SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

NICHOLAS PAYTON 「GUMBO NOUVEAU」

2007年06月13日 | Trumpet/Cornett

アーリー・ジャズといえばニューオーリンズ・ジャズを真っ先に思い出す。
あのルイ・アームストロングを生んだジャズのメッカがニューオーリンズである。
ニューオーリンズ・ジャズでは、トランペットやトロンボーン、クラリネットが主役だった。彼らの底抜けに明るい音楽はあっという間にシカゴへと飛び火し、世界を席巻したのである。
しかしあれからかなりの時間が経っているわけだから、さすがのニューオーリンズも当時の勢いがなくなってきているのではないかと勘違いしていた。
ところがどっこい、何年か前、ニコラス・ペイトンの存在を知って驚いた。ニューオーリンズ・ジャズはまだまだ死んではいなかったと実感した。
死ぬどころかますます元気溌剌だ。このアルバムの冒頭の曲、「Whoopin' Blues」を聴けば誰でも頷く。「これだ!」といえるニューオーリンズ・ジャズのエッセンスがたっぷり入った現代版サッチモの登場である。
続く「When the saints go marching in(聖者の行進)」の思いっきりスローな陽気さも新鮮だ。
この他にも往年の名曲「Down in Honky Tonk Town」や「Li'l Liza Jane」、「St. James infirmary」など嬉しくなるナンバーが目白押しで、最後まで楽しめるアルバムだ。
演奏はというと、彼の太く力強いトランペットが全編に渡って流れている。ここでの彼を聴いていると、彼は現代において最も優れたトランペッターの一人だということが確認できる。特にリズム感覚の良さは他の追従を許さない。
バックもなかなか好演しており、聴いていて気持ちがいい。
ニューオーリンズ・ジャズと聞いて退いてしまわずに聴いてほしい。新たな魅力を発見できること請け合いだ。

2005年のハリケーン「カトリーナ」の襲来により、街の約8割が水没するという甚大な被害を受けたニューオーリンズは今も復興のさなかである。ジャズ発祥地の一日も早い全面復活を願うばかりだ。
以下はハリケーン「カトリーナ」募金支援サイトである。覗くだけでもぜひ!
http://office-karasuma.com/katrina/