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定年後の伊豆高原 バラと酒と音楽と

伊豆高原に終の棲家を建築し永住。カミサン、愛猫ジローとの伊豆での老後は如何に。薔薇・酒・音楽・日々の徒然。

心が重い夏

2008年07月20日 | 定年後の徒然日記
親父が倒れてから二週間経った。どうやら命は取り留めたが、右半身付随と言語障害、嚥下障害は残ったままだ。脳梗塞で入院出来るのは一か月、その後はリハビリ施設などへの転院を強いられる。リハビリ施設の後は…家での介護は事実上不可能だから介護付き有料老人ホームへの入所しか選択の余地は無いだろう。父も母とまったく同じ人生の終末を送ることとなりそうだ。

久しぶりに海をみたくなった。好きな海は新婚旅行の思い出のある今井浜と下田の外浦海岸だ。


今井浜は車椅子での散歩は無理だから外浦海岸の遊歩道に行くことにした。今井浜にさしかかると海岸は海水浴客でいっぱいだ。次の白浜は勿論ビーチパラソルと人の山。もうすぐ外浦というところで気が変わる。混み合う外浦海岸を車椅子で歩いても汗をかくだけだね。そうだ、ここまで来たんだから下田の海中水族館に行ってみようよ。イルカやアシカのショーも楽しいし巨大水槽で泳ぐサメを見るのも涼しいかもね。(二回行ったとこだけど)
下田海中水族館、夏休みだからか入場料は二人で3800円!た、高い!しかも入場してみるとここも人で一杯。人ごみの中を車椅子で見物するのは大変だ。それに三度目だから感動もないし、三度目の水族館はずいぶんと狭く小さかった。ショーのレベルもダイナミックさに欠けるなぁ・・・。人ごみの脇のベンチに座り、二人でソフトクリーム一つを舐める。帰ろうか…「ウン…」

伊豆半島は夏休みモードでどこも人と車でいっぱいだ。帰りの車内、会話が進まない。ぼんやりと拓郎を聞きながら車を走らす。

家内の腰に出来た床ずれになりかけの痣、一向に良くならない右手右足の硬直、不随運動の口のモグモグで舌を噛んでしまう怖さから食も進まず会話も途絶えがち、薬への疑問、症状悪化への不安…僕よりも家内のほうが何倍も不安でいっぱいな事だろう。眠れない夜が続く。

どんな事になろうとも、ずっとこの家で二人で暮して行こうね。僕はいつでも君の傍にいるし、月に1~2回の出張時は娘が泊ってくれるだろ。何も心配することはないからね。ずっと二人でこの家で暮して行くんだよ。何度も何度も同じセリフをささやく。家内、ようやく安心したようにニッコリしてうなづく。

僕たちの人生の終末はどうなるんだろうな。最後はどちらかが一人になるのだが、それまではずっと二人で暮らしていきたい。でも、その後は…?もちろん一人になってもこの家で暮して行きたいけど、もしかして自分が脳梗塞とかになったら?自分が先に逝ったら?

夏休みの伊豆は賑やかだ。
だが、私の心は重い。ちっとも気が晴れない。梅雨時のどんよりした気分がずっと続いている。腰のほうはだいぶ良いが庭の手入れも遅れがち。もう一か月も消毒をしていないからバラの葉は黒点のオンパレード。黒く染みた葉が次々と黄変している。

家内が眠りにつく八時からは、面白くもないTVをぼんやりと見ながらウィスキーをちびちび飲る。ボトルが空になるのが早い。
心が重い三度目の夏だ。