SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

BEN WEBSTER 「SOULVILLE」

2007年06月08日 | Tenor Saxophone

バラードを吹かせたら当代随一。大ベテランの真骨頂だ。
やれテクニックだの音色がどうのこうのと細かいことを気にしているようでは彼の魅力はわからない。ただじっと溢れ出すダンディズムを感じ取ってほしい。
音を伸ばす時のあのすすり泣くようなビブラートに酔えないようであれば、ジャズファンをやめた方がいいとも思えてくる。
それくらいベン・ウェブスターは別格的存在なのだ。

そんな彼の代表作であるこの「SOULVILLE」は1957年の録音である。
同じモダンジャズテナーの元祖ともいえるレスター・ヤングやコールマン・ホーキンスは、この50年代後半には全盛期の冴えがなくなってしまったが、ベン・ウェブスターは亡くなるまで輝き続けた人だった。
それを実証するのがこのアルバムだ。
これが傑作といわれる所以は、オスカー・ピーターソン・トリオがバックを固めていることも大きな要因だ。
ベン・ウェブスターの演奏の合間に出てくるオスカー・ピーターソンのピアノは明らかに他のピアニストと格が違う。自然体でありながら全体にピリッとスパイスが利いたようなアドリヴには全く隙がない。こちらもさすがといえる演奏だ。
この時ベン・ウェブスターは48才。オスカー・ピーターソン(p)が32才、ハーブ・エリス(g)36才、レイ・ブラウン(b)31才、スタン・リーヴィ(ds)32才だった。

表題曲の「SOULVILLE」もいい出来だが、個人的には3曲目の「TIME ON MY HANDS」、4曲目の「LOVER COME BACK TO ME」が大好きだ。
どちらもベンのテナーが胸の奥深くに染み込んでくる。泣きたくなるくらいの快感だ。