半導体大手ルネサステクノロジが、09年3月期に千億円程度の営業赤字見通しになるなど、半導体各社の業績不振が深刻化している。
国内大手5社の営業赤字額は、現時点で5千億円を超え、ITバブル崩壊で巨額赤字を計上した02年3月期の水準に迫る勢いとなっている。
ルネサスが約300人の正社員削減方針を新たに決めるなど、人員削減もさらに拡大している。
●7千人の雇用喪失
ルネサスは国内全従業員の約3%に当たる300人規模の正社員を削減する方針。50歳以上を対象に2月初めにも早期退職者の募集を開始し、3月末に退職する。
すでに、派遣社員は3月末までに約千人の削減計画を打ち出したが、正社員の削減にも踏み込む。
国内大手5社(東芝、ルネサス、富士通マイクロエレクトロニクス、NECエレクトロニクス、エルピーダメモリ)で、正社員の削減はルネサスが初めて。
各社の人員削減は、今後一段と拡大する。NECエレクトロニクスが3月末までに国内で派遣社員1200人の削減計画を明らかにしたほか、東芝も千人規模の派遣社員を削減する。
国内半導体業界全体では、昨年末時点から7千人規模の雇用が失われる計算になる。
●厳しさ増す収益環境
大幅な需要減退の影響で、収益環境は一段と厳しさを増している。フラッシュメモリーとシステムLSIという2種類の代表製品を手掛ける東芝は深刻。
携帯音楽プレーヤー向けの需要が一巡し、携帯電話販売の不振も加わってメモリー需要が伸び悩み、在庫が増加して市況は昨夏以降、急落した。
半導体部門の09年3月期連結営業損益は期初の900億円の黒字を昨秋、650億円の赤字に修正した。赤字幅はさらに広がり2000億円規模に拡大する見通しだ。
パソコン向けの代表的なメモリーDRAMでNECと日立が部門統合したエルピーダメモリも、価格急落が直撃。千億円超の営業赤字になる。
富士通マイクロエレクトロニクスは、自動車に搭載する半導体の受注が秋以降、急速に減少。
NECエレクトロニクスも、工場稼働率がここにきて半分以下に落ち込み、10億円の黒字を見込んでいた連結営業損益は数百億円の赤字になる可能性が大きい。
【記事引用】 「日本経済新聞/2009年1月16日(金)/9面」