SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

LYNNE ARRIALE TRIO「ARISE」

2007年06月21日 | Piano/keyboard

ツンと尖った鼻、透き通った青い目、独特のカーリーヘア、ライヴで見せるインテリ調の眼鏡。
そんなリン・アリエールは今一番人気のある女性ピアニストだ。
このアルバムも手に入れてから既に3~4年は経つと思うが、未だかつて飽きずに聴いている。飽きるどころか聴くたびに「あ~、いいなぁ」と思ってしまう。彼女の作品は全てほしいと思っているほど、個人的にイチオシの人だ。

彼女の音楽はとにかく情熱的だ。
スピード感溢れる曲からもスローなバラードからも彼女の熱い思いが伝わってくる。
しかも曲の配置が抜群にいい。1曲目の「FREVO」でアルバム全体のイメージを伝え、2曲目で女性の意志の強さを表現した「AMERICAN WOMAN」を弾き、3曲目の「ARISE」でそれを包み込むような優しさに換える。私なんかはもうこのへんでノックアウト寸前だが、4曲目の「LEAN ON ME」でポップなところを聴かされ、5曲目の「ESPERANZA」では、燃え上がるような彼女の胸の内を見せつけられる。こうなったらもう立ち上がることもできない。降参だ。

女性が演奏するジャズは思い切りがいい。男にありがちな自分の存在に対する迷いがないからだ。これは本当にうらやましい。
彼女の演奏を聴いていると、男と比べて女ができないことなど何一つないと思ってしまう。逆に言えば女と比べて男はできないことだらけに思える。
もちろん弱さがあって初めて人間的な魅力があるわけだが、弱さを売り物にしてはいけない。その点、このリン・アリエールは芯の強さを感じる。
強い人間は優しい。それがこの作品に現れている。