SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

ROY POWELL 「SOLACE」

2007年06月22日 | Piano/keyboard

これではっきりした。
私はノルウェーの若手ピアニストに惚れている。
トルド・グスタフセン、ヘルゲ・リエン、そしてこのロイ・パウエルだ。彼らの共通項は「内に向かう耽美」である。
どこの国よりも深い美意識がそこにある。やるせない気持ちをぐっとこらえて歩き続ける感覚だ。この微妙な緊張感が心の琴線に触れる。
こうしたアルバムがあるからピアノトリオが、否、ジャズそのものがやめられないのだ。

ノルウェーにおけるジャズの歴史はまだ浅い。
私が知る限りでは、ヤン・ガルバレク(ts)、カーリン・クローグ(vo)、アリルド・アンデルセン(b)といった人たちがその先駆者であるが、ヤン・ガルバレクやアリルド・アンデルセンらはECMレーベルの顔になっている存在で、そちらの方面が好きな人にとっては馴染み深いはずである。
そういえばロイ・パウエルも彼らと共通した雰囲気を持っている。
どことなく牧歌的で文学的な味わいがあるのだ。そのものずばりECM的だといっていいが、ECMほど寒々とした感じはない。
その点トルド・グスタフセンは素直だがECMなのでやや冷たい。ヘルゲ・リエンは天才的な想像力をもっているがひねくれ者だ。
そう考えてみると、ロイ・パウエルはトルド・グスタフセンとヘルゲ・リエンのちょうど中間に位置する人だということがわかる。どちらの良さも兼ね備えている分、ノルウェーのコンテンポラリージャズを知るには格好の人なのかもしれない。

先日BSでオスロの街を紹介するTV放送があり、じっと食い入るように観てしまった。
整然と並んだ建築物、フィヨルド独特の気候、ムンクを輩出した芸術の都、その一つ一つが特有の美意識を育てたのだろう。
私は頭の中にはっきりノルウェーの音がイメージできる。こんな国も少ない。