SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

PIERRE-STEPHANE MICHEL 「BAYAHIBE」

2007年06月20日 | Bass

いかにもヨーロッパらしいやや湿り気のある洗練された音だ。
出だしのピアノはクラシカルなイメージで、人を惹きつけるには充分な魅力がある。
3人とも安定したテクニックを持つ人たちなので安心して聴いていられるが、いざメンバーの名前はというと聞いたことのない人たちだ。しかしその技術力・表現力からいって単なる新人とも思えない。

それにしても澤野工房はこうした人材を見つけてくるのがうまい。
いったい澤野工房の澤野由明氏とはどんな人なんだろうと思う。
彼は「聴いて心地よかったらええやんか、そんな思いで埋もれていた音やミュージシャンを発掘してきた」という根っからの大阪人のようだが、どうも正体不明な人だ。
聞くところによると彼は「さわの履物店」という下駄屋のおやじなのだそうだ。そんな彼が「買いたいジャズのレコードは全部買って、他に日本で買うレコードが無くなったぐらいだ」というくらいジャズにはまり、現在のような澤野工房を立ち上げた。今でも澤野工房の看板はその履物店の上にどんと鎮座しているのが面白い。
また澤野工房は卸屋を通さないことでも有名だ。リスナーと直接つながっていたいのだろうと思う。私も澤野工房のサイトから直接CDを購入したことがあるが、確かに大手とは違った親近感を覚えたのが印象的だった。

澤野工房のアルバムなら目をつぶって買ってもそう失敗しないのではないかと思う。
それくらい私の中では澤野由明氏への信頼が厚い。デジパックの装丁も豪華だし、共通した澤野工房ならではの音があるからだ。
このピエール・ステファン・ミッシェルもいかにもといった澤野工房の音である。このへんのところは言葉では伝えきれないので聴いてほしい。好き嫌いはあるかもしれないが、買おうとする動機にレーベルで選ぶということがあって然るべきなのだ。