SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

DAVID GORDON TRIO 「UNDIMINSHED」

2007年06月07日 | Piano/keyboard

デヴィッド・ゴードンは懐の深い人だ。
彼はクラシックやラテン(タンゴ、ルンバなど)も巧みに取り込みつつ、独自の作風を築き上げてきたイギリスの実力派ピアニストである。そんな彼が今はなきスイスのZahZahレーベルから出した強力なピアノトリオがこれだ。
レア盤になりつつあるので見つけたら今のうちにぜひ手に入れてほしい。

何はともあれシンバルの音がいい。全体の音の半分はこのシンバルなのではないかと思ってしまうほど高音域が澄んでいる。ドラムスがいくつのシンバルを備えているかが手に取るようにわかる。まるで演奏している映像が見えるようだ。
もちろんベースもピアノも存在感バッチリだ。ベースの時折ゴリン!と転がる音もよく拾えているし、ピアノは鍵盤の端から端まで明確に表現されていてダイナミックな音感を味わえる。何度も言うが、やはり録音がいいというのは絶対的な魅力である。

こんなに音のいいアルバムに出会うと、ついついそちらの方ばかりに気がとられてしまうが、彼らの演奏もすばらしい。
スピード感溢れる曲ではそれぞれの楽器で出せる音を全て出しているかのように目一杯華やかだし、一転してスローなバラードではメロディを大切に扱った進行がなされていく。スタンダードの解釈もオリジナリティが感じられていい。
ただ欲をいえばもう少しアルバム全体のテーマをはっきりさせてほしかったように思うのだが、それも贅沢な希望かもしれない。
まぁ足りない部分は次回作に期待しよう。その方が楽しみがあっていい。