SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

QUINCY JONES 「GOLDEN BOY」

2007年06月05日 | Other

アレンジャーという仕事は映画監督や編集者の仕事と似ているのではないかと思っている。
以下は私が勝手に想像したアレンジャーの作業手順である。
まずアルバム全体のテーマを決め、大まかなシナリオ(脚本)を考える。もちろんシナリオといってもお話を書くわけではないが、起承転結のような大きな組み立てを考えるということだ。
次に各パートの内容を考え、どういった曲をどこに配置していくかを決めていく。これは黒沢明がその要所要所で絵コンテを描いたように、大まかなストーリーの中で詳細なイメージを固めていく作業を行うわけだ。プレイヤーのキャスティングもこの時点で決定する(ここまではアレンジャーというよりプロデューサーの仕事かもしれないが)。
次に個々の曲を編曲していく。イントロや主題の表現方法、アドリヴの順番、ストリングスを入れるか否かといったことまで必要に応じて考えねばならない。
個々の曲がアレンジ通りに録音されると、最後に全体を通してちぐはぐなところなどをチェックし、時によっては曲の順番を入れ替えたり、追加録音を行ったりしながら調整を図ってアルバムを完成させる。

とまぁ、そんな感じかなと思っている。私は全くのシロウトだから、これは実際の仕事とはかなり隔たりがあるのかもしれない。たぶんそうだろう。
ただ私が言いたいのは、こういう一連の仕事はかなり創造的でやりがいのある作業ではないかということである。
普段私たちは作品を評するに当たり演奏者の技術だけをとやかく言う傾向にあるが、作品の善し悪しはプロデューサーやアレンジャーの腕次第といった面が強いのだ。

クインシー・ジョーンズ。
彼は一見バラバラに見える素材から、複雑に絡み合った全ての音のつながりがイメージできる男なのだ。
このアルバムの「DJANGO」を聴いていてそう思った。