ヤン・ラングレンのファンになったお陰でスウェーデンや北欧ジャズのことは少しだけ詳しくなった。
初期の傑作として名高い「Swedish Standards」では素敵なスウェーデン民謡などをたくさん教えてもらったし、彼の相手を務めるイェスパー・ルンゴー(b)、 アレックス・リール(ds)の魅力・実力を知ったのも彼を通じてである。
そしてこのプッテ・ウィックマンもここで初めてその存在を知らされた。
プッテ・ウィックマンはスウェーデンの生んだクラリネット奏者で大ベテランであるが、このアルバムを手にするまでは全く知らなかった。彼もまた残念ながら昨年亡くなってしまったが、北欧にはまだまだウィックマンのような隠れた才能がたくさんいるのだろうと思う。
ウィックマンがいかに国民的なミュージシャンだったかは音を聴けばわかる。
枯れた音というのはいい方が悪いかもしれないが、長年のキャリアが風格となって音に出ているのだ。
もともとクラリネットはまろやかな音を奏でる楽器である。決して濁ったりしない。軽く口笛を吹いているような感じさえする。これは木管楽器の特性であるが、ウィックマンはその中高域を巧みに利用して暖かみのある音を創り出しているのだ。
また親子ほどの年の差があるヤン・ラングレンはというと、ここではあまり目立つような弾き方をせず、終始ウィックマンの引き立て役に徹しているように感じる。このあたりのセンスが人気の原因の一つになっているのだと思う。
このアルバムはスウェーデンの総合アルバムチャートで第3位を記録したヒット作であることが帯に記されている。
いくら人気者二人の共演盤とはいえ、こういう現象は日本では考えられないことだ。
北欧ではいかにジャズの人気が高いかがわかる。優秀な人材が次から次へと現れるわけだ。
日本のジャズファンももっともっとがんばろう!