのコンビネーションも抜群だ。

それにしてもナット・アダレイという人は地味な印象の人だ。
兄のキャノンボール・アダレイがやたらと目立つ人だったので、その陰に隠れてしまった感が大いにある。
普通兄弟なら、弟の方がやんちゃで明るい印象を持つのが一般的だと思うが、彼らはその逆だ。
良くいえば心優しきナイスガイ。悪くいえばいじけたロンサムボーイ。
しかしこのアルバムには兄がいない。弟だけの純然たるワンホーンアルバムだ。
こんな伸び伸びと吹ききっている彼とはそうそう出会えるものではない。
これは本当の彼を知る格好の作品である。

LOUIS ARMSTRONG 「PLAYS W.C.HANDY」

2009年06月13日 | Trumpet/Cornett

私がブルースを最初に意識したのはBBキングであり、エリック・クラプトンだった。
もちろんその頃はジャズには興味もなかった。
一人部屋にいて、彼らのギターテクニックを必死にコピーし、キュイ~ンと毎日チョーキングしながら遊んでいた。
またラグタイムギターも下手なりによく弾いていた。
一人でも何とか様になるのがブルースだった。

ジャズを聴くようになってブルースを意識したのは、ケニー・バレルであり、スタンレー・タレンタイン辺りだったろうか。
こういう表現の仕方もありなんだな、とぼんやり考えていた。
もちろんこの頃になると、ほとんどのジャズメンの底辺にブルースが流れていることは理解していたし、どうやらブルースは私が好きな音楽における全ての源流らしいということにも薄々気づいていた。

で、このレコードの登場だ。
これはルイ・アームストロングという、ジャズ史における最大のスーパースターが、ブルースの父と呼ばれたW.C.HANDY(William Christopher Handy )の曲を取り上げた傑作である。
W.C.ハンディは1914年、40歳の時にセントルイス・ブルースを作った。
ストラヴィンスキーもこの曲にはずいぶん刺激を受けたといっているから、その影響力やすさまじいものがある。
その後、多くのアーチストがこの曲を演奏したが、ハンディに最高だと言わしめたのが、ここでのルイ・アームストロングであった。
確かに何度聴いてもすばらしい。
陽気なようでいて、後を引く一抹の寂しさ、こみ上げてくる勇気。この演奏からはそんな様々な感情がわき上がってくる。
ヴェルマ・ミドルマンとサッチモのヴォーカルによる対比も見事である。
今となっては、これこそ本物のブルースなのだと思わずにはいられない。
これがジャンルを超えた基本中の基本なのだ。

DUSKO GOYKOVICH 「TEN TO TWO BLUES」

2009年06月01日 | Trumpet/Cornett

文句なしの人気盤である。
原盤はEnjaかと思いきや、スペインのEnsayoというレーベルだ。
ジャケットにもしっかりその旨がプリントされている。
このジャケットは「After Hours」として出されていたアルバムのオリジナルであるが、中身のイメージとはかけ離れているように感じる。
中身はもっと明るく溌剌としている印象があって、決してこんなおとなしいムードではない。
制作者の意図もわからぬではないが、オリジナルが全ていいわけではないということの証明である。

曲順もオリジナルでは「LAST MINUTE BLUES」がラストに配置されているが、これが最初に来るのとラストに来るのではかなり印象が違う(通称「After Hours」ではトップに配置されている)。
この曲は主役のダスコ・ゴイコビッチがトップを飾ってストレートに吹きまくっているが、その後に続くテテ・モントリュー(p)、ロブ・ランゲレイス(b)、ジョー・ナイ(ds)のリズム隊が、ゴイコビッチのトランペットを消し去るかのごとき熱演をしている。まさに鬼気迫る勢いだ。
これは確かにすごい。この1曲だけでも買う価値があるが、アルバム全体を通してみてみるとこれは明らかに異質だ。
だから私はこの曲をラストに配置しているオリジナルの方が、どちらかといえば無難だと思っている。
ただ、この曲を聴いたホルスト・ウェーバー(Enjaの創始者)が、感激のあまり、これを一番いいところに持ってきたのではないかと勝手に思っているのだが、これは私の単なる深読だろうか。

このアルバムには他にも優れたナンバーが何曲も入っている。
哀愁漂うメロディの「Old Fisherman's Daughter」もさることながら、私は彼のオリジナルナンバーである「Remember those days」がベストだと思っている。
このジャケットに合うのはこの曲くらいである。
とにかく音の色艶が抜群にいい。こんな演奏を間近で聴いたらとろけてしまいそうだ。
トランペットの魅力満載の一枚である。